- Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
- / ISBN・EAN: 9784323060965
作品紹介・あらすじ
40年間、体の不自由な人たちのために自転車を2600台以上手作りしてきた堀田健一さん。物作りが大好きだった少年時代から、さまざまな苦難を乗り越えて、人のために尽くしてきた軌跡を描いた感動のノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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★2020年課題図書(小学校高学年)
ノンフィクション。
ものづくりが好きな少年だった堀田健一さんは、工業高校に進み、ホンダに就職します。水上バイクを作るという夢があったからです。しかし、会社で水上バイクを作ることが認められず、会社をやめてしまいます。その後、他の仕事が軌道に乗るのですが、自分の子供に三輪自転車を作ってやったことをきっかけに、手作りの自転車を作る会社を立ち上げます。その自転車は普通の自転車とは違い、一人ひとりの体の特徴に合った作りをしていて、足の力が弱いなどの障害がある人でも自力で走れる自転車です。堀田さんの仕事は、堀田さんの自転車を求める人にはとても感謝されますが、資金繰りはいつも苦しく、食べていくことさえ厳しいという状況が何年も続きます。
それでも奥さんに支えられ、自転車を作り続け、2005年、社会に感動を与え、社会の発展や幸せ・魅力作りに貢献した市民に贈られる、シチズン・オブ・ザ・イヤーという賞を受賞します。
人のために役立つことをするということはとても尊いことだ。
けれど、どれだけ人の役に立つことであっても、その価値がすぐさま金銭に直結するわけではないのだ。読みながら、そんなことを考えていた。
堀田さんの仕事は障害者や高齢者にどれだけ勇気を与え、また実際にリハビリテーションの機会として役に立っていただろう。それなのに、当事者の堀田さんは、長い間、金銭面では報われたとは言えない暮らしをされていたらしく、社会の役に立っている人に正しく富が分配されない現実を苦々しく歯痒く感じた。
今であれば、例えばクラウドファンディングなどを利用して、価値を認めてもらえるところに自分を売り込むこともできるかもしれない。けれどこの時代は、もちろんそういったものもなかっただろうし…。国や行政が、もっとこういった人々にスポットライトを当てて援助できるようなシステムがあればいいなと思った。(実際にそういったものがあるのかどうかは知りませんが、堀田さんに限ってはあまり活用出来ていなかったようなので。)
堀田さんの人生をたどりながら、価値のある生き方とは何だろうと考えた。
人のために生きられる人間はやはり尊い。堀田さんが、決して生活が楽でないと知りながら、自転車づくりの仕事をやめなかったのは、その先に堀田さんの自転車を求める人がいることを知っていたからだ。経済的なことだけを考えると、途中でやめてしまうという選択肢もあったはずだが、それを選ばず、40年もの間自転車を作り続けた堀田さんの生き方をとても尊く思う。そして、それを支え続けた奥さんの存在もとても大きい。
尊い生き方ではあると思うが、やはり金銭面でももっと報われてほしい。こんなに人のためになる仕事をしている人が、こんなに苦しんでいるなんて。もっと世の中のシステムが整っていればいいのになぁと思ったが、その考えは他力本願すぎか。
今、堀田さんと奥さんは幸せだろうか。そうならいいなと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
紆余曲折があり、バリアフリー自転車を作り続けている堀田さんの一代記ノンフィクション。顔が見えるモノづくりの喜びがある一方で、必要としている人たちから高いお金を取りづらいというジレンマがよくわかる。
堀田さんが長年培ってきた技術やノウハウが、次の世代につながっていくことを願わずにはいられない。
行政の手がいきづらい隙間を、自分の手で埋めている人たちが、人並みに生活できることを行政は考えてほしい。 -
ものづくりが大好きだった堀田さんは、小学生の息子のために踏み込むだけでタイヤを回す自転車を手作りしました。すると、それを見て足が不自由な人に「わたしにも乗れますか」と聞かれます。初めて自転車をこぐことができ、涙ぐむ女性を見た堀田さんは、体の不自由な人のための自転車を作る会社を立ち上げます。しかし、苦難の連続で…。
堀田さんの情熱が伝わってくる感動のノンフィクション。 -
第66回(2020年度)青少年読書感想文課題図書
小学校高学年の部
内容:
「「自転車に乗って自由に楽に出かけたい」という思いを体の不自由な人こそもっている。誰でも乗れるバリアフリーな自転車。どこかで誰か作ってくれないだろうか。そんな夢をかなえてくれる人、それが堀田健一さんである。
夢の実現は簡単ではない。体がどんな状態でも乗れる自転車は完全なオーダーメイドであり苦労の連続だ。でも、堀田さんは、みんなの笑顔のために決してあきらめなかった。仕事とはどんなことかも、伝えてくれる。」 -
身体の不自由な人のための自転車をつくりつづける男性のノンフィクション。素晴らしい仕事だけれど、利益はほとんどない。それでも自転車をつくりつづける。それを必要としている人がいるから。
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世の中には、自分の利益を考えず
人のために役立つことをしている人がいる。
でも、そんな人たちが
報われるわけではないのが現実である。
堀田さんが、自転車作りができなくなったら
その技術は誰にも受け継がれないまま
消えてしまうのだろうか。
そういう意味では高学年向きの内容であるが
文章は単調で退屈。
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2020年課題図書(高学年)その2。