- Amazon.co.jp ・本 (503ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309462202
作品紹介・あらすじ
その絶望と怒りの底には、声なき弱者への限りない慈しみが光る。そして哀しみとユーモアも生来負債として負わされている死を、なしくずしに支払っていくしかないと謳う、狂憤の書にして愛に満ちた救いの書。
感想・レビュー・書評
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どうしてもこの、非衛生的な環境について綿々と語られる文章を一気読みする気にはなれず、毎日少しずつ読む作戦だったのですが…結論から申しますと、時間切れ終了です。
図書館に返す時間になっても、読み終わりませんでした。
だからといって、返却を一週間延長しても、無理です。
そこはかとないユーモアはわかりますが、断片だけで構成されたこの作品にかける気力も時間ももはやない。
ごめんね。
さいごの方だけちらと飛ばし読みしたら、なかなか面白そうだったので、気力と時間があれば再挑戦するかも。
ということで、赦してください。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
セリーヌの自伝的小説の下巻。ただ解説によると創作の部分が多いらしい。虐げれれる弱者が描かれ、登場する主要な人物のほとんどが社会に対して否定的、絶望的である。社会の見えない汚い部分をひたすら描いているのは衝撃的。結局上巻の冒頭の文章に帰結するような気がする。最後に出てくるフェルディナンの叔父は救い……
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上巻に
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下巻。
本書が末永く読み継がれますように……と言いたいところだが、これが普通にベストセラーになったらそれはそれで怖いw
しかしセリーヌの長編が持つエネルギーと破天荒さは捨てがたい。 -
[ 内容 ]
<上>
『夜の果てへの旅』の爆発的な成功で一躍有名になった作者が四年後の一九三六年に発表した本書は、その斬新さのあまり非難と攻撃によって迎えられた。
今日では二十世紀の最も重要な作家の一人として評価されるセリーヌは、自伝的な少年時代を描いた本書で、さらなる文体破壊を極め良俗を侵犯しつつ、弱者を蹂躙する世界の悪に満ちた意志を糾弾する。
<下>
“絶望のアナーキスト”から“反ユダヤ主義者・対独協力者・戦争犯罪人”まであらゆるセンセーショナルな肩書きを背負ったセリーヌは、呪われた作家だ。
だがその絶望と怒りの底には、声なき弱者への限りない慈しみが光る。
そして哀しみとユーモアも。
生来負債として負わされている死を、なしくずしに支払っていくしかないと謳う、狂憤の書にして愛に満ちた救いの書。
[ 目次 ]
<上>
<下>
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ] -
俺がなしくずしの死を読んだのは……そうだ…もう一年以上前……。だけどあの文体は…衝撃だった!!「……」…こいつがなけりゃ一冊で収まったんじゃないか?……わざわざ2冊にして…見栄はりやがって!でも「…」が……そう…沈黙がなきゃ……それはセリーヌじゃない…。いろんな沈黙がある…。怒り…悲しみ…喜び…陳腐な言葉だ!……だが無数にある沈黙の中で一番強烈な沈黙は…たぶん死体の沈黙だろう……
セリーヌはそれを書いた…いや…書きたかったはずだ……その沈黙が何を意味しているのかを……。
だからこの小説は…死体だらけの小説と言っていい。最後に主人公は物資の中で窒息しそうになっていく。それはどんどん有機物である我々が無機物たる死者に近づくことに他ならない。
この小説は「語る/生きる」ことを「沈黙する/死ぬ」側から書いた小説なんだと思う。 -
セリーヌの自伝的作品。
フランス文学なのだが、下層階級を描いているのでかなり土着的というか、生活感に満ちた出来となっている。
まあ正直「何でこんなに貧乏なんだ?」という疑問はあったりしたのだが(実際にセリーヌはそこまで困窮していなかったようでフィクションが多く含まれていると解説で触れてはいる)。
後に医者になった主人公が振り返っているのだが、まあよくここから医者になったなと(笑)。
かといって立志伝というわけでもなく、最後まで貧乏人の言い訳がましい感じで終わっているのが吉。
自分がダメなことに対して言い訳臭い文学ってやっぱり基本みんな好きだと思う。
読後に残るものがあるかといえば、それは微妙だったりするが(笑)。
原文はかなり崩れていてスラングも多用されているとのことだったが、翻訳がいいのか意外と読みやすかった。
おそらく原文で読めるのならば読んだ方がいい部類の作品なのだろうが・・・。
舞城王太郎とか好きな人は相性が良さそうかな(舞城ちゃんと読んだことないけど、何となくのイメージ)。