すべての、白いものたちの

  • 河出書房新社
4.02
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本棚登録 : 949
感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309207605

感想・レビュー・書評

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  • 色々な しろ で綴じられていた。様々な手ざわりの頁を捲ると、たくさんの掌で撫でられ、まるで真っ白い包帯で傷口を包んでくれるような慰撫。書体のちがう声は、わたしにちょくせつ語りかけ、希う、祈りのよう。
    美しくてさびしくて優しい情景がとおりすぎる(キアロスタミの24フレームみたい)。
    なんだかずっと、泣きたいきもちだった。哀しいのか、嬉しいのかもわからない。この曖昧さに、しぶんなりの言葉をあたえるために、わたしは物語を巡遊するのかもしれない。そして雪の結晶をみつけたみたいに、ちょっとした発見をして、白く笑うんだ。
    すべてが永遠でないことの、幸せと不幸せをにぎりしめて。

  • 白は聖なるもの。
    高潔。けがれのない儀式めいた文章。

    ろうそく、雪、雪片たち、みぞれ、霧で涙が出たり、共感または感動したり。
    寒い冬に読んでよかった。

  • 圧倒的に美しい雪のような

  • ss集がと思いきや、ひとつひとつが少しずつ繋がっていて、全体像が次第に見えてくる。文章を繋ぐのは“白いものたち”であり、“わたし”と今ここにはいない“わたしの姉”の母によって語られた記憶の3つ。波が寄せては引いていき、少しずつ渇いた砂浜を濡らしていくような、穏やかだけど近付いてみると荒々しい文章だった。

  • 4.11/643
    内容(「BOOK」データベースより)
    『しなないで、しなないでおねがい―その言葉がお守りとなり、彼女の体に宿り、そのおかげで私ではなく彼女がここへやってくることを、考える。自分の生にも死にもよく似ているこの都市へ。うぶぎ、ゆき、つき、こめ、はくさい、ほね…白い光と体温のある方へ―ワルシャワと朝鮮半島をむすぶ、いのちの物語。アジア唯一の国際ブッカー賞作家、新たな代表作。最注目の作家が描く破壊の記憶と、再生への祈り。』


    (冒頭)
    『白いものについて書こうと決めた。春。そのとき私が最初にやったのは、目録を作ることだった。

    おくるみ
    うぶぎ
    しお
    ゆき
    こおり
    つき
    こめ
    なみ
    はくもくれん
    しろいとり
    しろくわらう
    はくし
    しろいいぬ
    はくはつ
    壽衣

    単語を一つ書きとめるたび、不思議に胸がさわいだ。この本を必ず完成させたい。これを書く時間の中で、何かを変えることができそうだと思った。傷口に塗る白い軟膏と、そこにかぶせる白いガーゼのようなものが私には必要だったのだと。』


    著者:ハン・ガン  
    訳者:斎藤真理子
    出版社 ‏: ‎河出書房新社
    単行本 : ‎192ページ

  • 失念してたけど、『ギリシャ語の時間』の人だったか
    あれはあれで独特な雰囲気あったけど、これはそれが全開
    またさらに独特…掌編みたいな…??

  • やわらかで淑やかな言葉の羅列に、生きることと死ぬことの両端が行き来している。波の文章がよかった。章ごとに紙の色が違うのも素敵

  • 注目している作家の一人。じっくり味わうように読みたい本。

  • 又吉のおすすめにあったから読んでみた
    紙質が違うのがいいね

  • 白い言葉と物語。空気と空気の間、という印象が強い。そして何故かじわじわとわたしの生にも浸透してきて、おくるみに包まれた赤ん坊のようになる。哀しみと祈り。装丁や、紙質にもこだわっていて、「本」自体の表現も素敵。

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著者プロフィール

著者:ハン・ガン
1970年、韓国・光州生まれ。延世大学国文学科卒業。
1993年、季刊『文学と社会』に詩を発表し、翌年ソウル新聞の新春文芸に短編小説「赤い碇」が当選し作家としてデビューする。2005年、中編「蒙古斑」で韓国最高峰の文学賞である李箱文学賞を受賞、同作を含む3つの中編小説をまとめた『菜食主義者』で2016年にア
ジア人初のマン・ブッカー国際賞を受賞する。邦訳に『菜食主義者』(きむ ふな訳)、『少年が来る』(井手俊作訳)、『そっと 静かに』(古川綾子訳、以上クオン)、『ギリシャ語の時間』(斎藤真理子訳、晶文社)、『すべての、白いものたちの』(斎藤真理子訳、河出書房新社)、『回復する人間』(斎藤真理子訳、白水社)などがある。

「2022年 『引き出しに夕方をしまっておいた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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