柔かい月 (河出文庫 カ 2-2)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309462325

感想・レビュー・書評

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  • 短編1話1話別個に読んでもおもしろいし、1冊の本としてみても第一部の広範な時間空間から第三部ティ・ゼロ1点に収束して小説を書くことについて語る最終話への流れがおもしろい。「レ・コスミコミケ」の続編として、第一部で語り手を引き継ぎ文字通り軽い語り口も引き継いだような表題作「柔かい月」に始まって、最後の「モンテ・クリスト伯爵」でまた「渦を巻く」という短編の並びの対応も。貝が自身の殻を構成していくことの意味が複層的に広がっていくのが…

  • まさかのQfwfqは語るパート2。しかし前作『レ・コスミコスケ』とは違い彼の名前が登場するのは第二部の頭まで。細胞分裂を愛の歴史として語るこの章も興味深いが、やはり本懐は原題にもなっている第三部「ティ・ゼロ」だろう。ここではどの話もある瞬間を捕え、その一点において語り得るもの全てを語りきろうとする偏執病的な語りが展開されていき、それはデュマの名作を換骨奪胎した最後に書かれ得るものそのものへの語りへと到達する。読み進める程に深く、より複雑な迷路に分け入ってる様な感覚がたまらない。でもそれは確かに前進なのだ。

  • 8/16 読了。

  •  図書館から借りました


     SF。短編集。

     表題は4部作の一つ。「クフウフク氏」という語り部が「月」が地球に来た日を語る。
     柔らかい月が固い地球にやってくる。
     気持ちのいい柔らかさではなく、月は緑色の腫瘍のようなぶよぶよ。
     その脂肪質のような、葉緑素な柔らかいものが地球に降り注ぎ、地球の固いものは月に奪われてしまう。

     「結晶」は地球がゆっくりと冷え固まった世界へのあこがれと妄想。
     純度の高い結晶が生えていく世界が美しい。


     後半のは現代ものっぽいのだが。
     まるで、数学や理科の例題のような話で。
     くるぞくるぞ、と思ったらきた。

    「夜の運転」
     彼女のもとへ車で向かう私。(ベクトルは→
     彼女に呼び出された恋敵。 (ベクトルは→
     喧嘩を悔いて私のもとへ向かう彼女。(ベクトルは←

     高速道路上ですれ違う、追い抜かれる、引き返す。
     等々の思考実験なのだよ、この話は。
     ひたすらに理屈っぽい。


     読みやすいのは「クフウフク氏」の四部。他は眠くなります。まるで授業のよう。

  • いやーわからない、わからないんだけどそのわからなかさがイヤじゃない。初めての感覚

  • 難解・・・・。

  • ぶっこわれているけど整然としている、ということを考える。整然としているふりをして完全にぶっこわれているのかもしれない。映画化は(お金かかるだろうから)無理。でも、映像で見てみたい。この本の世界。一見すると普通の、でもちょっと不審な書き出しから、朗々と語られるどう考えても頭おかしいんじゃないのかと思う理路を説明する中盤を経て、オチ、と簡単に言ってしまうのは忍びない最後の文章へと続いていく、それぞれの章のつくりの崩壊しているけど完璧なつくりには唖然とするほかない。こんなのは書けない。

  • 2010年立秋、しかしあまりに暑くて月もとろけそう、という連想で、今宵はこれを。連作短編集。科学的な言葉によって綴られる、寓話?幻想?こういう世界も好きです。

  • レ・コスミコミケに比べ、文章が難解になった?訳者の違いからかなあ…前作の方が好き。

  • 今のところ、何だかよくわからない。
    わからないまま読み続けて、難解だということがわかった。
    気持ちのよい難解さ。
    途中から恋愛小説?って思ったりもしたんだけど、どうやらSFに分類されるようだ。
    奇想天外すぎる。

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著者プロフィール

イタロ・カルヴィーノ(Italo Calvino)
1923 — 85年。イタリアの作家。
第二次世界大戦末期のレジスタンス体験を経て、
『くもの巣の小道』でパヴェーゼに認められる。
『まっぷたつの子爵』『木のぼり男爵』『不在の騎士』『レ・コスミコミケ』
『見えない都市』『冬の夜ひとりの旅人が』などの小説の他、文学・社会
評論『水に流して』『カルヴィーノの文学講義』などがある。

「2021年 『スモッグの雲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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