- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309208091
感想・レビュー・書評
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スゴイよねソローキンの、巨匠なのに「守り」入ってなさ。なんかね、晩年のマイルスデイビスにインタビュアーが「昔の曲が評判いいのになんでわざわざそれを否定するような実験的なことするんすか?」とか聞いたのよ。ま答「アーティストとはクリエイティブであるべきだ。同じ曲を発売するのはただの演奏家だ」。でも最近のソロさん、サブイゆうて靴下重ね履きして鬱血してる感ある。田舎のヤンキーに読んで欲しい。原付パラリラやってんの、ほんまーそんちゃら意味ねえことせんで、ソ連の革命の本読みんさいや。まあ30年前に書いたヤツやけども。
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ソビエトが停滞していた時代に反体制派のレズビアンとして生きるマリーナの恋愛とソビエト社会の話。
前半は当時のソビエトで反体制派として生きる生活の話なのかと思って読んでたら、後半からの展開が意外すぎた。
個を失って集合意識になっていく表現がすごかった。徐々に文体や話し方が変わっていって、最後は報告書みたいな文章が繋がってるのは怖かった。
男性性によって共産主義者として目覚めるのが、より強い力によって洗脳されている感じは読んでる時はよく分からなかったけど、最後まで読んでから振り返ると怖かった -
■物語の舞台は1983年、ソ連のモスクワ。主人公は30歳のピアノ教師マリーナ。
前半は、彼女の享楽的な日常が語られる。副業の売春では男とも寝るが、オーガズムを得られる相手はもっぱら女性のみ。今までにつきあった29人のステキな彼女たちの写真を眺めては、濃厚で夢のようなセックスの思い出にひたる。美味しいロシア料理とワインとマリファナで準備して、さて今宵はふたりで何回イクことになるか、明日の昼頃に目が覚めて果たしておぼえているかしら?
■………しかしある晩マリーナは夢を見る。”ロシア”という巨大な男が彼女の前に立ちはだかる夢を。
■後半は、たったひと晩で豹変してしまったマリーナの新生活が語られる。工場で誰よりも一生懸命に働いて汗を流し、ささいなミスをした同僚の労働者を糾弾し、アメリカ・イスラエル・コカコーラを忌み嫌い、共産主義が地上にあまねく行きわたることを確信する完全無欠のコミュニストに……。
■この調子で進んでいって作者は最後にどう決着を付けるのか? 心配しながら読んでいたのだが………あ、そうするの………。まあ、ソローキンらしいというか、笑えたけど………。