見て見ぬふりをする社会

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 160
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309245690

感想・レビュー・書評

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  •  いろいろな実例(デリバティブなど分からないものも多かったが)を取上げて書かれている。その内容は海保博之の著作と同内容であることに気づいた。

    以下、引用
    ●ミルグラムは、田舎の店員は客とじっくり会話をするが、都会のスーパーマーケットのレジ係は、一人の客の支払を処理してから次の客にかかるまでに、ほとんど時間がないことに気づいた。「都市生活者は目的を持って人ごみを縫って進んでいるとき、通りで酔って倒れている者がいても無視する。」ミルグラムは自分が冷たいからでも親切心がないからでもなく、都市生活者というのは、人が密集している街で投げかけられてくる要求にうまく対処する術を学んでいるだけなのだと主張する。
    ●しかしもっとずっと開かれている企業や、正直さや透明性を信奉する企業においても、変化が必要だとずっと前からみなが知っていても、沈黙が変化をはばむことがある。(略)危ない経営状態を話題にすることをおそれるあまり、誰一人経費節減をしなかった。経営者側は社員に心配をかけないようにと考え、社員たちはなんの解決策を持たない経営者側に話しても時間の無駄だと考えていた。誰もあえて苦しい選択をせず、みなが必要な衝突を避けていた。互いのせいで膠着状態に陥っていた。社員も経営者も見て見ぬふりをしていたのだ。
    ●我々は自分に似た人々と過ごすことを好むと同じように、周囲に合せることを好む。自分が周囲と違うのに気づくと、周りの人たちを変えたり、自分を変えたりする。同化は、意識的に行うときも無意識のときも、自分を変えるという選択なのだ。
    ●責任の拡散は、責任転嫁を都合よく言い換えたものにすぎないこともある。我々は、特に上下関係がはっきりしている組織では、自分より上位の者にならうが、彼らが何もしなかったら、我々はどうするべきなのか?我々はどんなときでも給料やキャリアを言い訳にして、間違っているとわかっていることに目をつぶる。
    ●なじみのあるものを好むこと、特定の人や持論への愛着、忙しいことを喜ぶこと、衝突や変化を嫌うこと、本能的に服従、同化すること、責任を転嫁したり拡散させたりする技術などだ。(略)共通しているのは、我々のプライドを守らせ、不調和を減らし、たとえ錯覚でも安心感を与えてくれることだ。

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