- Amazon.co.jp ・本 (147ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309411514
作品紹介・あらすじ
幼少の頃に川の対岸に観た"黒くて巨大な機関車"、公民館の池に泳いでいた"マグロのような大きさの鯉"、そしてある日を境に消えてしまった友人A-「意味付けなどいっさい拒否するただそれが起こったままにしか語れない不思議な出来事」を経験した私はやがて、ナイジェリアに赴任することになるのだが…。小説に内在する無限の可能性を示した傑作。
感想・レビュー・書評
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ある印象的な出来事とかではなくて、なんでもない日の肌寒い感じとか、窓から日が射して明るい感じとか、なんてことないのによく思い出す記憶ともつかないものがある。磯崎さんの小説はそういうのをよく思い出させる。
同時に思うのは、わりとどれも「習作」という感じがすること。いろいろ試しながら書いているような。デッサンとでもいうのかな。
淡々と説明口調が続いたと思えば、ところどころはっとするような表現がある。いつも読みたいわけではないが、なんとなく無性に読みたくなることがある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
表題作は、彼がみてきた風景(特に幼少期)の描写が読者にもどことなく懐かしい感覚を思わせるようで秀逸。
そして結末は、そうきたか…!と思わせる場所になっている。
おもしろい。 -
やっぱりこういった、俗にいう純文学のカテゴリーに該当する作品は、好きにはなれない。何書いてあるのか結局全然わからないし。もっとも、途中から読む気無くしてほぼ流し読みだったけど。
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紀伊国屋書店本店の
ほんのまくらフェアで購入。
最初の1文だけ見て選ぶのを楽しむフェア。
最初の1文は、
『いまではまったく信じかたい話だが、私たちはついこのあいだまで花は花屋で、肉は肉屋で、服は仕立屋で買う世界に住んでいた。』
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2つの短編集。
『世紀の発見』
話が飛ぶ飛ぶ...!
だからって置いていかれるわけでなく一緒に飛ぶんだけど。
終始ふわふわしてて、落ち着かない話だった。
『絵画』
不思議。
これもふわふわ。
地に足着いていない感じ。
どうも著者の世界観に馴染めなかった、2作品だった。
けれど、解説にあるように、著者は最初の1文を書いてから、その後のストーリーを決めるらしい。
書き方まで不思議な、その最初の1文に引き付けられたのは事実。 -
流れるようなストーリー展開ではなく、唐突に、著者の思いつきかのごとく脈絡もなくストーリーが展開されていく。最初は慣れないけど、この整理されていない感じこそ、ほんとの人の心理・感情に近いんだろうなと。けれど、1回読んだだけでは、この小説が何を言おうとしているのかわからなかった。けど、なんか深そう。
芥川賞作家の第3作目。文体や話の作りが変わっているので、1作目から順々に読んでいった方が、慣れて良いかも。私も1作目から読んで、この作品をもう一度読んでみようかと。 -
今まで読んだ著者の作品の中では、一番面白かったと思う。各々のエピソードが鮮やかなイメージを喚起させる。基本的にやっぱり、文章がうまい、というのがあるんだろう。
突然十年経ったり、かと思えば一日の話が長く書かれていたりと、時間がぐにょぐにょなのは「終の住処」にも通じるところ。
「終の住処」とか「眼と太陽」に近い話なんだけど、その作品たちに比べて暗さが無かったのが、割と良いと思った理由だと思う。 -
一文一文、繋がりがあるようで独立している。けれども表向き繋がりがあるように書かれているから、不思議な感覚に陥る。それでいて心動かされたりもして、冷たい構築物のような感じがしない。実感に裏付けされていない文がひとつとしてない。爽やかな読後感。