巨匠とマルガリータ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-5)
- 河出書房新社 (2008年4月11日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (607ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309709451
感想・レビュー・書評
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220830*読了
文学としての面白さを思う存分味わえる一冊。
「巨匠とマルガリータ」というタイトルだけれど、物語を通して暴れまわるのは悪魔たち。
それなのに「悪魔」を絡めたタイトルにしないところがまた秀逸。
悪魔が平然と登場し、悪魔に翻弄されるたくさんの人々が滑稽。悪魔とは一体何なのか?
そして、間に挟まれるポンティウス・ピラトゥスの物語。よく分からない。でも、それがたまらなくおもしろいし、私を夢中にさせる。
理解しがたい、でもおもしろい、それが文学の魅力だと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ザ・ローリング・ストーンズの悪魔を憐れむ歌の元ネタだと知り読みました。長かったですが面白かったです。悪魔がモスクワを蹂躙してます。いろんな事件が起こるので、途中何の話だろうと不思議に思うこともありましたが、終わりは感動的でした。モスクワの街と巨匠の原稿の噛み合わせがとても良かったです。悪魔は憎いですが、可愛いと思っちゃいました。巨匠の原稿大事ですね。
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巨匠は原稿燃やしまくってるけど、悪魔ヴォランドに「原稿は燃えない」と言われて原稿を差し出される。原稿は、ひょっとすると悪魔が巨匠に書かせたのかもしれない。狂気と現実の関係や、劇中劇、色んな多様な要素を考えさせられる重要な作品に感じた。『エンドレス・ポエトリー』という映画に似たものを感じた。
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巨匠とマルガリータ (世界文学全集 1-5) (世界文学全集 1-5) (世界文学全集 1-5)
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分厚いしロシア製だし、買ったはいいけど手を出しそびれていました。そしたら文庫版が出てしまって、なんだか損した気分になっちゃいました。それにめげずに読んでみました。かなり軽妙な物語で、楽しく読めました。解説に当時の状況やこの作品の狙いなどがうまくまとめられていて、参考になりました。(2015年6月28日読了)
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あらすじにまとめてしまうと魅力がいまいち言い表せない小説ってあると思うのだけど、これはまさにそれ。読んでみて?とりあえず読んでみて?と言いたくなる。宮沢賢治の童話や不思議の国のアリスが好きな人はすっと世界に入っていける気がする。そんなちょっと童話チックな物語。想像力の玉手箱から飛び出した、発想のごった煮奇想天外小説といった印象。
初っ端から訳もなく人が死ぬので、なになに?どこへ向かっていくの、と不安になるが、悪魔が活躍し狂人が増えていく展開から何かへの腹いせまたは復讐か?と気づく。
巨匠の小説とこの小説の二重構造も面白く、ラストで巨匠が主人公を解放する場面は感動的だった。「臆病がもっとも重い罪」という言葉が印象に残る。弱い私は、臆病は身を守ろうとする本能だ、と反論したくなる。信仰じゃ生き残れないのだから本能に従うしか生きる道はないじゃない、と。
ヴォランドの手下たちの悪ふざけや悪魔と魔女の賑やかな舞踏会は話の筋など関係なしに読んでいて楽しい。なんだか意味のわからない悪夢をよく見るので、自分の夢を読んでいるような感覚だった。実際自分もジャーナリズムに騙されている観客のような気もするし。ソ連だけの話ですかねっていう。
作家じゃないのでわからないけど、マルガリータのような読者が一人でもいるならばその作品を書いた甲斐はあったんじゃないのかな。純粋に作品を愛してくれる読者。読書好きとして、マルガリータのような読み方に憧れる。カルヴィーノの「冬の夜ひとりの旅人が」に出てくるルドミッラのような。 -
あれー、期待外れ・・・。細切れで読まざるを得なかったせいか。最初のつかみが残酷系でニガテなんでひいたってのもあるが、次々に起こる不思議な出来事にいまいちのれず。悪魔チームは面白いんだけど。まあでも最後まで読み続けられたから、そこそこ面白かったのかもしれないが・・・