平家物語 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集 全30巻)

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (908ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309728797

感想・レビュー・書評

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  • 2020年5月、NHK「100分de名著」が本書を取り上げていたのをきっかけに読んだ。

    国語の授業で扱っていたものの、自分がこの作品を記憶の彼方に置いてきたことがよく分かった。

    ・概要
    平家一族がいかにのし上がり、そして没落していくのかを描いた作品。
    本書は古川日出男氏が現代語訳した。原文や解説は無し。

    ・驕れるもの久しからず
     平忠盛→平清盛→木曾義仲…と、頂点に立つものが入れ替わった時代。どの人物も驕りが見えたところから凋落が始まる。また、驕った者は念仏を唱えることなく成仏できないまま命が絶たれる。この様が情感たっぷりに描かれる。

  • 一谷嫩軍記を国立劇場で見たのをきっかけに平家物語を全訳で再読.900ページ近い厚さでなかなか時間がかかる.今年の大読書の一つとなった.
    有名シーンも本筋と関係のないエピソードもすべてに無常感がただよう.読み手を物語に引き摺り込む力に圧倒される.

  • 印象に残ったフレーズ
    ・平重盛
    聖徳太子の十七条の憲法にもこうあります。「人には皆心がある。心にはそれぞれ固執するところがある。彼を正しいとすれば、私は正しくない。私を正しいとすれば彼が正しくない。よって是非というのは定め難いもの。人は皆、相互に賢であり愚である。ちょうど環には端がないのと同じである。以上を持って腹立たしいことがあったとしても、それは自分の方に過失があったのではないかと省みよ」

  • 初めて平家物語を読みました。
    長い!!!
    800Pはなかなか読み応えのある内容でした。
    読み終わったことに満足しました。

  • なかなか苦労して読んだ。感じたことを記す。仏教にまつわる話、表現がかなり多い。俊寛が哀れすぎる。配流の島に行ったことがあるだけに、その思いは募る。俊寛のみ許されず、配流の島で亡くなった。源氏挙兵のくだりは興味深い。平家たちの「聞き逃げ」は遊女たちに笑われた。私も笑った。清盛は意外に早いところで亡くなった。平家も源氏に勝つ戦いもある。悲恋もある。間違いなく名作である。

  • 生者が、死者が、怨霊が、物怪が、語る平家の没落の物語。明確な作者が存在せず、無数の琵琶法師たちにより形成された本作は、このようなポリフォニックな無数の声により形成された稀代のエンターテイメント作品である。

    本書は古川日出男による平家物語という古典の現代語訳である。その訳文は死者の世界にいる無数の琵琶法師たちとの一種の霊的な結びつきにより示されたのではないか、と思うくらうの完成度を誇る。それは何よりも、この物語が、恋愛、戦争、政治紛争、災害、物の怪への恐怖、家族との情愛など、人間が生きる上での様々な要素を余すことなく盛り込んだ一大エンターテイメントであるということを完膚に伝えることに成功している。

    正直に言って最初のページを繰る手が重かった本作であるが、やはり歴史を経た弩級のエンターテイメント作品の面白さというのは途轍もない重力がある。池澤夏樹監修の日本文学全集の中の一冊であるが、この平家物語の役者に古川日出男を選んだ同氏の慧眼に感謝したい。

  • 古典

  • 何ヶ月もダラダラと寝る前に読んでましたが、今年中に読み終わっておこうと最後は(やや駆け足になりましたが)一気に読みました。おもしろかったです。
    学校でも習う、有名な古典「平家物語」ですが、現代語訳の完全版は、あまり無い気がします。橋本治の「双調平家物語」も大変面白いのですが、作者の解釈や「平治物語」など他の作品も入っており(それ故わかりやすくなっていますが)「平家物語」の完訳とは言えないと思います。
    今回、古川日出男という現代文学の人気作家(だと思う)が、一冊にまとめて完訳というのはとてもありがたい仕事だと思うし、源氏物語と比べると刊行数が少なく感じる平家物語にもっとスポットが当たるのでは無いでしょうか。近年、大河ドラマでも平家物語は取り上げられましたし、30〜40歳くらいの方にぜひオススメしたいと個人的には思います。
    あえていうなら、古川日出男という作家の文体の好みは分かれるかもしれません。

  • 読み終わった達成感がすごい。
    飽き性で、書き下し文で読むの辛い…とか思ってたので、口語訳・しかも琵琶法師の語り口調で書かれていたのは、語調に引っ張られるようにぐいぐい読めて楽しかった。
    それにしても、平家のことよく知らなかったけれど、平清盛ってあんなに破天荒な人だったんだァ…と今更衝撃。

  • 900頁の大作をやっと読み切った。
    平家物語が源平合戦で亡くなった武将達の鎮魂の物語というのがよく分かった。
    前半で清盛の傍若無人を描き、後半で子孫達の哀れな末路を描く。因果応報である。
    この平家物語を起点とする幾多のスピンオフ作品があり、興味があり、色々と読んでみたいと思った。

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著者プロフィール

1966年生まれ。著作に『13』『沈黙』『アビシニアン』『アラビアの夜の種族』『中国行きのスロウ・ボートRMX』『サウンドトラック』『ボディ・アンド・ソウル』『gift』『ベルカ、吠えないのか?』『LOVE』『ロックンロール七部作』『ルート350』『僕たちは歩かない』『サマーバケーションEP』『ハル、ハル、ハル』『ゴッドスター』『聖家族』『MUSIC』『4444』『ノン+フィクション』『TYOゴシック』。対談集に『フルカワヒデオスピークス!』。CD作品にフルカワヒデオプラス『MUSIC:無謀の季節』the coffee group『ワンコインからワンドリップ』がある。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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