日本の女性名 上: 歴史的展望 (教育社歴史新書 日本史 30)
- ニュートンプレス (1980年1月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
- / ISBN・EAN: 9784315401813
感想・レビュー・書評
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古代日本史を専門とするツノダ先生が豊富な文献事例を元に卑弥呼から昭和末期までの女性名の変遷を解き明かしたもの。1980年刊行。
検索エンジンのない時代にこれだけの仕事をやってのけたのが、いかにも書誌学者といった感じで素晴らしい。古き良き知識人の一類型です。
当家に繁殖の予定はありませぬが、一般に知能水準が高いと思われる役所の中でも、子にいわゆるドキュンネームをつける職員がおり、一体なぜそうなるのだろうと疑問に思っておりましたが、歴史的由来をたどることでその謂れがわかるのでは…という淡い期待から読み始めたものです。
上巻では大和時代から鎌倉時代まで、貴族層と庶民層に分けて女性名のありようを紹介しておられます。
大和時代には男子への敬称であった「子」が、やがて男女混成名として女子にも用いられるようになり、平安時代に至って貴族女子のスタンダードになったようです。
のち庶民がこれを真似て「子」が増えていくのですが、なおもバラエティを保ち、明治以降の名前につながったようです。いわゆるお婆さんの名前、ひらがな二文字系は、これらの接尾語が落ちたものなのかもしれません。
◆大和時代から奈良時代
上層階級は接尾語のヒメ、中下層階級はメがつく。奈良時代後期から貴族層において接尾語を切る傾向が強まる。
◆平安時代以降
貴族層において女性名の子型化が進む。藤原朝臣明子アキラケイコ、石川朝臣普子アマネイコ、万葉仮名系では百済四千子ヨチコ、藤原丹生子ニフコなど。中期にいたり子型が他を席巻、ヒメ型は消える。
一方、庶民層では女型が圧倒的に多く、如ユキ女、凡オホシノ刀自女、など。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
平安時代目的で購入。訓読みは難しいものが多く、推定でしか読むことができない中、よくここまで解明したと思う。