- Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309417332
感想・レビュー・書評
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「二階堂奥歯」とは彼女の本名ではなかった。ということは彼女は「二階堂奥歯」ととりあえず名付けられるべき何者かに己を仮託して生きた、ということになる。そのようにして何らかの触媒に自分を仮託して、その触媒に語らせて己を表現することにおいて彼女の天才性は発揮されたのではないか。それはさながらDJのようだ。圧倒的な量の紹介がなされる書物のみならず、ぬいぐるみや人形に至るまで。残酷に言えば彼女にとってはそうして自分自身を「モノ」に投影しなければ生きていけなかったのだろう。その投影の痛ましさに若さを感じ、その死を悼む
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ずっと記憶にあったものの読まずにきた。寝れずにいた明け方なんとなく、今読むべきでは?と思い、ネットでポチり。読むのが楽しみ!!
と思ったのだけど、本の到着が待ちきれず、公開中のネットで日記を読む。
彼女の何気ない日常に、どんどん惹きこまれていく。いちおう、私も日記をつけている身で、こんなふうに日記を書けたら…と羨ましさを軽く通り越し、強い尊敬の念を抱いた。
文章がきれいで、表現がチャーミング。乙女らしさのなかにアナーキーさも内包している。透かし模様のような品の良い狂気。私の語彙では、薄っぺらい言い方になってしまうけど破滅衝動を感じてしまう。
怖くなっていったんネットを閉じ、ポッドキャストで日本語ラップ3選を聞く。若かりし頃のECDは、破滅衝動があって…と磯部涼氏のお言葉。破滅衝動が続いた。
本が到着し、読み終わったら、また感想を追記します。 -
皮肉なことに、私はこの本を奥歯さんの死から知りました。私にこの本を与えてくれたのは、死だったのです。
それゆえ最初の方は奥歯さんの日記を、死を迎えるものとして読んでしまいました。ごめんなさい。でも事実、そのように捉えて読む人もいると思います。それは人それぞれですが、少なくとも私はそのようにして読み始めたことを後悔しています。
日記が後半にゆくにつれ、引用される文章がどんどん増えていきます。「あなたの書における私の頁は、あとどれくらいですか?」ここで私は一度、立ち止まってしまいました。初めて、文章を最後まで読むことを躊躇いました。でも、そこからの覚悟は、意外なほどあっけなかった。人生みたいに。
どのような形にせよ、私は奥歯さんの日記を「本」として読むことができたことが幸せです。このように文庫本になったことも、嬉しくてたまりません。
読みます。何度でも読みます。奥歯さん、あなたの物語を。私も奥歯さんのように、物語をまもる者になってもいいでしょうか? -
圧倒的な読書量に裏打ちされたたくさんの美しい文章を前にすると、どんな感想を書いても陳腐になってしまいそう。「物語をまもるもの」だった彼女の物語を、もっと読んでいたかった。
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二階堂奥歯さんが亡くなる直前まで書かれた2年間の日記。
20代半ばで亡くなっているから、詮無いこととはいえ、もっと長生きしていただいて奥歯さんの文章を読みたかった……と悔やまれます。壺中の天をモチーフにした小説も書かれて出版されたので読んでほしかった。。
奥歯さん、脆くギリギリで、凛としてて、光を放ってたんだろうな。
周りの人がどれだけ悲しんだり、止めようとしてくれても、彼岸へ行ってしまう人は行ってしまう。考慮する余裕もなく、苦しみに潰されてしまうから…でも最期の日の日記に、周りの人への感謝を綴った奥歯さんは優しく真っ直ぐな人なんだなと思いました。
この本に出てきた本も片っ端から読みたいです。山尾悠子作品など既読のものも、未読のものも。「オルガスマシン」、購入しました。
わたしの母の実家の女紋も揚羽蝶紋です。でも家は父方なので祖母から女紋教えてもらわないといけないのだけれど、祖母は「なんやったかねぇ〜」のまま鬼籍に入ってしまいました。なんと。。 -
この本には、評価を付けるべきではないだろう。
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敬虔な信仰者への憧れがあるけども、古代の人々の考えが投影されているせいで嫌悪を抱いていた人。もっと単純に神様を信じて自己解釈をポジティブにできていれば違う結末に進めたかもね。
読書って語彙と視点が増えるだけで、特別な行為ではないんだなと反面教師のように感じるのでした。
本当はもっと評価高いんだけど、今は3つを。いつか気持ちに決着がついたら、評価を上げます。 -
八本脚の蝶(河出文庫に12-1)
著作者:二階堂奥歯
河出書房新社
2003年4月 26歳の誕生日を目の前に自らの意志でこの世を去る。亡くなる直前まで更新されたサイト「八本脚の蝶」は現在も存続する。
タイムライン
https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698 -
悪い意味で南条あやの日記だったな。
突然死んでしまった。