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- Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
- / ISBN・EAN: 9784326600694
作品紹介・あらすじ
システムと環境の区別によってを定義しなおし、の機能を社会システム論のなかに明確に位置づける。初期ルーマンの代表作。
感想・レビュー・書評
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初期ルーマンの代表作。『制度としての基本権』や『法社会学』とは異なり、特定の社会システムに照準を合わせるのではなく、システム理論を採用すると「目的」という概念の理解がどのようになるのか、という抽象度が高い議論が展開されている。初めに、倫理学に由来する単独行為モデルから目的―手段の関係を考える思考形式の難点が指摘される。とりわけ興味深いのは、国家目的を延々と論じた旧ヨーロッパの自然法思想が衰退し「法治国家」思想が登場した事実を、法律の条件プログラム化と同一視するという『法社会学』などで詳しく論じられるテーマが、条件プログラムと目的プログラムの違いおよびその二つの機能的等価性を論じるにあたっての重要な実例とみなしていることである。他にも、おなじみのシステム理論・サイバネティクス理論から、経営学、経済学、法学、コンピュータ理論に至るまで、極めて多方面からの研究が援用されている。そのため専門用語の頻出には戸惑わざるをえないが、複雑性縮減のための多様な戦略のうちの一つとしての目的概念という結論は、旧来の西欧哲学における目的概念や目的論の位置づけの重要性を踏まえれば、思想史的に非常にラディカルなように思われる。
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