ヨーロッパの乳房 (河出文庫 121N)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 120
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309402031

作品紹介・あらすじ

ヨーロッパの名は美女エウロペーに由来する。ウエロペーにはぐくまれたヨーロッパは、また著者にとっても精神の母胎であった。昭和45年、その"眷恋の地"へ著者は初めて旅立った。かねてから心ひかれていた城、庭園、都市、美術館などを求めて、フランス、スペイン、イタリアと足をのばした後ヶ月の滞在は、視る喜び、味わう楽しみにみちた旅であった。当時の印象を中心に編まれた紀行集。

感想・レビュー・書評

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  • バビロンの架空庭園好きとしては、”イゾラ・ベッラという島全体がバロック庭園になっていて、あたかも「バビロンの架空庭園」のように、怪奇で幻想的であることを知り”、あるいは、"バビロンの架空庭園には、ありとあらゆる種類の珍奇な植物があつめられ、時をわかず、エキゾティックな美しい花々が咲きみだれていたと語り伝えられています(フローラ幻想)”といった一節に心惹かれる。◆また、アストロラーブ好きとしては、加藤郁乎「天文や大食の天の鷹を馴らし」という一句から、店のあるじとのアストロラーブ購入交渉まで含めて「イスパハンの昼と夜 アストロラーブについて」は一章まるごとお気に入り。◆19cフランスの東洋学者エルヴェ・ド・サン・ドニ侯爵 自分の好きな女の絵を描きながら、イリス根という芳香性物質を口にふくんで、女のイメージと匂いとを結びつける練習をくりかえし、ある夜、眠っているときに、クッチにイリス根を入れてもらったら、夢の中で好きな女に会うことができた(匂いのアラベスク)というエピソードにも、そんなことが!という驚き◆安楽死保険会社のセールスマンとのやりとりの一章は、伝奇的と思いつつも、ふと考えさせられる死生観。服装、食事をはじめとして質素な生活を送り、宮殿からほとんど外へでないまま全カトリック世界に号令していたというフェリペ二世、異端としりぞけられて解散させられたテンプル騎士団については、もう少し知りたいと思った。

  • 言わずもがな、私のアイコンはこの本から来ている。この澁澤の本を読んで、私は実際イタリアのボマルツォ怪物庭園に行った。途中バスが壊れて滞在時間は2時間くらいだったけど、最高に濃密な体験だった。

  • 十数年ぶりに再読した1970年のヨーロッパ周遊記。
    恋焦がれた土地を直に見、体験するその喜びが溢れておりました。
    『パリ食物誌』の中のムール貝の記述に「(日本の貽貝にあたるらしい)」と注記があるのが何だか時代をとても感じてしまいました。そしてそれが新鮮に思えてしまうのも古い本を読み返す楽しみなのかも知れません。

  • 著者・澁澤龍彦がヨーロッパ旅行をしたときの印象をもとに書かれた本。著者の趣向に偏りがある感は否めないが、ヨーロッパの美しい情景描写・芸術品の描写の周囲に、仄かなエロティシズム表現が馥郁たる香りのように漂い、一種独特の陶酔に似た感覚を起こさせる。著者が冒頭で「ヨーロッパはどこへ行ってもバロックの洪水でげんなりする」と書いているが、著者が言う意味では、この本も十分バロック調なのではないかと思えた。たまに笑いも誘う、面白い本だった。

  • フランスの庭についての本を読み、氏も同テーマで書いていたのを思い出して再読。初めてのヨーロッパの旅。恋い焦がれた国々を巡る確認作業のような紀行エッセイ。「バロック抄 ボマルツォ紀行」「マジョーレ湖の姉妹」「洞窟について」「理想の庭園」「噴水綺談」庭園についてのエッセイに満足々。他に「昔と今のプラハ」も。プラハを舞台にした小説を積んであるので興味深く読む。

  • バロック抄 ボマルツォ紀行/昔と今のプラハ/マジョーレ湖の姉妹/狂王の城/バーゼル日記/エル・エスコリアル訪問/骸骨寺と修道院/奇怪な偶像/優雅なスペイン、優雅なゴヤ/神話の国を訪ねて/イスパハンの昼と夜 アストロラープについて/砂漠に日は落ちて……/
    幻想美術とは何か/シンメトリーの画家 谷川晃一のために/紋章について/日時計について/洞窟について/理想の庭園/巨木のイメージ/パリの食物誌/鏡について/噴水綺談/匂いのアラベスク/フローラ幻想/オカルティズムについて/シェイクスピアと魔術/わたしの処女崇拝/エロスとフローラ/貝殻/自分の死を自分の手に/フランスのサロン

  • (1992.07.03読了)(1987.10.12購入)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    ヨーロッパの名は美女エウロペーに由来する。ウエロペーにはぐくまれたヨーロッパは、また著者にとっても精神の母胎であった。昭和45年、その“眷恋の地”へ著者は初めて旅立った。かねてから心ひかれていた城、庭園、都市、美術館などを求めて、フランス、スペイン、イタリアと足をのばした後ヶ月の滞在は、視る喜び、味わう楽しみにみちた旅であった。当時の印象を中心に編まれた紀行集。

  • 5/8 読了。

  • [ 内容 ]
    ヨーロッパの名は美女エウロペーに由来する。
    ウエロペーにはぐくまれたヨーロッパは、また著者にとっても精神の母胎であった。
    昭和45年、その“眷恋の地”へ著者は初めて旅立った。
    かねてから心ひかれていた城、庭園、都市、美術館などを求めて、フランス、スペイン、イタリアと足をのばした後ヶ月の滞在は、視る喜び、味わう楽しみにみちた旅であった。
    当時の印象を中心に編まれた紀行集。

    [ 目次 ]
    バロック抄―ボマルツォ紀行
    マジョーレ湖の姉妹
    狂王の城
    エル・エスコリアル訪問
    優雅なスペイン、優雅なゴヤ
    イスパハンの昼と夜―アストロラーブについて
    シンメトリーの画家―谷川晃一のために
    日時計について
    巨木のイメージ
    パリ食物誌
    シェイクスピアと魔術
    自分の死を自分の手に〔ほか〕

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    [ 参考となる書評 ]

  • 2009/
    2009/

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