竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集03)

  • 河出書房新社
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309728735

感想・レビュー・書評

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  • 錚々たる方々の訳した古典文学!
    竹取物語がモリミーの手にかかると、翁や貴公子たちの下心がスケスケで困惑するかぐや姫が目に浮かんでしまう。
    和歌の訳がまたニヤニヤ。
    むかし男ありけり、の伊勢物語はこんなに長いお話だったのかと驚いた。恋愛だけでなく友情や仕えた親王とのやり取りが印象的だった。
    男としか出てこないので、これが業平のことなのか、時期はいつなのかとモヤモヤもするけれど、一遍の凝縮ぶりに愕然とする。
    堤中納言物語はいろんなテイストの話が襲いかかってきて気が抜けない。
    和歌の訳が絶妙!
    有名な虫めづる姫君の女房たちの嫌らしさときたら、普通に和歌を訳しただけでは伝わってこないかも。
    土佐日記、この本でいちばんツラかった。
    たぶん元々の話がまどろっこしくて合わないんだろうなあ。
    ひらがなばかりだとこんなにも読みにくいのかー。
    学生の頃、何度も目にした更級日記。
    物語に憧れた少女が田舎から出てきて、ようやく手に入れた物語を読みまくる…。
    でも、今回読んで、その上京の旅の行程が楽しかった。現在の場所を思い、その過酷なこと!
    そして京についてからもやたらと転居していて、それぞれの家の簡易さにも驚く。
    平安の時代のリアルな日常を垣間見た感じ。

    「学者ならぜったいにしない蛮行に及ぶのでなければ、小説家が仕事を引き受けた意味はない」と中島京子さんがあとがきに書いているけれど、厳密に言ったら解釈が違うところもあるのかもしれない。
    それでも、とても楽しく古典が身近になった良い本だった!
    ただ、持ち運びの出来る大きさ厚さにして欲しい…切実。

  • 竹取物語・伊勢物語・堤中納言物語・土佐日記・更科日記
    どれも学校で古典や歴史で学んだ物語ですが、一度も
    読んだことがありませんでした。(絵本とかあらすじみたい
    なものを除いて)
    初めて読みましたが、現代と異なって違和感のある部分
    もありますし、想いのほか現代でも共感できる部分も
    多く面白く読めました。現代訳が秀逸であったことも
    要因だろうと思います。
    中でも、伊勢物語の和歌と話しの内容の奥深さ。単なる
    恋愛だけではなく人とのつながりを大事にしてきた文化
    が垣間見える部分。
    堤中納言物語の短編小説のような、また現代でも共感できる
    家族や仲間での何気ないやり取りの記載。
    土佐日記の紀行文としての情景の描き方や、昔の船旅の
    リアルな様子。
    更級日記の現代でも十分に共感できる日記文学と、主人公の
    リアルな感情。至極日常的な感情。ドライな感情が
    垣間見える部分。
    など、面白かったと思います。

  • 伊勢物語、きちんと読むの初めて。
    川上弘美さんの日本語は美しいな。
    和歌の訳がそこはかとなく典雅だ。
    物語絵でよく出てくる有名な九段の八橋、宇津山だけにあらず。
    しかし業平はすごいね、さすが歴史に名を残すプレイボーイ…

    三十段の、歌を「逢うのは 一瞬 恨みは 永遠」て訳すのはしびれる。伊勢物語もすてきだけど川上弘美さんもすてき。

    最後125段
    「生きるとは
     なんと
     驚きに満ちたことだったか」
    ってところなんて、めっちゃすてきじゃないですか


    もりみーの竹取物語もすごく面白い。
    もちろん元の話自体が面白いけど、彼の訳がなんともシュールで人間臭くて好きだ。
    しかしなんておもしろい話なんだろうなぁ、古事記とかも面白くてユーモアあふれてるけど、竹取物語のファンタジーたまらん。昔の人すごい。

  • 竹取物語、土左日記、読了、8月12日。
    堤中納言物語、読了、8月13日。
    伊勢物語、読了、8月20日。
    更級日記、読了、9月17日。

    更級日記で、和歌の前に、現代語訳が先にあるのが読み易くてよかったです。源氏物語ファンとしても共感できるすがわらたかひょめさまの作品でした。

  • 高校の古典の授業で読んだものもあり懐かしくなりました。
    今になって読むと、昔も今も変わらない人の思いがより感じられます。

  • 教科書、それも抜粋でしか触れたことがなく、苦手意識もあった古典文学が、現代語訳と更に訳者の個性も加わったことで、とても読み易く物語に入り込めた。
    また、この全集には対となる「作家と楽しむ古典」という本がある。
    訳者自身による解説で、原典への解釈やそこから感じた思いなどを知ることができて、物語への理解がより深まったように思う。
    是非合わせて読んでもらいたい。

  • 竹取物語・森見登美彦/伊勢物語・川上弘美/堤中納言物語・中島京子/土左日記・堀江敏幸/更級日記・江國香織。現代語訳で読みやすいが、例えば森見ならもっともっと森見節で書いて欲しかった。伊勢は元が好きでないが、歌の訳が流石。堤中納は初見。虫愛ずる姫君のみ知ってた。他に図々しい坊主など。土佐日記初見、愚痴じゃん。ひらがな辛い。更級日記。猫に宿った姫君の話。「焦がれた物語を読む楽しさといったら妃の位も及ばない」そうそう!

  • 当時の生活や人々の心情、感覚がよくわかる。現代とはかなり異なるものも多いが、同じようなところも多々あって面白い。電気がないので夜は真っ暗なこと、それでも夜はあまり眠らず夜這いをしたり月を見に行ったりして過ごしたようだ。家にはもちろん鍵はかかっていないし窓も閉めていないようだ。
    土佐日記は中流貴族の悩み事や苦労、諦観など、興味深く描かれている。
    更科日記も中流貴族の娘の話だが、現代にも通じる中流家庭の普通の文学少女から一般職のOL、専業主婦、パートタイマー、そして老女となっていく一生がよくわかる。
    また、旅がいかに苦難を伴うものあったかもわかる。朝から京都へ行くのに3ヶ月もかかり、現代で言えば東京からアマゾンの奥地やヒマラヤに行くようなものだ。

  • 江國香織訳による「更科日記」が素晴らしい。物語を欲した少女の物語が愛おしい。

  • 豪華小説家陣による、古典の現代語訳。楽しみだった一冊がようやく読めました。特に豪華な一冊といえるのではないでしょうか。
    とはいえ古典。
    普段現代文しか読んでない人間に読みこなせるだろうかと不安になりましたが(特に和歌・・・)
    心配はありません。歌ばっかりの伊勢物語の、現代語訳なんて、しびれるほどのカッコよさでした。
    また、中島京子さんの堤中納言~もおもしろい。とくに虫好きなお姫さまのはなしは、よく知られているからこそ、中島さんの独特の言葉選びがはまってくすくす笑ってしまう。
    森見さんの「竹取物語」はある意味鉄板で、男どものどーしようもなさ、かぐや姫のつれなさぶりなどがいかんなく発揮されている。

    欲を言えば、もうちょっとそれぞれの作家さん「らしさ」で翻案してもよかったのでは、と思うところだけど・・・とはいえあまりに冒険しすぎたら現代語訳ではなくなるし。
    ほどよいところにおさまっていると思いました。

    受験生、古文を苦手にしているひとは、特に現代語訳をしっかり読んで頭の中に内容をたたきこんでおいたら古文も読みやすいと思います。という意味でもお勧めの一冊。

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