- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309616568
作品紹介・あらすじ
なぜヤクザはいなくならないの?なぜ戦争はなくならないの?善意だけでは、なぜ世の中は渡れないの?暴力を問うことから見えてくる国家や社会の本当の姿。中学生以上、大人まで。
感想・レビュー・書評
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中高生に向けて書かれた、国家論、権力論。暴力の行使を出発点に、名だたる思想家の考えを紹介しながら手際よくまとめている。社会契約説から国家の成立を説いた第5章は、秀吉の「刀狩り」を絡めた内容で本書の白眉。
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暴力という観点で国家の成立について子供たちに教えるには非常にいい本ですね。
ただ、これも考え方の一つであることを理解し、自分なりに考えてゆくことが哲学の本質ということも教えたいですね。 -
小さい頃、戦隊ものをみて、
「暴力はいけないって言っているのに“正義の味方”は暴力でやっつけてもいいの?」
「正義って誰が決めてるの?」
「5人で1人を倒すのって、卑怯じゃない?」
と思い、
歴史を習うようになってから
「聖戦ってなんだ?闘いに清らかとかあるのか?」
と考えたり、
「暴力は最終手段」
「自分の身は自分で守れ」
「やられたらやりかえせ」
「弱いものに暴力はふるってはいけない」
「強いものに手を出されたらやりかえしてもいい」
という風に育ったため、
すっと入ってきた。
マックス・ウェーバーはさすがだ。 -
暴力の使われ方と国家の接し方を書いた本。
暴力はいけないことだと言われるが単純に悪と言えるものではない。
国家も暴力のもとに成り立っている
カントを引き合いに出して道徳の目線から暴力について論じている
カントは殺人はいけないが、死刑は肯定するという立場であった。
それ自体に矛盾があり、その説明にも無理がある
殺人は道徳の目線で話すことは難しく政治的に必要という立場である。
何かを統治しようとしたときには必ず暴力が必要となる -
暴力のことをちゃんと書いている本は初めて読んだ。14歳に向けてかいてあるだけあって、わかりやすい。ただし、自分が14歳のときに読んで、最後まで読めたかどうかは疑問。とくにカントのくだりは、かなりわかりづらい。47歳のオレが読んでも、どうもごまかされたような気しかしない。しかし、暴力の元締めとしての国家という考え方や、警察や軍隊だけでなく、税金というのも暴力の現れのひとつという考え方にはとても納得がいった。著者は前から気になってたので、今後もほかの著作を読みたい。""
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14歳のダブルスコアだがいいのかしら?萱野さんの本は3冊目くらい?ということで内容はあらかじめ分かっており、そこに加味されるとすれば分かりやすさとして持ちだした一般論的な道徳との断絶で、大衆が群がるSNS系を見ているとそこに気付く人というのはやはり少ないんじゃないかと感じます。死刑の是非を考える上でも重要なテーマです。
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すごいです。説得されちゃいました。国家は暴力を背景に成り立っている、という説に納得、です。残念ですが、人類から戦争がなくなることはないでしょう。戦争は起こるかもしれない、という前提のもとに、対策をたてていかないといけませんね。攻めと守りの区別が難しいでしょうけどね。
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暴力の問題を道徳的でなく国家の存在意義の観点から見ているが、果たして暴力という言葉でひとくくりにできる内容なのかに疑問が残る。
正体がわからず漠然と怖...
正体がわからず漠然と怖いのが嫌なので考え続けたいテーマです