- Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309460864
作品紹介・あらすじ
イギリスの中産階級に生れ、オクスフォードを出た青年ニコラス・アーフェは、すでに人生にある種の虚しさを感じていた。ある女性とのエロティックな恋が終ったのをきっかけに、英語教師としてエーゲ海の孤島に渡る。そしてそこで不思議な老人コンヒスに出会う。次々と起きる、複雑怪奇な出来事…。サスペンスあふれる恋愛小説、冒険小説、そしてオカルティズム哲学の稀有な物語。
感想・レビュー・書評
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膨大な情報量
イギリス人のニコラスが、教師としてギリシャの島に行く。
コンヒスが仕組んだ広大な仮面劇に巻き込まれていく。
謎の美女リリーの登場。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まだ200ページ程だけれど、ゾクゾクしている。敢えて読み進めるスピードを遅くして味わいながら読んでいる。比較的ビジュアル化もし易いし、古楽復活期(まさか、ドルメッチが出てくるとは思ってもいなかった)について触れられている点なども、非常に珍しく好ましい。
良書の予感大!
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東大
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10年以上前に読んだのを再読。初めて読んだときは主人公が「若い大人の人」だったのに、今では「男の子」だ。若くて自分のことばっかりな主人公が、(上巻終了時点では変態の金持ち)老人の奇妙な企てに巻き込まれていく話。
この25歳の主人公の、自分が事態を掌握できると思ってる感が若くて良い。再会した元カノの体に目がくらんで、当初の意思に反して2回もセックスしてしまうところとか、その後で、誠実なつもりで「気になっている子がいるから結婚できない」って言ってしまうところとか、ぼくちゃんなモテ男の心理が面白い。必要に応じて性欲スイッチがオフにできたらいいのにね。
老人の戦争体験や北欧での出来事など、初読のときよりずっと鮮やかに入ってくる。そのあと変態になってもまあしかたないかな、というくらいに。ギリシャの小島の海・空の描写もとても美しく力強く、「ここでしか起きない特別な物語」の気分が盛り上がる。以下下巻へ。 -
宮城などを舞台とした作品です。
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愛を信じない利己的なイギリス青年という主人公を使って、人間の自我や愛情や関係性などを私たちに掲示する物語である。青年が大掛かりな仕組まれた経験によって成長するという話でもある。だから主人公の人柄(性格)は『?』と思うような人格に在る。
読み始め、第一部。主人公の人柄がどうも気に入らなかった。話の展開も全く分からず、ただ読み進める。言葉遣いや語尾が少々気になりぼちぼちと読んでいく。
第二部になって、場所がイギリスからギリシャに変わり物語が進み始め怒濤のように展開し出す。どうなっていくのだろうという興味からずんずんと読み進める。この小説の中心部。とにかく面白い。第二部が終わる時には自分の現実についても自信が持てなくなる。
第三部でこれまでの謎が解明され、”そういう話だったのか" と至る。
すごく面白いし、読みやすいし、よく出来た作品だと思う。本当に素晴しい。その想像力、その発想力、その構成力に驚愕させられる。
ギリシャ神話やシェイクスピアやその他の海外文学に疎い私は幾度も言葉を調べるハメになったが(例えば「シジフォス的に取り組む」とか「女神デメテル」とかに引っ掛かって調べる)、そういった言葉はむしろ作品の舞台としてのギリシャの島や物語の内容を感じるに必要不可欠なものであり、知らない私がいけない。博識な人の方がこの作品の良さをもっと感じられると思う。
それから、絵や音楽、神話と詩、ギリシャ語などの外国語、歴史、自然、そういうものをとても効果的に使っていることが印象的だった。イギリス的、ギリシャ的、ドイツ的、フランス的、そういうものの使い分けも効いていた。
とにもかくにも、隅々まで余すことなく作り込まれた素晴しい作品である。 -
私が読んだ本だと、二段組みの上下巻合わせて660ページくらいの長編ですが、かなり上質なミステリーで飽きさせない。
でも、上質だけれど、まるで脳ミソをアイスクリームサーバーにとられて、カシャカシャ回されるような悪夢的な物語でもある。
詳しい感想はブログに書いています。
<a href="http://sanoua-cinema.seesaa.net/article/106670928.html" target="_blank">こちらからどうぞ</a>。 -
恋なかりし者に明日は恋あれかし・・・