- Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309467733
感想・レビュー・書評
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忘れられない傑作である。儚く美しく、そして抉る作品。散文詩のあつまりのかのようだが、確かに小説である。しかし、そのひとつひとつの詩も美しく、それらを読み進めゆくことで見えてくる世界、そして器としてのわたし、そして決意。読んでいる最中は、さまざまな感情が複雑に絡み合うけれど、この作品は不思議な静謐さに満ちている。読み手という器があり、そしてこの作品は完成する。みなさんは、どのような物語を掬い上げるか。ぜひ、読んで欲しい。
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単行本も買ってたが、積んでしまっていたので、改めて文庫を購入。何だか凄いものを読んでいるけど、どう表現していいのか分からない。詩を読んでいるみたいでいながら、ストーリーが紡がれていて、分かるのに分からない。文庫巻末の訳者の斎藤氏の言葉に首肯。手元本、がまた一冊増えて幸せ。
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心がぽっかりして、しばらく本を読む気になれないでいたのだけど、久々に読めた。良いタイミングで出会えた本だと思う。
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読み終えて、作者のあとがきと解説を読んで「ああ、そういうことか、そうなのか」と思う。読み切れていなかったものが心の中にそっと置かれているよう。また、もう一度読み直そうと思う。
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韓国の作家ハン・ガンによる散文詩的な装いの小説。乳児のころに亡くなった姉について過去・現在、韓国、ポーランド・ワルシャワを巡って、白を題材に詩的な文章が綴られる。
詩を読んでいるような感覚なので、何が書かれていたかは頭に残りにくいのだけれど、小説を読むという体験のひとつの姿がここにあるという感じ。
韓国には文学的な可能性もあるということを感じさせる作家。光州事件を舞台にした作品が代表作のようなので、手に取ってみたいと思う。 -
https://calil.jp/book/430920760X
河出書房新社(2018-12-26) -
表紙にある、흔の意味が解決した。
最後の論評を読まなければ、少し理解しにくい内容の本だと思う。
言葉が少ない分、描写や表現が記憶に残りやすい。 -
読書会の課題本として採択。小説のようなものを想像し開いたが、詩と散文の中間のような構成及び文体であった。言葉選びやテーマ、情景描写等好みに合致しており、個人的に非常に評価している一冊。そのせいもあってか重い題材を扱う割に心地良く読むことができた。
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生後すぐに亡くなった姉をめぐり、ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、朝鮮半島の記憶が交差する。おくるみ、産着、雪、骨、灰、白く笑う、米と飯…。白いものを通して見えるものは、生きている者に漂う死の影と死んでしまった彼女から溢れる生きる喜び。静謐で深く染み入ってくる文章だった。とてもよい。
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連作の詩のような短編小説よりも短い物語。余白や奥行きを探るような独特のトーンを持っている。一般的な小説とは異なる趣き。確固としたストーリーかないので何度も読んで味わい魅力を探る作品。