おいしい資本主義

著者 :
  • 河出書房新社
3.72
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本棚登録 : 167
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309247274

感想・レビュー・書評

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  • 著者の立ち位置がよくわかる本。
    見た目、半農半Xだと思っていたけど、別に所謂エコに生きたいというスタンスではないことがよくわかる。農作業の厳しさも描写されており、農作業の大変さもよく分かる。

  • 猟師に導くオルタナ農夫、ようやく読みました。

    アウトローで毒舌を吐いているようで、難しい環境に(物理的にも精神的にも)順応できることが素晴らしい!

    志がある人は強い。
    自分がやりたいこと、好きなことのために行動できるのだ。
    ただ、そこまで貫きたいものが見つからない人間も多いのだ。

  • 自分が接している社会的な場所はいくつかあって、その丸い輪がランダムに重なり合ったり触れ合ったりしているんだと思うけど
    著者はライター、新聞社、そして朝だけ農を行っている、ということか。

    今立っている輪を一歩、踏み出して、接しいる輪、重なっている輪に少し重心を移して見る...ということか?
    それはなんでも良いわけではなくて著者の場合は「米」である必要があったみたい...に感じた。
    資本主義と対峙させるためなのか?それはわからないけれど
    一年分の「米」って重みを感じる。
    「米作り」から見えてくる少し先の未来...。
    自分がワクワクできること、自分が楽しんでいる実感。これってやっぱり強いよなぁと思ってしまう。
    今、ここに、今、こうして、元気でワクワクできているって凄い。
    夢中で過去も先のことも考えないで今に集中してるって凄い。

    文章の運びに、語彙の選び方に勢いを感じた。
    今、猛烈に生きてるーーーって感じが伝わった...ちょっとハード過ぎない?って感じたところもあったけど... ^^;

  •  ご自身をライターとおっしゃっているのだが、どう考えても朝日新聞の社員であり、その立場だからこそ人脈や信用で田んぼを借りたり師匠ができたりしているとしか思えない。ご自身をライターという度にモヤモヤするのだけど、実際行っている農作業は本当に素晴らしくて、面白い。実際に手を動かす人の尊さと、ライターと語ることのモヤモヤを行ったり来たりする。

     翌年の農作業の様子も読んでみたい。経済や社会に対する指摘は全くその通りなのだろう。オレの本家の本家も農家なので、頼めば教えてもらえたり、農地を貸してもらえるかもしれないけど、なかなか片手間でやれる気がしない。しかし片手間でこそ意味があるとこの本では言っており、素晴らしい提案だ。

  • 2019310 独特の人生観から始まった米作りの記録。読んで何とかなるんだと思わせる文章が良い。真剣に物事に取り組む事に衒いがない人とわかる。この本を読んで何か行動を起こす人が増えると世の中も変わって行くのではないかと思った。

  • 最初とてもクセがあるなと思った作者だったが、だんだんと親近感が湧いてきて、楽しく読み上げることができました。
    渋谷生まれの渋谷育ちである作者が、農業をしながら感じ取ったことが、現代の社会問題を再認識して、過剰な資本主義社会での生き方について考えさせられる、そんな展開がなかなか斬新だった。

  • 書き方が好き。

    資本主義による繁栄は、持つ国々が持たざる辺境の国々から搾取することを通して、持つ国々のみが享受しており、限界が近い。また、価値交換が金銭による市場を通したものに限定されている価値観の中で、資本家が労働者兼消費者を搾取する構造に基づいている。これが、筆者の現代に対する理解。

    そんななかで、朝日新聞で本社やニューヨーク勤務の経歴を持つ筆者が、ちょっとした妄想とひねくれから諫早に飛ばされることになり、朝一時間だけ農業をすることで、自分の食い扶持を確保しようとするお話。

    今まで読んできた、移住x農業系の本は、やたら”有機”、”自然”、”手作り”にこだわっていてハードル高そうな印象を受けていたが、今回は自分の好きな仕事をするために食い扶持を確保する(25mプールくらいの水田で男一人が食っていける白米を作る)という目的がはっきりしているので、余計なこだわりがなかった。私も、衣食住に困らないことがある程度保証される環境が作れれば、もっと人生の選択肢が増えるような気がしているので、とにくあく食い扶持確保するための地方移住X農業という考え方には共感できた。

    そんな筆者が、なんとか見つけた師匠が理想的だった。やって見せ、少し言って聞かせて、させてみる人。させてみたら、本当に危険なとき以外は口を出さない。やっぱり教育はこの方法が一番。

    田舎暮らしになじんでいくといろんな人との繋がりができてきた筆者。そんな中で、贈与経済の大きさを知る。野菜が取れれば、わかちあう。酒ができれば、わかちあう。野菜なんて育てていたら、自分ひとりで食べきるなんて無理。だから自然と交換し合う。GDPにあらわれない価値。それで暮らしをつなげると、都市の価値観にとらわれずに生きていくことができる。

    将来、地方都市は消滅するという話が出ているが、それは自治体の話。また、インフラも数十年後には行き届かなくなる。すでに投資済みなのだから、行き届いている今のインフラを最大限使い倒そう。

    スティーブン・キングは、言葉の引き出しをできるだけ持っておくことが、小説家の大事なことだと言っていた。できる大工が、整理された道具をつねに持ち歩くのと同様に。これを見て、エンジニアも、知識とビジネスに関する引き出しをたくさん持たないといけない。

  • 面白い。

    著者のロックンロール的な自分語りがちょくちょく入りつつ、新聞記者でありながら毎日1時間農夫するという企画書籍。

    米を作る、農業でなく自分が食らうおまんまを自分で作ることで、全く違う地平を得る。

    成長前提の資本主義社会の終焉とすると、自分に手仕事があるのが良いとなるかもしれない。その時はすでに国家や社会は変わり、自治体消滅ということで自治の設計も変わるかもしれない。

    結論はない。しかし、俺はこれでいくというスタイルは最高に格好いいと思う。

  • 朝日の連載が面白かったから、そこに追加した本かと思ったのに全然違う!Σ(゚Д゚)書き方変えてるのか、さすがプロ。でもなんつーか、新聞の方は緩〜い感じが良かったけど、本の方は力入り過ぎているような?結局熱くなっちゃうんだろうなあ。やりたいことは譲りたくないから、食い扶持は別に稼いでおく手段は、ジギーの人と同じでいいと思う。二足も三足も草鞋履いとけって、これからはそうじゃなきゃ辛いよね。でももうちょっと笑える部分も入れておいてほしかったな〜、面白かったから('・ω・')

  • オルタナティブ農家という新しい提案。
    兼業農家でもなく、もちろん専業農家でもない。
    好きなことをして生きていくために、生きていくために必要な米を自分で作る。
    「会社にしがみついていなければ生きていけない」という思い込みからの脱却。
    著者のように、実際に行動に移すまでとはいかなくても、頭の片隅に「死ぬほど辛ければこういう生き方もありなんだな~」とメモしておきたい。

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著者プロフィール

1963年東京都生まれ。朝日新聞社入社後、「AERA」編集部、文化部、長崎県諫早支局などを経て、現在大分県日田支局長。著書『朝日新聞記者が書いた「アメリカ人アホ・マヌケ」論』、『おいしい資本主義』他。

「2023年 『アロハで田植え、はじめました』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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