ヌメロ・ゼロ (河出文庫 エ 3-1)

  • 河出書房新社
3.50
  • (1)
  • (8)
  • (11)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 185
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309464831

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • フィクションなのかノンフィクションなのか、小説なのかルポなのか、まあそれが狙いなのだろうけれど、完全に右に左に振られてしまい内容が理解できないまま終わってしまった。

  • ウンベルト・エーコが90年代イタリアのジャーナリズムを舞台にした作品。売れないライターである主人公は、ある大富豪が発行準備を進める日刊紙の編集メンバーに採用され、創刊準備号(ヌメロゼロ)の発行に向けて行動を起こす。
    その過程を描くこと中で、歪んだジャーナリズム/メディアのあり方を問うとともに、ムッソリーニの真実を明らかにする過程でもまた、断片化された事実を繋ぐことで出てくる真実も描く。よくある陰謀論ロジックだが、昨今の情報過多、かつセンセーショナルになりがちな報道を見ると、あながち伝え方によって「隠された真実」と「作られた真実」が出てくることも事実であると考えさせられる。

  • たまたま行ったお店でいただいた本をようやく読み終わった。理詰めの小説で、頭をとても使ったけどジャーナリズムでのテーマがふんだんに使われていてよかった。

    p.66の対立した意見の使い方なんてとても考えさせられた。ジャーナリズムを学ぶ上でこの人の著作は良いかもしれないな。

    展開も非常に分かりやすくまとまっていた。

    また何年かして、記者が板についたら読み直したい小説だ。

  • 小説の出来としては、素朴すぎて今一つ。メディアと権力についての論考としても目新しくはない。ただ、イタリアでは、自国の戦後史について、このようなことが語られているのか、と興味はわいた。

  • エーコの遺作。
    ジャーナリズムを風刺するミステリー。情報操作の手法が、ユーモアと共に語られるのがおもしろい。嘘を真実のように見せる方法、記者の考えをばれずに仕込む方法、都合の悪い指摘への反駁の方法など。

  • 2019年1月23日に紹介されました!

  • メディアは信じるなってか。

    さもありなん。

  • 文庫化で再読。
    何でも、大作ばかりのエーコ作品の中で、最も短い小説なのだとか。だからといって気楽に読んでいられるものでもないのがエーコらしい。
    しかし『薔薇の名前』のような超大作ではない分、最初に手に取るには良いんじゃないだろうか。

  • 単行本で既読。

  • 1992年ミラノ、作家になりそこねた冴えないライターの主人公コロンナ(50才男)は、シナイという男から新しい新聞ドマーニの創刊準備ゼロ号制作のデスクとしてスカウトされ雇われる。出資者のコンメンダトールには複雑な思惑があり、シナイからそれを打ち明けられているコロンナの本当の任務は創刊までの経緯を小説にすることだが、集められた6人の記者たちは何も知らない。記者の一人20代女性のマイアとコロンナは好意を抱きあい距離を縮めるが、一方でブラッガドーチョという記者はムッソリーニの死にまつわる陰謀説についての調査にはまり、それを聞かされたコロンナは・・・。

    全体的な印象はコンパクトになった『フーコーの振り子』。すでに命の危機に晒されている主人公がその窮地に陥った経緯を回想する構成、出版界を舞台にして架空のニュースをでっちあげようとしている点など共通点が多かったけれど、最大の違いはページ数(笑)エーコといえば上下巻分冊の分厚い本しか読んだことがなかったので、たったの250頁で事件がちゃんと解決するのか正直ちょっと不安なくらいでした(苦笑)まあ回想の期間も2か月分だけで短いし、ある意味エーコ入門編としてはおすすめかもしれない。

    ムッソリーニの死にまつわる様々な陰謀云々については、中世まで遡ってフリーメーソンだの宗教だのの大風呂敷広げられるよりは簡易でわかりやすいとは思うけれど、個人的には7割方わからず、ただ、内容について理解できなくても「なんかすっごい陰謀があってばれると大変らしい!」というようなことだけわかっていれば読み進めることはできるので問題はないかと思う。まあもちろんちゃんと理解できたほうがもっと面白いのだろうけど、イタリア近代史、意外と知らないことが多いんだよなあ。

    テーマ的にはムッソリーニが重要なわけではなく、どちらかというとマスメディアの有り方への問題提起のほう。小説内の時代設定は1992年だから媒体としては新聞やテレビがメインだけど、現代に置き換えたらインターネット上で行われている情報操作や意図的な誘導はもっと悪質なわけで、なにもかも鵜呑みに信じちゃだめだなと改めて。でも目に見えない巨大な敵と戦うよりは、結局娘みたいな年齢の彼女ゲットできたんだからコロンナはある意味勝ち組、自分の人生を幸福に生きれさえすればそれでいいじゃんとも思う。

全12件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1932年イタリア・アレッサンドリアに生れる。小説家・記号論者。
トリノ大学で中世美学を専攻、1956年に本書の基となる『聖トマスにおける美学問題』を刊行。1962年に発表した前衛芸術論『開かれた作品』で一躍欧米の注目を集める。1980年、中世の修道院を舞台にした小説第一作『薔薇の名前』により世界的大ベストセラー作家となる。以降も多数の小説や評論を発表。2016年2月没。

「2022年 『中世の美学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ウンベルト・エーコの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×