- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784326101887
作品紹介・あらすじ
リベラル‐コミュニタリアン論争の基点。リベラリズムは決して唯一の公共哲学ではない。論点は、正=権利は善に優先するか否か、である。
感想・レビュー・書評
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これは細密なロールズ批判なので、『正義論』を読んでいないと何を論じているのかわからないと思う。(池田信夫教授)
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コミュニタリアニズム(アメリカ)。個人の権利義務ではなく、コミュニティをベースとして善き社会を考えよう。アリストテレスの言った市民的徳が大切。人々がコミュニティに対する責任をもち政治参加する共和国を目指そう。
リベラリズム(アメリカ)は寛容や個人の権利を強調するあまり、価値の相対化や公共的価値への無関心を生み出してしまう。公共的関心や社会への帰属意識、地域社会やコミュニティとの絆が大切だ。自由にはコミュニティ意識や公共心が必要。家庭・学校・教会・地域社会が主役であり、国家は副次的な役割を果たす。▼リベラリズムは共同体が一元的に定義できない善を追求することは困難という予測から、価値判断に中立を守り、権利保障に重点を置く。あらゆる道徳的な目的に対して、中立的に振る舞うなんて無理。自律した存在というより根無し草。人は社会の歴史と道徳を背負った自我をもつ。無知のヴェール下で想定される人格も、家族・地域などの価値観を人格の一部として持ち、コミュニティへの役割・責任を負っている。コミュニティを無視した議論は非現実的。▼リベラリズムは加害者の人権を過度に重視している。被害者の家族が負った心の傷を修復するため、道徳的な観点から積極的に介入すべき。▼リベラリズムは道徳や宗教の価値の多様性を強調しすぎ。中絶や同性愛などを放置すれば、人々の宗教観や家族観が傷つけられ、コミュニティの存立に不可欠な公共心が失われる。寛容・マイノリティの権利保護を安易に主張すべきでない。▼リベラリズムの福祉政策は、弱者の依存心を高めてしまう。働くことを条件に生活保護を与えるべき。労働を通じて社会に貢献し、公民としての自覚をもつべき。サンデル『リベラリズムと正義の限界』1982
人々は財を分け合って生きている。財には色んな種類がある。財の分け方を単一の正義の原理で決めるべきでない。官職という財の分け方と、最低限の教育という財の分け方は異なる。財によって分け方を変えることで、特定の人間が財を独占することのないようにしよう。マイケル・ウォルツァー『正義の領分』1999 -
これも教科書のイメージだけでは全然歯が立たなかった。
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原題:Liberalism and the Limits of Justice (Cambridge University Press, 1982, 2nd edition 1998)
著者:Michael Sandel(1953-) 政治哲学、倫理学、認識論。
訳者:菊池 理夫[きくち・まさお] (1948-) 政治学、政治思想史。
定価:4,000円+税
出版日:2009/02/20
ISBN:9784326101887
版型:A5
頁数:312
いわゆるりベラル・コミュニタリアン論争の基点となった作品。ロールズの『正義論』を考察の対象とし、その「自己 self」概念の妥当性と限界を問う。リベラリズムは決して唯一の公共哲学でないとし、共和主義を選択肢として提示する彼のその後の歩みを理解するうえでも重要な文献である。入手困難だった三嶺書房版10年ぶり復刊。
〈http://www.keisoshobo.co.jp/smp/book/b26690.html〉
【目次】
序論 リベラリズムと正義の優位
第1章 正義と道徳主体
第2章 所有・真価・分配の正義
第3章 契約論と正当化
第4章 正義と善
結論 リベラリズムと正義の限界
第二版附論 ロールズの政治的リベラリズムへの応答
日本語版附論 道徳性とリベラルの理想
文献目録
訳者解説
訳者あとがき
索引 -
3780円購入2010-06-10
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サンデル教授が最初に書いた単行本だそうです。
巷では、これからの「正義」の話をしよう、が人気爆発していますね。
努めて平易な文章を使いながら、具体的なエピソードを交えているので
政治哲学の素人でも分かりやすい構成になっていました。
それから、その他のサンデル教授の著作に興味を持ち、この本に手を出しました。
主張のベースは、やはりジョンロールズの「正義論」がベースになっています。
しかし言葉の言い回しが、上記の本から入った人間には抽象的な感じがして難しかったです。
まずはカントやJ.S.ミルやロールズの著作に目を通した上で読んだほうが理解が進むと思います。 -
読む時間がとれなかったことと、話が難しいためついていけなかった。そのため、積読にしておきます。