- Amazon.co.jp ・本 (94ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309201764
感想・レビュー・書評
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オールズバーグの絵が見たくて読んだ本。
児童書のカテゴリーに入るのだろうが、テキストがかなり多くストーリーも複雑なため、大人向けかと。。バレエ「白鳥の湖」をベースにして、ヘルプリンが新たに創作した寓話。
山奥に暮らす老人と少女。
何故ふたりでここにいるのか、老人の過去は?
少女の両親はなぜいないのか、そして少女の出自は?
・・老人が語って聞かせた話が、この本の内容。
オールズバーグの美しい挿絵が、一層切なさを盛り上げる。
まるで舞台劇かアニメか、それとも映画にした方が良さそうな話で、目もくらむような展開だった。
死をもって愛を全うする登場人物たちの人生は、悲劇的な結末なのに品位があり、まるで一幅の芸術品のよう。
ちなみに「オデット姫」はこの少女の母親で、少女が生まれるまでの物語も読ませどころ。
本の登録日が4月4日。
確かにこの日から読み出したというのに、今日30日までかかってしまったその訳は・・
翻訳が、それはそれは読みにくいのだ。
数行読んでは戻って読み返し。それを何十回も繰り返した。
センテンスが異常に長く、おまけに修飾語が過剰なせいでイメージが湧きにくい。
頭の中で何度も文章を組み立て直して読む必要に迫られてしまった。
たぶん、お話の世界を伝えたいがために格調高くしたかったのだろう。
10代の頃ならば、このような回りくどさに幻惑されて「何だか素敵」と思ったかもしれない。
だが私はもういい大人なので、端的な文章以外は受け入れ難くなっている。
翻訳という作業は、原文をいかに誠実に伝えるかであり、自分の言葉に溺れてしまってはいけない。
ストーリーの美しさに惹かれて何とか読破したが、辛い修行だった・笑
まぁ私にとってそうだったというだけなので、オールズバーグがお好きと言う方にはぜひともおすすめしたい。
奥行きのあるお話で、「白鳥の湖」からこんな風に展開するのかと感心しきりだった。
和訳が挿絵に完全に負けているのは、それだけ絵が素晴らしいということだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
絵本ですが、これは大人向けだと思います。文体も、文章の量も。
でも、「白鳥の湖」のストーリーを知らなくても楽しめる内容になっています。
まず老人と少女の物語。
それから皇帝と、その政敵の話。
皇子の少年から成年への成長の物語。
二人の出会いと悲劇。
そして老人と少女の物語。
文章も、イラスト(クリス・V・オールズバーグ)も美しく、静謐。
ドラマチックに書こうと思えば書けるところを、静かに、ともすれば単調にすら思えるほど静かに進行する物語。
最後の、一気に真相がわかるところですら、あくまで静かに。
ひっそりと、世間から身を隠して生きてきたオデットや白鳥たちのように。
ひっそりと、物語は幕を下ろす。
けれど、その続きがひっそりとしたものになるのかは、わからないままに。
深い。 -
挿絵が何ともよい。村上春樹の文は可も不可もないが確かに村上春樹の文章。
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某書店ノバーゲンブックで格安で購入。ええ村上春樹ホイホイです。
オチは分かる感じでしたけれど、いちいち描写がきれいだったのでやっぱり児童書もいいなぁと思います。