ウイグル大虐殺からの生還 再教育収容所 地獄の2年間

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309228341

感想・レビュー・書評

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  • 【書評】中国の再教育収容所 批判精神を失わせる「期限のない勉強」|NEWSポストセブン
    https://www.news-postseven.com/archives/20211231_1715765.html?DETAIL

    ウイグル大虐殺からの生還 再教育収容所地獄の2年間 :グルバハール・ハイティワジ,ロゼン・モルガ,岩澤 雅利 | 河出書房新社
    https://www.kawade.co.jp/sp/isbn/9784309228341/

  • もう、ね。
    よくぞ生還し、実名で声を上げてくださいました…としか言いようがない。
    私ならできる気がしないし、証言者のグルバハールさんのように、ここまで過酷で、つらいという表現では足りないほどの残忍な扱いを受けながらも自我を保ち、こうして公の場でハッキリと発言する(しかも実名…!泣)なんてできない。
    つらすぎて思い出すこともできないだろうし、思い出せたとしても発言する勇気がきっと出ない…
    毎回こういう過酷な実体験・被害のルポなんかを読むと、星の評価5つけて感想をぽろぽろと書く以外に私にできることある?と思ってしまう。
    本書もそんな本でした。

    かなり詳細にグルバハールさんの経験したことーどういう経緯でフランスに亡命していたグルバハールさんが新疆に呼び出され、強制収容所に入れられ、どのような生活(と呼べるものではない…)を送り、強制収容所から解放され、生還し家族のもとに戻れたかーが書かれている。
    巻末の原注もかなり詳細だ。
    またグルバハールさんは1966年生まれ、強制収容所が作られる前のウイグルのことも知っており、その頃の描写も主ではないが綴られていて一読の価値あり。
    また強制収容所が作られはじめて間もない頃に収容されたこともあり、内部の細かい変化の移り変わりなども知ることができる。
    他のウイグル問題についての著書で、外国に亡命したウイグル人の方が、収容所や新疆ウイグル自治区の自宅にいる家族から、明らかにすぐ側に警官がいるだろう状況で「帰ってこい」と説得された話は何度か目にしたことがある。
    外国にいるそのウイグル人は、公の場でウイグル問題を訴えるため泣く泣く家族との連絡を遮断した…とのことなのだが、グルバハールさんはまさに収容所からフランスにいる家族に対して「嘘」をつくことを強要される立場にあった。
    警官がすぐ側にいる状況で、自分の本心ではないことを言わされる屈辱と家族に対する罪悪感、自分は嘘つきになってしまったという自虐心…もう何も言えなくなってしまった。

    本書を書くにあたり、またグルバハールさんを取り戻すにあたり、グルバハールさんの長女さんが大きな役目を果たされたとのこと。長女さんはじめ、グルバハールさんのご家族の勇気もすごい…と思いました。
    うーん、薄い感想ですみません。
    でも私がここでダラダラ書くよりもぜひ読んでほしいとしか。

    • workmaさん
      ゆまちさん

      書評から、凄絶さが伝わってきました!
      自分は 凄絶なノンフィクションを読むとメンタル引きずられる体質なので、多分読め...
      ゆまちさん

      書評から、凄絶さが伝わってきました!
      自分は 凄絶なノンフィクションを読むとメンタル引きずられる体質なので、多分読めないと思いますが、強制収容所の状態の酷さが理解できました。こういう国があるんだな…つらい…((T_T))

      ということを知るきっかけを教えてくださりありがとうございます
      2022/11/11
    • ゆまちさん
      workmaさん

      こういうつらいノンフィクションはメンタル引きずられますよね…私もメンタル安定している時にしか読めません。だからなかなか、...
      workmaさん

      こういうつらいノンフィクションはメンタル引きずられますよね…私もメンタル安定している時にしか読めません。だからなかなか、ぜひ読んで!とはすすめられないです;
      こういうことをしているのが隣国なのが尚更つらいですね…
      本書は壮絶な内容ながら、冷静な文体で書かれているおかげか、なんとか読めました。
      こちらこそ感想読んでくださってありがとうございます。
      2022/11/12
  • ネットの注文で届いた商品。[Made In China]の札に恐怖を感じる。…「足首の鎖をベッドの格子につなぐ」「蛍光灯のあかりの下、服を脱がされ前かがみにされる」「強制されたワクチン接種。その後生理が来ない」「拷問される我が子の声で自白調書にサインさせる」…蛮行を止められない西側諸国。圧倒的な国力の前に対抗手段がない。勝利したはずの冷戦。自由貿易信仰が自爆を招く。安さと需要を求めた結果、育んだのは共産国。専制経済大国の登場。気づけば、自国の生産力が棄損している。他人事ではない。我々は生き残れるのだろうか

  • AI監獄ウイグルで中国がウイグルでやっている蛮行が指摘sれていたが、これは実際に捕まったひとの体験談。
    娘が亡命先のフランスでデモに参加したというだけで、中国にだまされて呼び戻され、収容される。
    そこで、拷問、刑罰の日々。悪いことしていないのに拷問されて何を言えばいいのだろうか?
    娘がフランスの政府やマスコミに働きからけて解放に至ったらしい。
    『監視』、『監視』、『監視』国家中国。香港の民主化運動も弾圧されているが、チベット、ウイグルなどいろんな漢民族でない民族が抑圧されているのだろうと思う。悪気もなく。
     これは現代版アウシュビッツである。
    そして罪のないウイグル人の臓器は臓器移植ビジネスへと繋がっているようなのです。嗚呼

  • 結局、囚われの身となった彼女が何故解放されたのかはよくわからなかった。収容所でのグルババールがそうであったように何をすれば囚われ何をすれば拷問され何をすれば消されるのかわからないというところがとても恐ろしい。
    この本を出版するにあたっての勇気には敬服する。心の傷が少しでも癒えますように。

  • 中国がウイグル自治区で行っている大虐殺の一端が描かれている。その内容は衝撃的で、戦時中のとても正常ではない状態で行われていた大虐殺と同様なことが、今、現在も行われている。しかも、日本からほど近い中国で行われていることであり、世界代2位の経済大国が行っているのである。民主化された世界に住むものとしては、にわかには信じられない暴挙が行われているが、何とか止めるすべはないのだろうか。中国は国連内部にも人を送り込み、この事実を隠蔽しようとしているが、国際社会は、この暴挙を止める行動を今すぐ起こしてほしい。

  • 現代でもこんなことが起きているのかと、驚愕の事実がまとめられた本。
    中国共産党に怒りを覚える。

  • 自分自身や家族に身の危険が及ぶリスクを覚悟して、実名で出版された告発本であり、世界的に影響の大きな本。新疆ウイグルで起きている思想教育収容所、民族弾圧、ジェノサイドの実態、その収容所から生還した一人の女性の証言。

    過去の話ではない。ユダヤ人における収容所の体験を著した夜と霧、シベリア抑留の話も凄惨さに耐えられぬが、ウイグル大虐殺は、今の話だ。国家による民族に向けられた犯罪、暴力。外交上も不利にしかならぬ行為を、中国共産党はいつまで続けるつもりか。中国でのネット規制にも通ずるが、もはや、国家単位での隠蔽は成立しなくなっている。不利益な声を潰しながら、いつまで独裁が続けられるか。

    真実を広め、人道的な解決を導くためにも、是非、多くの人に手に取って欲しい本だ。

  • じっくり向き合うために1週間ほどかけて読みました。
    彼女の過ごした何年間をよくこの本にまとめていただきありがとうございます。
    という一言です。
    ウィグル人の方々の事は講演会にも行き生の声を聞きました。
    彼女の勇気ある告白に感謝いたします。
    フランス政府も二枚舌なところもあり
    日本も親中派が沢山紛れ込んでおり油断ならないですが
    お身体に気をつけて過ごして頂きたいと思いました。

  • エピローグの最後に「中国の徹底的な抑圧を逃れられるウイグル人などひとりもいないことを知っているからだ」とある。

    『人権』という概念を持たない国家(指導者)があること、そして世界がそれに対してほとんど無力であることに打ち拉がれる。

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著者プロフィール

1966年、新疆ウイグル自治区生まれ。夫と二人の娘とともにフランスに移住。2016年から3年にわたって中国の再教育キャンプに収容される。本書の大部分を一人称で執筆。

「2021年 『ウイグル大虐殺からの生還 再教育収容所地獄の2年間』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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