憎悪の科学: 偏見が暴力に変わるとき

  • 河出書房新社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309231273

感想・レビュー・書評

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  • The Science of Hate by Matthew Williams book review | Evening Standard
    https://www.standard.co.uk/culture/books/science-of-hate-matthew-williams-book-review-b924231.html

    Faber acquires Matthew Williams's The Science of Hate | Faber
    https://www.faber.co.uk/journal/faber-acquires-matthew-williams-the-science-of-hate/

    The Science of Hate
    https://thescienceofhate.com

    憎悪の科学 :マシュー・ウィリアムズ,中里 京子|河出書房新社
    https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309231273/

  • 「憎悪の科学」読んだ kawade.co.jp/sp/isbn/978430… 誰もが持つ嫌いという感情が、強い憎しみに変わったりさらにある人は暴力や殺人を起こすのは何故なのか、一線を越えるきっかけは何か、越えない人との違いは何か、脳科学にフォーカスして論じててすごくおもしろい(つづく

    性犯罪者のように脳の先天的な特徴が原因かと思いきや、後天的つまり生育環境とか成長過程で決定的な体験を重ねてするとか、トラウマの共有による強い帰属意識(信仰心も)とかによって脳反応が次第にカスタムされていく、というのが驚き。事例がどれも陰惨でしこも実例なのでものすごい疲れながら読んだ

  • 2023/8/29
    他民族、他宗教、LGBT等、自分たち(内集団)とは異なる外集団に対する憎悪がどのように増大し、暴言から暴行、テロへとつながっていくのかという要因分析とその対応方法について。
    とはいってもその原因は決して単純ではなく、決定的な対策もなく、事態は今後も悪化していくのだろうなという印象が残った。
    いくつかの要因の中から特に気になったのはいじめや虐待、ひきこもり等で周囲に自分の居場所や生きがいを感じられない人の中には、外集団を攻撃する過激集団の中で自分の役割・居場所を感じることができているのではないかという部分。
    その集団がそういう立場の者を狙って引き込んで利用しているからなのだが、引き込まれたものにとっては世の中の善悪ではなく、その集団に従属し自己犠牲を払ってでもその集団のために役立つことが正義となってしまう。(常識が通用しないカルト集団も同じような形で信者を増やしているのかもしれない。)
    またそのような集団との接点をインターネット、SNSが促進している(アルゴリズムとその効果を悪用されている)ということもヘイトクライムが増えている要因だということ。
    ネット運営側の規制有無や国によるヘイトクライムの取り扱いの違いなども記載されているが、それら諸々の要因に対して対抗手段としては、情報の真偽を疑う、先入観に捕らわれない、相手の立場に立ってみる等、一般常識というか、当たり前のことが書かれているのも少し空しさを感じた。
    大多数の人々は決して極端ではなく常識と良識を持ち合わせているが、それが通用しないごく一部がネットを介して集結、補強し合うことによってトラブルが発生しているのであるから、いくら当たり前のことを説いても改善はあまり望めないような気がする。
    ヘイトに限らず様々なニュースでも非常識な行いが取り上げられるが、それを行っているのは限られた個人や集団なのであって、特定宗教や民族や国家全体ではないということを自覚しないと。
    そしてあらゆる機会を用いて人間同志を分断させようとする動きには乗せられないようにしないと…そうでないとあっという間に権威主義者たちの思うつぼ。

  • 実に力の込められた力作だと思った(何せ著者が自分を実験台にしてまで研究したくらいなのだから)。憎悪という感情から生じるヘイトクライムについて、やまゆり園の事件まで含めて広くサンプルを採集しそこから実験データを元に分析を施していく。人間は憎悪を学習するのか、それとも生来そうした性質が備わっているのか。それは「どちらとも言える」からこそ難しいのだろう。ヘイトクライムの犯罪者の人生をも洗い直すことで勇気を持って見つめるスタンスに著者の優しさと冷徹さを感じる。希望が見えてくる教訓を示しているところもまた美点だろう

  • 人は同じタイプの人間を好む傾向が強い。
    これが憎悪の根本。

  • 偏見が憎悪に変わりヘイトクライムに転換していく過程を、データを基に科学的に解明していく、英国の大学の犯罪学教授による書。日本の事例も含めて、世界各国の事例を丹念に研究されている。

  • 東2法経図・6F開架:368.6A/W74z//K

  • 著者は英国カーディフ大学の犯罪学教授。
    同性愛者でもあり、そのことで暴行をされたことをきっかけに研究者の道を目指す。

    研究の結論が、憎悪の根底には偏見があるということ。

    偏見は全員にあるけど、行動にする人しない人の違いとは?
    偏見はどんな時に憎悪に変わるのか?
    を探る憎しみの科学。

    憎しみを持った個人が集団になると、私たちvs彼らという対立を作り出す。
    集団になると没個性化といった個人と集団の壁が曖昧になる現象が起きる。
    そのため、群集心理として個人の責任が希薄化する。

    集団は怒り、怖れ、屈辱、恥、共感の欠如といったネガティブな感情も助長する。
    最終形態には相手の絶滅があり、ナチスドイツのユダヤ人撲滅のような過激な行動に繋がってしまう。

    このような行動背景には行き過ぎた「情熱」と「執着」といった共通点がある。
    それにより、道徳的大義や正義は自分達にあると思い込み、憎しみの対象を道徳的な敵とし手段の正当化をする。

    集団になると個人では絶対にしないような行動、心理状態になる。
    人の残酷さが分かる一冊。

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著者プロフィール

英国カーディフ大学の犯罪学教授。ヘイト問題研究の第一人者。英国政府、ツイッター、グーグル等に助言を行っている。また、データサイエンスの手法で調査・対策に取り組む「HateLab 」の所長を務めている。

「2023年 『憎悪の科学 偏見が暴力に変わるとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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