- Amazon.co.jp ・本 (580ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309621180
作品紹介・あらすじ
書簡-生涯と文学、夫との出会いを明かす書簡集。「聖心の使徒」所収エッセイほか-若い日々につづった瑞々しい散文の数々。翻訳・荒野の師父らのことば抄-孤独を友とし荒野で静思の日々を送った修行者の教え。ノート・未定稿「アルザスの曲りくねった道」-遺された草稿。
感想・レビュー・書評
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こんな偶然があるなんて、ほんとうに驚きました。
今日は須賀敦子さんの命日なんです!(1998年。同じ日に須賀さんの恩師松本正夫さんも亡くなったそうです。)
書簡。おもに彼女がローマにいたころにお母さんにだした手紙。そしてそのころ彼女はペッピーノに出会い、彼に出した手紙も掲載されています。
いままで敦子さんのエッセイを読んでペッピーノのことがあまり詳しく書かれていなかったように思います。この手紙を読んで、義務的に書いたおかあさんあての手紙にくらべて、彼にたいする彼女のあふれるような想いがつたわってくるのを感じました。
いずれ時がきたらペッピーノについても書くつもりだったのかな?その前に亡くなってしまったのかな?とずっと思っていたけど、この書簡を読んで、そういうつもりはなかったのだと思いました。そして彼女はそのころの手紙をだいじにとっていたのですね。それを時々読むだけで、ペッピーノについては良かったのでしょうね。
聖心の使徒所収エッセイと荒野の師父らのことば訳。彼女がクリスチャンなのは知っていたけど、ここまで熱心とは知りませんでした。
でもそのあとの年譜を見て、これらが書かれた若いころのような情熱はなくなっていた、だから60代で書かれたエッセイにはあまりキリスト教について書かれなかったのかなと。
32歳の時 ペッピーノと新婚旅行で帰国。関西や九州を旅行。イタリアへ戻る前に聖心女子大第一期生クラス会。出席した13人の中に「置かれた場所で咲きなさい」著者の渡辺和子さんがいました。
45歳の時 エマウスの家(わたしがかんたんにいえばキリスト教的なボランティア活動)責任者を退く
62歳の時 「今は教会へはまったく行かないけれど、信仰に関してはものすごく考え、勉強した時期があるから、どんな神父と議論しても負けない自信がある」と木村由美子に語る
66歳の時 朝日新聞の河合真帆に電話で、もう教会には行かない、ミサにも行かない、聖心の集まりにも行かない、慈善事業への批判などを語る
あまり語らない活動しないクリスチャンになったのかもしれないけど。
仕上げることなく亡くなった最後の作品が「アルザスの曲がりくねった道」
悔しかったでしょうね。私たちも読みたかったです。
彼女は最初フランスに留学し、そのときにイタリアに勉強しに行きます。
帰国してしばらくして今度はローマに留学します。そしてジェノヴァでペッピーノたちと出会い、ミラノに行き、結婚します。
その流れを読むと、彼女にとってはフランスよりイタリアが良かったと思われるんですね。
でもこのアルザスはフランスで、その取材のためにフランス滞在が増えてきます。
私もちょうど「次はフランスかな」と思い始めていたので、背中をおしてもらっているみたいな気分です。詳細をみるコメント0件をすべて表示