社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学
- 紀伊國屋書店 (2014年4月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (616ページ)
- / ISBN・EAN: 9784314011174
感想・レビュー・書評
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「まず直観、そのあと合理的説明」といった道徳心理学の話で有名なジョナサン・ハイト。
そんな道徳心理学者が6つの道徳基盤に関する一連の研究を踏まえた上で、保守主義とリベラルの特徴解明に迫る。
道徳性の視点から、政治や宗教の在り方を考えるのは斬新で面白く、私のこころの扉を少し開けてくれたように思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人の直感<象>と、したがう思考の<乗り手>。
人の考えを変えたいなら<乗り手>ではなく<象>を懐柔する事だ。名著『人を動かす』カーネギーのように「友好的な態度で、微笑み、良き聞き手になろう。あなたは間違っているなどと決して言わないように」。
乗り手をやり込めても象は納得してない。
社会における正義、政治を何で決めるのかというとこれも直感である。
直感を6つの道徳感↓
自由…圧政や暴君に支配されない
ケア…弱者の保護、思いやり
公正…比例配分もしくは結果平等、信頼
忠誠…チーム、自己犠牲
権威…階層、敬意
神聖…汚染、節制
のスコアでわけると、(アメリカの)
リベラルは上3つを重視し(特にケア。逆に公正は低め)
保守は6つ全てに反応する(特に公正。逆にケアは低め)
人もハチもデバハタガネズミも「住居と蓄えをまもる必要があり」集団社会を形成したと思われる。
道徳共同体の維持に、帰属や儀式が有用。
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おもしろい。六つの道徳基盤から見るとさまざまな対立を理解しやすくなる。
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正直難易度が高すぎた。道徳心や正義というものは確実な正解があるわけではなく文脈で決まるということを意識するべきだという本と理解した。
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「自集団に資する正義を志向するよう設計されているから」が結論。結局、人間は差別する生き物ということ。
道徳マトリックスには「ケア/危害」「自由/抑圧」「公正/欺瞞」「忠誠/背信」「権威/転覆」「神聖/堕落」があり、それぞれの立場で組み合わせて選択している。リベラルの保守に対する理解は、保守のリベラルに対する理解よりも浅い。 -
なぜトランプを指示する人がこんなにもいるのか、純粋に疑問で理解したいのが端緒でした。
(この本は2014年発行(日本)ですが)
言われてみれば納得なのですが、そこはこのボリュームで、様々な研究を紹介し(もちろん末尾には参照付き)エンターテイメント性に溢れた筆致で、納得も納得も納得させられました。
価値観とは別物で、なんとなく人間的な道徳は決まっているように思っていたけど、道徳は人により様々。そこを間違えると独善に陥りやすい。
たくさんの人間が仲良く生きてくのはそりゃ無理ってもんだ、と思いました。
仕方ないことだけれど、宗教が絡んだ理論になると、仏教はあまり考察されない。人間文明がここまで発展したには宗教の貢献があることを論じている箇所にも大いに納得したが、そこでいう「宗教」には仏教はあまり当てはまらない気がした。
欧米の優秀な社会学の学者さん、仏教についても考察の対象としてください。宗教ではないならないとして。 -
哲学
社会 -
集団行動の中でも、集団同士に分断が起きるのはなぜか興味があって手に取った。
が、興味が変わったのでパラパラとめくって終わり。
心には象(直感)と象使い(理性)があり、直感に反する論駁は反発を受けると言うのは感覚的にもわかるなと思った。
個人の中のイデオロギーが形成されていく過程はもうちょっと勉強したい。 -
読了できず