応為坦坦録 (河出文庫 231A BUNGEI Collection)
- 河出書房新社 (1990年4月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (166ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309402680
感想・レビュー・書評
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2014.06―読了
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作者の姿が見えない非常に稀有な作品。
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何か好き。そして冒頭からジンワリ共感。「そうか、私は巷で凄く共感がどうとか言われるアレとかソレにはサッパリだけど、どちらかといえばコッチだからかなあ」などと省みたり。
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北斎とその娘お栄の物語。百日紅と一緒だが、
こちらのお栄はさらにパサパサと乾き、無頓着。
河風を受け、ひとり手ぶらで歩いてる感じが、たまらない。
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葛飾北斎の娘・お栄(葛飾応為)に焦点を当てて描かれた小説。<br>
北斎が死ぬまでの生活が、タイトル通り担担と描かれている。<br>
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嫁入り先から一日と経たず出戻った日から、お栄はそれまで以上に絵を描くことに執着しはじめる。<br>
北斎の代筆で描くことになった枕絵(春画)を描く時など、「見たことのないものは描けない」と言い張って吉原まで覗きに行き、枕絵専門の版元に頼まれた「おんなとおんなの絵」を描くために、今度は深川へ行って、買った女郎二人にその振りをさせる。<br>
仙人に憧れ、「葛飾応為」という絵師でありたいと思いながら、北斎の名で代筆を続けたお栄。<br>
北斎が死んだ後、その消息は誰にも知られていない。<br>
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数少ない応為関連の本でも、特に評価が高い一冊。<br>
杉浦日向子「百日紅」にも共通する、何事にも頓着せずのびのびと生きるお栄の姿が描かれている。<br>
河出文庫 〔文藝コレクション〕:品切・重版未定。