唐草物語 (河出文庫―渋沢龍彦コレクション)

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著者 : 澁澤龍彦
  • 河出書房新社 (1996年2月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309404738

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唐草物語 (河出文庫―渋沢龍彦コレクション)の感想・レビュー・書評

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  • 世田谷文学館『澁澤龍彦ドラコニアの地平』
    http://booklog.jp/users/fukagawanatsumi/archives/1/4582286127
    観覧後、既読作を読み返したくなって書棚を漁り、
    Tasso再読祭(笑)。
    文芸誌に連載された、
    エッセイと小説のクロスオーバーというか、
    史実や古典作品を換骨奪胎したような短い物語の数々……で、
    泉鏡花賞受賞作。

    「鳥と少女」
     遠近法の研究に没頭したというフィレンツェの画家
     パオロ・ウッチェロの話。
     澁澤の手にかかると九相観が入ってくるから怖い(笑)。

    「空飛ぶ大納言」
     蹴鞠の名手だったという大納言藤原成通伝。
     狩衣姿でオーバーヘッドシュートを決める様子を
     想像してみる。

    「火山に死す」
     ヴェスヴィオ火山が噴火した日、
     友人宅で暢気に風呂に浸かっていたという博物学者プリニウス。

    「女体消滅」
     平安時代の貴族、紀長谷雄(きの・はせお)を主人公とする
     絵巻物『長谷雄草紙』のエピソードを翻案した「鬼との約束」の話。

    「三つの髑髏」
     頭痛に悩む花山院は安倍清明に相談し、前世の自分を供養する。

    「金色堂異聞」
     1979年に平泉の中尊寺金色堂を参拝したという澁澤氏。
     案内してくれた風格のあるタクシー運転手の正体は……。
     ラストの尻切れトンボさと同時に滲む一抹の寂寥感は、
     内田百閒の掌編に似た趣。

    「六道の辻」
     打ち続く戦禍で焼け野原と化した文和年間の京都に
     現れたパフォーマー、マカベなる男について。
     死の前では誰もが平等であるという思想を表現した
     「マカベ踊」の熱狂。

    「盤上遊戯」
     年老いたティムールと、
     エンリケ三世の特使クラビホのチェス勝負。

    「閹人あるいは無実のあかし」
     不義密通を疑われないよう、
     予め自らを去勢した建築家の話。
     よくショック死あるいは
     失血死しなかったものだな、と……(痛)

    「蜃気楼」
     秦の始皇帝の命を受け、蓬莱山を探しに出た徐福。

    「遠隔操作」
     これがリアルな澁澤の姿か(笑)。
     稀代の文学者は
     日常生活の諸々の場面で素晴らしい不器用ぶりを発揮。
     しかし、そこに人間的な魅力が感じられて、
     読者としては嬉しい、楽しい。

    「避雷針屋」
     メルヴィル作品を換骨奪胎したという、
     避雷針のセールスマンとの対話を綴った奇妙な短い話。

  • タペストリーやグロテスクといった植物を飾ったマークは全国どこの地域でも見られます。そして、多々なる物語がそれに付随しています。澁澤はこういう短編も素晴らしい。

  • 大納言、髑髏、金色堂、蜃気楼、遠隔操作が面白かった。
    特に髑髏。時間に酔う感じ。

  • 図書館で借りました。

     短編集。歴史物。
     名前の小難しさから敬遠していたのですが、読みやすかったです。短編だからでしょうか。
     この人の名前を知ったのは「四谷シモン」の人形展で。
     澁澤達彦に捧ぐ、という作品があちらこちらにあったので。

     和洋中まぜこぜ。
    1 王妃との不倫を疑われないために、自分から去勢する美青年の話。
    2 貧困のあまり少女を餓死させてしまった画家の話。
    3 蹴鞠好きな大納言の話。
    4 双六で鬼に勝ち、美女を手に入れた男の話。
    5 火山の噴火に見せられて死んでしまった男の話。
    6 前世のドクロのせいで三回頭痛に見舞われる院(引退した天皇)の話。
     というのが、無夜の印象に残っている話で、その順位。
     特に1がなんか好き(笑) 解釈の仕方で、王にではなく、王妃に捧げているとなんかもう、それらしく淫靡でいいかな。

  •  短編集。
     フィレンツェの変わり者の絵描き、ペルシアを征服するティムールと詩人の会話、鬼の使わした美女に惑わされる中納言、火山に魅せられて命を落としたローマの火山学者プリニウス……等々、歴史上の人物について遺されたエピソードをもとに、想像の翼を広げてつづられた一冊。

     興味深く、幻惑されるような面白いエピソードも多いのだけれど、残念ながら、私には『興味深い』の域を出なかったかなあ。のめりこむようには読めませんでした。
     理由ははっきりしていて、相性というか、私の読書姿勢がよろしくないんです。
     前に『高丘親王航海記』のレビューでも、似たようなことを書いた気がしますが、「これは私(作者)が書いたお話なんですよ」ということを、作品中で前面に出してあるので、なんかつい、一歩引いてしまうんですよね。面白いんだけど、なんだかちょっと遠くから眺めてしまいました。

     もっとも、そういうのは私のただのワガママで、メタフィクション全般が駄目だっていうんじゃなくて、むしろ作者さんや作品によっては、そういう書き方が効果を発揮していると感じるケースもあるので、手法そのものを丸ごと批判するのは、望みじゃないんです。

     そして、はまれなかったといいつつ、なんとなく、はまりそうな要素があるなあ、とも思うんですよね。語りが好みにあわないだけで、題材的にはかなりツボなんです。歴史には暗い私ですが、史実の部分にしろ、空想の部分にしろ、面白いエピソードがいっぱいあって。
     悩むところだけれど、ひとまず判断保留ということで、澁澤氏の作品については、もう二、三冊読んで様子をみたいなあと思います。

  • エッセイ的な小説?小説風のエッセイ?
    不思議な位置の本。
    幻想的で物悲しい話が多いかな。

  • コント・アラベスク。三つの髑髏、六道の辻、など、どれも面白い。

  • 読み応えバッチリですが、短いお話ばかりなので、文庫版になったことだし、鞄に入れて電車で読んだりできますな。
    幻想譚でもありながら、蘊蓄エッセイにもすり替わる、硬くて軽妙な、極上の逸品でしょう。
    氏の作品は、単行本時の装丁に秀逸・美麗なものが多いのですが、本書もまたそうで、函入り布張りの唐草物語は、込められた物語の一つ一つを包んだ、上品な宝箱のようです。本棚にほしい一冊。

  • あとがき、ことに、引用されたボードレールのことば、「あらゆる模様のうちでアラベスクはもっとも観念的なものだ」という一節が、テーマにも似て十二篇の物語を貫いているように思う。しかし、どの物語も、性行為との縁・無縁はおいて非常にエロティックであるように、私には感じられた。また、『遠隔操作』では、自分との類似をすこしだけ感じてふふっと笑ってしまったけれど、いかにも博学な澁澤龍彦らしい物語群であるだろう。あらゆる文章が知識によって裏付けられ、本来の意味での換骨奪胎とを成し遂げており、幻想文学たる条件を自ら示している。ふわっふわの現代小説に疲れたときに、とくに読み返したい。

  • 2015/02/19

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