心経

著者 :
  • 河出書房新社
4.09
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本棚登録 : 86
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309208336

感想・レビュー・書評

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  • 閻連科2冊目読了♪

    本書も図書館にてお借りした一冊です。
    読みたかった著者の別の本が無かったので、ブクログで評価が高かった本書をお借りしてみました。

    神様?仏様?いっぱい(〃^∇^)o_彡☆

    それをある意味イジる閻連科はやはりスゴイ( >﹏< *)

    攻めるよね~

    よし、次はアレを借りて読もう!!


    <あらすじ>
    物語は五大宗教研修センターという場所で展開されます。このセンターでは仏教、道教、プロテスタント、カトリック、イスラム教の信徒が集まり、研修を受けています。主人公は純真無垢な若い尼僧で、恋やお金に翻弄されながら世の真実を知ることになります。物語には老子や菩薩も登場し、宗教と世俗、神聖と現実が交錯する瞬間が描かれています。

    この小説は、中国の宗教事情や信仰と組織、人々の繋がりについて考えさせられる作品であり、閻連科の風刺的な筆致が光ります。切り絵の挿絵も素敵で、中国の宗教政策についての洞察を提供しています。



    五大宗教研修センターで学ぶ純真無垢な若い尼僧が、恋とお金に翻弄されながら世の真実を知る。老子や菩薩も登場する新しい宗教小説。

    著者について

    1958年中国河南省生まれ。80年代から小説を発表。2003年『愉楽』で老舎文学賞受賞。その後、本書など多数の作品が発禁扱いとなる。14年フランツ・カフカ賞受賞。ノーベル賞の有力候補と目されている。

    1954年生まれ。中央大学文学部教授。訳書に、余華『活きる』『死者たちの七日間』、高行健『霊山』『ある男の聖書』、蘇童『河・岸』、畢飛宇『ブラインド・マッサージ』など。

  • いや綱引って!!
    それぞれの宗教についてや、中国内での各宗教の立ち位置などに詳しければもっと読み込めたのだろうけど、充分面白かった。
    思わず笑ってしまう面白さと、触れれば切れるようなシビアさが同居する、さすがの上手さ。
    切り絵も良かったなぁ!

  • 中国5大宗教と、その全ての上に君臨する共産党、という中国でしかありえない特異な状況を中国国内にいながら書く、という行為そのものが政治性を孕まざるを得ないだろうな・・・と読者としては背景を勝手に想像してしまう。
    なので、どうしたって深くも重厚にも鋭くもなってしまいがちなテーマと思いきや、宗教者同士の(文字通りの)綱引きという荒唐無稽な設定と軽妙な展開で、聖と俗のすれ違いの一瞬を軽くふんわりと。
    煩悩を捨ててある種の悟りを開くという宗教的なカタルシスが訪れるんだけど、とはいえやっぱり聖と俗が表裏どころかすぐ隣にあっけらかんと共存する軽やかさこそがなんかだと思う。なんなのかは僕にはうまく言えないけど。
    それにしても閻連科さんの小説に登場するキャラクターは、いつも端役にいたるまで生き生きしていて面白いなあ。

    後記に閻連科自身が表現したまさにこの通りの小説だと思いました。
    ”神聖と世俗が交錯するのときの曖昧さを描く、軽い小説
    神聖と世俗がやむを得ず接触することの苦楽を自覚した小説”

    あとたくさん出てくる切り絵がかわいい

  • イスラムについても少し触れられていて、「もはや神は人を救えない」となって宗教セミナーが終わる。なんとも言えない辛い話だが、日本人的には「まあそうだよな」、とスカッとする感じなところもある。

  • 最後が衝撃すぎて、それまでの内容が吹っ飛んでしまった!
    どんなふうに話が落ち着くんだろうと思いながら読み進めて、最後そうなのーー??とほんと驚いた。
    訳がよいのか?読みやすかった。
    切り絵が美しく、それだけでも読む価値あると思った!

  • 中国の五代宗教、すなわち仏教、道教、キリスト教、天主教、イスラム教の幹部クラスが集まって学ぶ宗教研修セミナーが舞台になっている。体育の授業で宗教対抗の綱引きが行われたり、試験では共産主義と宗教の関係が問われたりする。よくわからない設定の中で、政治的、打算的な行動や恋愛も繰り広げられる。よくわからないなりに、面白いけれど、他の人に勧めるのは、ちょっとためらってしまう、そんな本だった。

  • 中国共産党×五大宗教(仏教・道教・カトリック・プロテスタント・イスラム教)というヘビーなテーマだが軽快な文体でユーモアたっぷりに描かれておりサクサク読める。
    宗教でさえも共産党をトップとした権力争いに絡め取られ、もはや神々は認知症を患っており人々を救えない…という結末はある種予想通りではあるが、この状況下でこの結末を描ききる著者の凄みに圧倒される。
    主人公の18歳の尼僧と20代の若い道士が翻弄される様子は非常に痛々しく読み進めるほどに辛くなるが、だからこそ最後に神はもう人間を救えないという悟りに説得力がある。
    翻訳版がまっさきに刊行されるのは日本で、著者あとがきにも日本ではより多くの人が共感してくれたらとあるが、日本でも、もはや信仰は物語の上でしか成り立たないという点など共感できる部分は非常に多いのではないかと思う。
    多神教文化である日本と、欧米圏では綱引きシーンやラストのマンション神様大集合の場面はきっと感じ方が大きく異なるのではないかなと思う。(一神教文化で見たときのこの場面の強烈さを味わってみたかったなと笑)

  • 相変らず攻めてる閻連科。
    いやあ信徒はみんな俗世間にまみれ過ぎてるし、おまけに神様はみんな〇〇症らしいし。

    でも原理主義掲げて戦争する代わり、宗教同士毎年綱引きすればいいと思うのは自分が無神論者だからか?

  • どうしても「愉楽」とか「炸裂志」と比べちゃうので、そうするとハデさは欠けるんやけど、それはそれとして「人民中国での宗教」って相変わらず攻めるよなぁ。
    で、今神々そんなことになってんの?えー、そんなんバラしてもうあらそら党とか政府以外にも色んなとこから睨まれるわ、読んでるこっちはスッキリするけどさ。

  • 2023/8/5購入

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著者プロフィール

1958年中国河南省生まれ。80年代から小説を発表。2003年『愉楽』で老舎文学賞受賞。その後、本書を含め多数の作品が発禁扱いとなる。14年フランツ・カフカ賞受賞。ノーベル賞の有力候補と目されている。

「2022年 『太陽が死んだ日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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