- Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309204604
感想・レビュー・書評
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図書館で、なんとなく気になって手にした本。ル・モンド紙のピエール・ルパープの推薦文にあった「本書は嘘、純然たる嘘である」という言葉にも、心惹かれた。
あの「なんとなく気になる」感覚を頼りにして良かったと思う。衝撃的なエンディングに、この本を寝る前に読んだことを深く後悔したけれども、でも、今年読んだ中で一、二を争う本だったから。
口ひげを持つ「彼」がふと気まぐれにした提案が引き起こす、なんとも後味の悪い、座り心地の悪い感覚。何がどうなる、とはっきりと説明できないのに、苦いものを口にしたときのように、はっきりとその苦さは記憶できる。
ハラハラドキドキの二歩くらい手前、どんな感情からも手が届かないだけに離れた距離の中、不安とだけは手と手を取り合って暗闇を進まなくてはいけないような感覚。
繊細で女性的ともとれそうなくらいに精密に描かれる動作を通して、猜疑心の塊だったはずなのに、平穏な心だけが得られる、あたたかい愛情が感じられる。矛盾しているのに、とても理路整然としている。でも、なにも論理的でない。
どこかで、「カフカが好きなひとは好きだろう」とあるのを読みましたが、まったくその通りだと思います。深夜に偶然みてしまったカフカの映画を観た時と同じような、後味の悪い爽やかさを感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こういうのがフランス文学なんですって。
ミステリー。
言葉通りにしか理解しなかったけどよく分からなかった。 -
怖い怖い。ラストも怖すぎ。一体どっちなのお?リドルストーリーって事?
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ひげをそったことから存在世界に亀裂がはいり、その悪夢に見入られる。欠落した存在を亀裂部分に求め意識すればする程に、これまでの認識世界と除々に拡大してく亀裂の合間の矛盾。所在をますます喪失させながら、日常とアイデンティティをさまよう、Dazed And Confused。