きみの言い訳は最高の芸術 (河出文庫 さ 45-1)

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 64
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309417066

感想・レビュー・書評

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  • 2020.6
    いい。えぐられる感じとなでられる感じ。心の奥にもやもやと潜んでた本音にそう!と光を当ててくれた。浅さ、偏り、あいまいさ。30代になったってそんなん。繕わなくてもういいし。

  • 率直でリズム感のある文章で単純に読みやすい。Twitterで分かる!と感じる文章を見つけた時のような軽い感動ではあるけれど、それがずっと続くような感じ。全篇にいいねを押したい。

  • 最果さん、すごいな。このエッセイを読んだら、この人からあの詩達が生まれるのは当然のことのように思う。自分とは全然違う人間すぎて、共感というものから遠すぎて、本当に面白かったし、驚きの連続だった。それでも素敵だなと思う言葉はたくさんあって。すごいな〜最果タヒ!最果さんの別なエッセイも読みたくなる。

  • 自分を伝えること、他人を理解することの困難さ。

    わかる人だよと伝える、わかる人だと理解するためにも、たくさんの事柄をお互いに共有しなくちゃいけない。まったく異なる他者と。いちから。ほんと気が遠くなる。

    自分や他人をわかるためには、目の前から出てくる言動だけでなく、出てこないそれらも意識しなきゃいけない。なんでそんなコトバしか出てこないのだろう?行動しかできないのだろう?ってな具合に。だけど所詮、言葉はさんかく心は四角。そのときのコトバや行動にその人の全てが宿っているわけではない。

    けど、知る手がかりにはなる。わからない言動であればあるほど、その人はその人の人生を生きてきたんだと、はっきりと知ることができる。だからこそ、いろんな人と何言ってるのかわかんないよって笑っていたい。人が自分とはまったく違う人生を過ごしてきたんだということを大切にしたい。全てを理解などしたくもない。わからないぐらいがちょうど良い。

    ただ、どうしてもわかってほしい、伝えたい自分という存在に疑問は出てくる。そんなにたいそうなものか、自分はと。それに、いつも笑っている人ほど過去に辛い経験をしていたりするし、普段愛情を口にしない人ほど一途だったりするし、あまり喋らない人ほどいろいろな事を考えていたりするし、見た目が派手な人ほど孤独を感じていたりするし、良い人ぶっている人ほど自己中だったりするから、目にうつるもの耳に届くものだけが全てじゃないっていう。


    書かれていた内容にプラスαで自分が考えたこと

  • チェリーボムボムみたいな、きらきらひかる個装のお菓子を、これはどんな味がするんだろうって一つずつ手にとって、開いて、ゆっくり味わう、みたいに楽しい本。
    最果タヒの思想をだーっと羅列したような文章の書き方、抵抗があったけど、途中からはそんなに気にならなくなった。
    悪意とネガテイブ・ポジティブについての話が好き。

  • 奔放な表現に嫉妬せずにはいられない
    最果タヒに乾杯

  • 人のスタンスとか思考の向きに興味があるので、こういうスタンスつらつらのエッセイやブログけっこう好きです。
    年齢も近いし、あんまり人と行動しないタイプなので共感できるところも多かった。「優しさの天才ではないわたし」で「途方もない優しさの天才を人間の基準と信じて生きてしまうと、自己嫌悪と他者への軽蔑が止まらなくなり、結果的に誰より優しくなくなってしまう」っていう話に確かにそうだなと思う。

    宇多田ヒカルのことを「聴く人それぞれの個人的な体験として」聴かれると書いているけど、確かに彼女の歌って、近づきたいよきみの理想に、って歌い出したら即彼女と二人の世界に落とされるみたいな引力があって納得かも。
    たぶん皆の子供時代に、最果さんにとっての宇多田ヒカルがいるはず。

    私自身は子供の頃から何事も好き嫌いがはっきりして孤立気味だったので、流行についていかないと、とか、「どこまでも誰かとの関係性っていう揺れ動く水面みたいなところにしか立つことができなくて、『私』が日に日に曖昧になった」っていう話が面白かった。私がたまに水底からまぶしく眺めたりした水面ってそういうところでもあったのかしら。
    でも一人でいることは私も怖くないし大体そうだけど、めんどくさいとか、浅い関係でいたいというのは、私とはちょっと違うな。でも、自分のこれをなんて言っていいのか分からない。これから考える……。

  • 20191124 立ち読みで惹かれて買ってしまった。感情や人格を言葉で表す事が出来る人とできない人。感覚で話すことを許してくれない怖さ。今更ながら楽に生きてきた自分で良いと思うけど、そこにごまかしを感じてるから、詩人の本を読みたくなるのかも。

  • どのエッセイから読んでも面白いです。タヒさんの詩のエッセンスとか感じ方が凝縮されていて読み応えがあります。やっぱりタヒさんが好き

  • 読んでいるうちに、うんうん、と首肯したり、逆に首を傾げたり。そんな自由な空間を味わう…。
    どこから読んでもいいのが、エッセイの魅力だと思います。

    最果タヒさんの表現力の豊かさ、言葉選びのセンスはものすごく羨ましくて、そんな「らしさ」がギュッと詰まった濃縮果汁のようなこの本(しかも文庫本!)は、表現力が枯れた時に、それを潤すための栄養のようなものだと感じています。

    個人的に最もシンパシーを感じたのは、「作りましょうましょうましょう」。
    自分が作ろうと思ったものは、頭の中で出来上がっていても、いざ手を動かしてみると、思っているほどうまくできなくて、こうして幻滅を繰り返す。
    ただ、「思ったようにできない」が、ときに「予想とも理想ともかけ離れた偶発的にできたもの」を作り出すこともある。それが楽しい。だから作ることはやめられない…。

    なんか言葉にできないけれど、とにかく書く、と決めて、ひたすらに書き殴るように綴ると、後から見て、ほとんどは意味不明だったりするけれど、予想外の出来栄えに驚くこともあります。
    この、狙っていない偶然のヒット、もしくはホームランが、文章を書くのが下手な自分にとっても嬉しくて、そんな、打率を上げたくなってまた書いています。

    もう一つのお気に入り、「最初が最高系」にもありましたが、やろうと思った瞬間が楽しさ最高潮なのは、自分も同じで、書き始めた時の気持ちは続かないものです。
    だから、なかなかモチベーションを保つのが難しいのです。

    ただ、そう考えてみると、自分の本棚は、読みたいと思った時の、最高潮が集まった本棚なのかも知れません。

    それってなんだか素敵ですよね。

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著者プロフィール

最果タヒ(Tahi Saihate)
詩人。一九八六年生まれ。二〇〇六年、現代詩手帖賞受賞。二〇〇八年、第一詩集『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。二〇一五年、詩集『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞を受賞。その他の主な詩集に『空が分裂する』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(二〇一七年、石井裕也監督により映画化)『恋人たちはせーので光る』『夜景座生まれ』など。作詞提供もおこなう。清川あさみとの共著『千年後の百人一首』では一〇〇首の現代語訳をし、翌年、案内エッセイ『百人一首という感情』刊行。エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』『もぐ∞【←無限大記号、寝かす】』『「好き」の因数分解』、小説に『星か獣になる季節』『少女ABCDEFGHIJKLMN』『十代に共感する奴はみんな嘘つき』、絵本に『ここは』(絵・及川賢治)、対談集に『ことばの恐竜』。

「2021年 『神様の友達の友達の友達はぼく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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