オッカムのかみそり: 最節約性と統計学の哲学

  • 勁草書房
2.67
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 100
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326102945

作品紹介・あらすじ

なぜ仮説は単純なほうがよい?「オッカムのかみそり」はどう使う? この有名な原理を科学や哲学で振るうための使い方マニュアル。

哲学だけでなく科学や日常生活など多様な場面で利用される「オッカムのかみそり」。だが使い方はさまざまで、どう単純ならばよいのかはっきりしない。そんなオッカムのかみそりの歴史をひもとき、なぜ単純がよいのかを探り、使用法を各種紹介しつつ、統計学の哲学の観点から捉えなおす。「統計学の哲学」への手引きとなる1冊。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【書誌情報】
    著者:エリオット・ソーバー
    著者:森元良太
    ジャンル 哲学・思想
         自然科学
    出版年月 2021年5月
    ISBN 978-4-326-10294-5
    判型・ページ数 A5・368
    定価 4,950円(税込)

     なぜ仮説は単純なほうがよい?「オッカムのかみそり」はどう使う? この有名な原理を科学や哲学で振るうための使い方マニュアル。
    https://www.keisoshobo.co.jp/book/b580277.html

    【目次】
    謝辞

    第1章 最節約性に関する一切れの歴史──アリストテレスからモーガンまで
     命名式
     自然は無駄なことを一切しないというアリストテレスの原理
     オッカムはかみそりをどう振るったのか
     地球中心説と太陽中心説の宇宙論
     神と自然法則をめぐるデカルトとライプニッツ
     デカルトによる導出
     あらゆる可能世界のなかでの最善を主張するライプニッツ
     過剰な原因という贅沢を避けることについてのニュートンの考え
     自然の斉一性原理に関するヒューム
     カントによる神の降格
     ヒューウェルによる帰納の統合
     ミルはかみそりの刃渡りを短くしようとした
     福音主義の物理学者ジェイムス・クラーク・マクスウェル
     モーガンの公準
     結び

    第2章 確率論的転回
     2つの確率論の哲学
     確率論入門とベイズ主義の基礎
     ベイズ主義者にとってのオッカムのかみそり
     2種類の事前確率
     ジェフリーズの単純性の公準
     ジェフリーズの公準に対するポパーの反論
     ポパー、反証可能性、験証度
     ポパーによる単純性の特徴づけ
     最節約性と非一番手の事前確率
     尤度と共通原因
     類似性について
     ライヘンバッハに関する3つの区別
     ベイズ主義的なオッカムのかみそり
     頻度主義と調節可能パラメータ
     唯一の結果に対して原因はいくつあるか
     ベイズモデル選択
     モデル選択の世界
     2つの最節約性パラダイムの違い
     なぜ偽のモデルが真のモデルよりも予測の精度が高く(かつ真理に近く)なる場合があるのか
     2つの最節約性パラダイムの共通点
     結び

    第3章 進化生物学における最節約性──系統学的推論
     共通祖先
     ちょっとした歴史
     オッカムがマルコフに出逢う
     忠実に反映することを含意する2つのモデル
     共有原始形質
     スミス/コックドゥードル定理
     祖先の形質状態を推定する──忠実に反映しない2つの事例
     別の規準──統計的一致性(statistical consistency)
     さらに別の規準──最節約性が当て推量(guessing)よりも信頼できるのはどのような場合か
     先へ進むことともとへ戻ること
     葉の形質状態を推定する──擬人主義と比較心理学
     新旧の最節約性
     結び

    付録3.1 共有派生形質1-1-0が(XY)ZをX(YZ)よりも支持し、共有原始形質0-0-1も同じくそれを支持し、かつ最節約性に統計的一致性があることの十分条件
    付録3.2 共有派生形質が共有原始形質よりも近縁性の強い証拠となる条件
    付録3.3 (P(ヒトにMがある|チンパンジーにMがない))/(P(ヒトにMがある|チンパンジーにMがある))を1よりも非常に大きくする条件

    第4章 心理学における最節約性──心を読むチンパンジー
     実験
     対立する解釈
     ホワイトンの矢印
     2つの最節約性パラダイム
     ブラックボックスからの教訓
     遮断を一切引き出さない、心を読む別のモデル
     学習と遮断
     連関、相関、検定
     最節約性再訪
     遮断に関係しないチンパンジーの相互比較
     行動主義と心理主義
     結び

    第5章 哲学における最節約性
     さまざまな自然主義
     無神論と悪の問題
     証拠の不在と不在の証拠
     心身問題
     心的なものの因果作用
     道徳実在論
     遮断についての誤解
     数学についての唯名論とプラトン主義
     独我論
     帰納の問題
     結び

    参考文献
    訳者あとがき
    索引

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1948年生まれ。生物学の哲学の第一人者であり、進化論をはじめとした生物学上の学説に対し、数多くの哲学的問題の発掘、議論の構築を行ってきており、80年代以降、「生物学の哲学」 を一つの学問分野にまで高めた。また、科学哲学界全体を率いる第一人者でもあり、現在は米ウィスコンシン大学のハンス・ライヘンバッハ教授職 (1989-) およびウィリアム・F・ヴィラス教授職 (1993-) にある。過去にアメリカ科学哲学会会長 (2003-2005) を務め、現在 (2012-2016) 「科学史・科学哲学国際連合 (科学の論理、方法、哲学部門)」 の会長を務めている。

【これまでに刊行された著書 (本書は除く)】
Reconstructing the Past: Parsimony, Evolution, and Inference, MIT Press, 1988.
  (『過去を復元する: 最節約原理、進化論、推論』 三中信宏訳、1996年蒼樹書房刊、後に2010年勁草書房から復刊)
Philosophy of Biology: Second Edition, Perseus, 2000.
  (『進化論の射程: 生物学の哲学入門』 松本俊吉・網谷祐一・森元良太訳、春秋社、2009年)
   これら代表的な二作をはじめ、著書多数。


「2012年 『科学と証拠 統計の哲学 入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

エリオット・ソーバーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×