- Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
- / ISBN・EAN: 9784315523157
感想・レビュー・書評
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人類が世に出て消え去る瞬間まで付きまとわれる欲の一つである食欲から生じた料理について、これ以上ない程に科学的な解説を目指している専門書です。
人類は過去のどこかで自然発生した火と焼けた食物を発見し、そこから終わりなき美食の探求を開始しました。
初めのうちはあるものを工夫して、そして段々と着実に科学を利用した調理法を確立していきます。
美味を追求することから健康を重視するようになる変遷は、我々の文明と志向が進歩していることを証明しているように思えました。
当たり前のことなのに文字化されたことで科学的だと感じた部分を一つ引用します。
“オリーブ油よりも水の方が早く卵に熱を加えられるのは、水を74℃に熱する方が、オリーブ油を同じ温度に熱するよりも多くのエネルギーを必要とするからです。物質の温度を上げるのに必要とされるエネルギーの量をその物質の熱容量といい、物質によって熱容量は異なります。水の熱容量はオリーブ油の2.1倍あまりに達します。水の温度を74℃に上げるのに必要とされる余分なエネルギーのすべてが、食品をより早く調理するために使えるというわけです。”
オリーブ油の方が温度を上げるのは簡単でも、食品を先に加熱するのは温度を上げるのが難しい水である…ということです。
よく読まないと混乱してしまうかもしれませんね。
食事の営みは文理を問わないので、本書も文理問わず楽しんでいただきたいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第1章 料理の進化(200万年前~1万2000年前)
第2章 農業の始まりと調理の革命(1万2000年前~1499年)
第3章 初期の科学が料理に創造性をもたらす(1500~1799年)
第4章 料理の技術に原子の科学が取り入れられる(1800~1900年)
第5章 近代科学が料理のアートに革命を起こす(1901年~現在)
第6章 調理の科学に火がついた
第7章 よい食品と悪い食品、そして調理科学の未来 -
科学的に料理を考える。大変興味深い一冊。