少年愛の美学 (河出文庫 177C BIBLIA TARUHOLOGICA)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 209
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309401584

感想・レビュー・書評

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  • 表紙のデザインが良いよね。
    誰の絵だろう?とても好き。これはジャケ買いに値するよ。
    ずーっと昔に買ったのに、今見ても良いもん。

    ずっと前に読んだ本。
    稲垣足穂の本はいろいろ所有してるんだけど。
    三島由紀夫が「昭和文学のもっとも微妙な花のひとつ」と言ったのは、とても良く分かる。たしかに、そーだなーって思う。微妙な人だ。

    稲垣足穂が好きな人、っていうのは、もうどこまで行っても好きなんだよね。

    オレにとっては、微妙だった。
    「もう、どこまでも好き」ってなりそうな部分もあったし
    「こんなのくだらない」って言いたい部分もあった。
    稲垣足穂はとにかくガンコで、自分の好きな道を貫いた人だから。

    タルホと三島の違い、というのは、誰かがブログで書いてたんだけど、日本では、タルホの時代はまだ少年愛や同性愛に対して世間がおおらかで、問題視してなかったから、タルホは学校生活においても先輩から受け継いだ慣習のようなものとして同性とセックスしてたけど、三島の時代になると西洋から「ホモセクシャルは罪だ」というキリスト教的な倫理観が入ってきて、三島は、同性愛を隠し通さなければならなかった、という。

    まあ、少年愛や同性愛において、足穂は最後まで無邪気だし、おおらかだよね。
    でも、実生活で、どこまで、彼は、そういうことしてたんだろう?

  •  稲垣足穂が少年愛について考察したエッセイである。他の作品の題名でも使われているA感覚、V感覚、O、Pなどの言葉を使い、過去の文献から少年愛にまつわる部分を引用し、自分や周りの作家、読者が送ってきた手紙等の意見を交えて記述している。ちなみに上記のアルファベットは英語の頭文字で、A=アナル、V=ヴァギナ、O=オーラル、P=ペニスのことである。この作品の中ではA感覚をV、O、Pよりも重要であると捉えて、それらの感覚を内包するものであるとしている。
     昨今メディアで報道されたようにキリスト教の聖職者たちが少年に対していかがわしい行為をしたというニュースをたびたび目にする。今まで自分の中では少年を女性の代理として見立て、性欲を満たそうとしていたのではないかと考えていたが、この作品を読むと、それは間違いであるのかもしれないと思う。この作品の中でも聖職者と少年愛について取りあげているが、それはキリスト教に限らず、古代ギリシャ、日本の仏教、日本の将軍たちにおいても数多く存在していたことを物語っている。特に権力者が少年に対して教育の一つとして少年愛を取り入れていたようである。その場における作法に関することまで文献に残っている。
     その他にも少年愛、A感覚をめぐる考察が膨大な量の知識から構成されており、これらを咀嚼していこうとすると感想という量には収まりきらないだろう。
     作品の内容の他に文章の構成に目を向けると、このエッセイではまるでラジオの電波のように唐突に引用や読者の手紙が挿入されている。それがこの作品の面白さを引き立てる技法として効果を発揮している。文章としての妙にも惹かれるものがある。

  • 昔読んだ本。昭和48年5月30日発行、河出文庫初版。

  • 第一章:幼少年的ヒップナイド/第二章:A感覚の抽象化/第三章:高野六十那智八十/巻末エッセイ:澁澤龍彦

  • 12/25 読了。

  • 感性として持っていたい感覚。

  • 2009/
    2009/

    少年愛・・・?

  • タルホ先生を入れずして…!

  • 美学として貫けるかどうかは当人次第。

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著者プロフィール

稲垣足穂(1900・12・26~1977・10・25) 小説家。大阪市船場生まれ。幼少期に兵庫・明石に移り、神戸で育つ。関西学院中学部卒業後、上京。飛行家、画家を志すが、佐藤春夫の知己を得て小説作品を発表。1923年、『一千一秒物語』を著す。新感覚派の一人として迎えらたが、30年代以降は不遇を託つ。戦後、『弥勒』『ヰタ・マキニカリス』『A感覚とV感覚』などを発表し、注目を集める。50年に結婚、京都に移り、同人誌『作家』を主戦場に自作の改稿とエッセイを中心に旺盛に活動し始める。69年、『少年愛の美学』で第1回日本文学大賞受賞、『稲垣足穂大全』全6巻が刊行されるなど「タルホ・ブーム」が起こる。

「2020年 『稲垣足穂詩文集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

稲垣足穂の作品

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