ヴァギナ: 女性器の文化史

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 128
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309204536

感想・レビュー・書評

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  • 文化人類学や生物学、ジェンダー論なんかも入った、女性器に関する膨大な情報が余すところなく、バランスよく語られていく。圧巻。生命のおもしろさに目から鱗の一冊です。性教育でもこういう観点で、このくらいの情報量を扱えたらいいのに。
    ほんと良書でした。作者がちょいちょい自分の経験談挟むのさえなければ星五つ。笑

  • 先入観とかメンドクサイものに縛られてる人は、こーゆう本の存在を嫌うかもしれないけど
    だからこそ「坊や」に是非読んでほしい一冊。

    「女万歳!」がちょっと鼻に付くトコもあるけど、総評としてはリベラルな内容だと思いました。

    西洋の人魚図像って尾が二股のモノが多い。
    スターバックスコーヒーの人魚マーク、あの姿・ポーズはもしかしたら"ヴァギナのディスプレイ"なのでは?と深読みしたりして

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001200955

  • 文化史的な面とともに、ヴァギナの構造・機能を図版も豊富に加えて科学的に説明している。

    らしい

  • 神話伝承の中では尊重される一方で、古代から医学的には充分な研究がなされず、誤解や不理解が蔓延してきた女性器のお話。
    文化的、科学的、民俗学的なアプローチで豊富な図解でていねいにヴァギナとは何か、どういうものかを説き明かしていく快著でした。すばらしい。

    セックスは女性が一方的に受け入れるものではない。その証に人間をふくむさまざな生物のヴァギナには精子の選別機能がついている。そんな話を科学的に説明されるとすごく納得させられます。

    政治経済の話や文学でも、みんなが読むべき本なんてないと思うけど、この本は男女を問わず大人はみんな読んだほうがいいと思える本でした。

  • 071121

  • とんでもない・ものすごい本を読んでしまったものだと、今さらながら後悔しています。こんな本を読まなければ、私はもっと穏やかでいられたのに。

    目からウロコ、というより、無知な私は、唖然・呆然・慄然の連続で、読後は精も根も尽き果てて、ヘトヘトの抜け殻みたいになってしまいました。

    この本が悪いんです、自分の言葉で語る気力も何もかも喪失させたこの本が・・・・・・・
    だから、しかたなく「訳者あとがき」に代わってもらいます。

      ★  訳者あとがき 藤田真利子 ★
    本書「ヴァギナ 女性器の文化史」の原題はThe Story of V-Openig Pandoras Boxk 「Vの物語 パンドラの箱を開く」である。パンドラの箱とはヴァギナのこと、人間の災厄も未来もそこから出てくるという意味かもしれない。科学の博士号を持つジャーナリストである著者、キャサリン・ブラックリッジは多方面からアプローチすることによって、ヴァギナの真の姿を描き出そうとしている。
    神話や伝承、あるいは民俗学では、恐れ敬われ、魔除ともなる力強い姿が紹介され、あるいは、歯のある恐ろしい姿が示される。言語学的方面からはさまざまな文化におけるヴァギナの名称とその由来が語られる。ヴァギナはまた、歴史上さまざまな誤解を受け、科学に無視されてきた。西洋文明による誤解の例は枚挙に暇がなく、なかには支離滅裂の域に達しているものがある。たとえば、マスターベーションの害を防ぐためにクリトリス切除が行われたかと思えば、ヒステリー治療のためにヴァギナ・マッサージが医師の手によって施された。バイブレーターというのは医療用器具だったというのだから驚く。それが家庭でも手軽に治療できるようにというので小型のものが開発され、二〇世紀はじめのアメリカでは、シアーズ・ローバック社のカタログにも載る家電製品だったのだという。たしかにオーガズムは体によさそうではある。

    実際この秘められた部分について、私たちはどれだけ正確なことを知っているだろうか?単純に自分のものを「見る」ということでさえ非常に難しいのだ(と言っても人のものならなおさら難しいわけだが)。そしてどうするかといえば、仮にも知的好奇心の旺盛な女の子なら、鏡を使って調べる。ちょうど、本書に紹介されているアンネ・フランクのように。だが、その奥となったらもう手に負えず、古代の神話ならぬ現代の科学的装いを持つ神話の陰に隠されてしまう。ところが、著者によると最近ようやく女性生殖器の役割に科学の目が向けられるようになり、いろいろと新しいことがわかってきたらしい。
    ひとつ著者が強調しているのは、ヴァギナから子宮にいたる生殖器は、精子を運び受胎した卵子を育てるだけの単なる入れ物ではなく、精子の選別や受胎にもっと積極的な役割を果たしているということである。しかも、多数の種ではメスも複数の相手と交尾することがわかり、もともと怪しげだった「・・・・だからオスは多数の相手と交尾するのが自然界の普通の姿だ」というような一見科学的な迷信は、スタートの事実から間違っていたことがわかったわけである。ほら見ろと言わんばかりの著者の力の入り具合がほほえましい。翻訳をしていてよく感じることなのだが、ヴァギナを指す言葉に関しては、日本語のタブー度は非常に高い。お疑いなら、今すぐ「お」で始まり「こ」で終わる三文字ないしは四文字の言葉を口に出してみればいい。予期した以上の抵抗があるはずだ。ウィメンズ・リブ全盛の頃、女性生殖器の新しい呼称を選ぼうという話があったことを覚えていらっしゃるだろうか。
    お風呂に入って男の子に「おちんちん、きれいに洗いなさいね!」とは言えるが、女の子に「おまんこ、きれいに洗いなさいね!」と言える母親は(父親もだが)いないからだ。女性のセクシュアリティの権利回復を狙うのなら正しい戦略だったのかもしれない。名づけられないものは「存在しない」ことになるからだ。だが、「われめちゃん」はじめ、さまざまな候補が上がったが、定着したものはひとつもなかった。あまりに恥ずかしくて口に出せないのか、神聖すぎて口に出すのをはばかるのか。いずれにせよ、気軽に名前を呼ぶのを妨げる何かがあるようだ。このように、事実にまつわりついてきた何か、それを文化と呼ぶのかもしれないが、それはまた偏見であったり迷信であったりもする。著者は、そうした飾りや履いを取り去ったヴァギナのありのままの姿を見てほしいと思ってこの本を書いた。ここは間近に寄ってじっくりと見つめてみてはどうだろう。だいじょうぶ、噛みついたりはしないから。


    この感想へのコメント
    1.ちっこいの (2007/11/17)
    気にはなるんですけどね・・・自分のも、この本も。
    正面きって書かれたものを読んだら、確かにぐったりしそうです。読破、お疲れさまでした。

    2.船橋胡同 (2007/11/23)
    昔の青年は、辞書で興奮した。図鑑で見ても魑魅魍魎。
    結婚40年程経っても???です。
    通俗的に、ここから文化が発達したとか。

    この「訳者あとがき」の記入お疲れ様。紹介のコメントと
    ともに楽しく拝読。本屋で立ち読みしないで済みました。


    今日は、孫娘と風呂に入る予定が風邪で来られない。

    3.衒学舎 (2007/12/22)
    いえいえ、判り易い文章ですので、気楽に読めば良いと思いますよ。分厚くて少し高価ですが、下手な新書を数冊買うよりコスト・パフォーマンスは良いのですから。また、読破しなくても関心のある章から読んでいっても理解できますよ。

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著者プロフィール

1968年生まれ。科学博士号を取得後、科学医療ジャーナリストとして活躍。『ヴァギナ 女性器の文化史』が初めての著書。

「2011年 『ヴァギナ 女性器の文化史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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