- Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309226040
感想・レビュー・書評
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ローマ帝国の華やかなる影に、命の価値が羽のように軽く、あっけなく死んでいく貧民たちの姿があった。シビアな当時の死生観が紙面を通じてビンビンに伝わってきた。
古代ローマ人の性のやりとりが、コロシアムのエッチな出し物から路地裏の暗黒面まで生々しく描写されており、長年教育ドキュメンタリー番組を手掛けているという筆者の力量を感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「愛は十二世紀の発明」という言葉を聞き、それ以前の『愛』についてとても知りたくなりました。
『古代ローマ人の愛と性』という本ですが、実は自分『現代日本人の愛と性』も未だよくわかっていません。
友人と話していても「何か違う」と感じるし、愛と性がらみの訳わからない事件が日々TV新聞を賑わせている。
昨日のニュースにあった「慶大院生ボクサーが妻の同僚42歳の局部を切り取って水に流した事件」は最たるものではないでしょうか。
余談ですが、古代ローマの去勢者は、三つのカテゴリーに分けられていました。
睾丸を切除された者たちは「スパドーネス」、睾丸を潰された者たちは「トラシアエ」、そして睾丸とペニスを切除された者たちは「カストラーティ」です。
このニュースで想像すると、被害にあった弁護士さんはカストラーティではないか?
これら「第三の性」は古代ローマで人気者だったそうです。
話をもどして、「愛と性」とは、芸術同様、言葉を超えるもので、また一人一人ちがう、特に異性になると別物なのかもしれない。
だから私には「わからない」のかなと思いました。
でも、そんな私なりに古代ローマについて書いてみます。
古代ローマで、結婚後に愛が芽生えるというケースもあったそうです。
それは解放奴隷の夫婦に、より顕著で、これは私のイメージする理想とする愛に近い気がします。
でも貴族の結婚となると、愛情に基礎を置かないことが婚姻関係の長期の継続を保証していました。
結婚は単なる契約でした。
愛情の欠如は、夫婦関係にかえって、波風を立ちにくくしたのです。
だから現代の夫婦が直面する離婚や別居の諸要因とは無縁でいたのです。
そうか、慶大院生ボクサーがもし奥さんを愛していなければ、あのような事件は起きなかったのかもしれませんね。
12歳ぐらいで親の決めた40代男性と結婚、悲惨な初夜。
女性の平均寿命である29歳を超えるころに、夫はすでに初老。
そして彼女たちは舞台俳優、戦車競走の馭者、剣闘士らと浮気。
夫も浮気しているし。
ローマ人は現代人よりもはるかに「お盛ん」だったと結論づけるべきだろう、と著者。
これには、当時の人々が性に対してきわめて開放的だったのと同時に、自由な精神の持主だったことが関係しているそうです。
現代人のような倫理観から生じる性に対する罪悪感もなく、性感染症に対する恐怖心などもなかったそうです。
そして寿命が短いから、今を楽しもうという気持ちが現代よりかなり大きいようです。
あらためて、現代でよかった。 -
なかなか興味深く、単純に面白かった。もちろん社会的な違いはあるにせよ、根本的に人間って昔から変わらないんだなあ、と。今みたいにいろんな娯楽や情報がない分(そして寿命!)、性に素直なのかな。男性と女性、高位階級と下層階級の違いは酷いけど。