- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784326701018
作品紹介・あらすじ
看取り、緩和ケア、安楽死、生命維持治療の中止……。終末期医療における日本の現状と課題を、より先進的な取り組みをしている諸外国の例を参考にわかりやすく解説。人生の最期をどこで過ごし、どんな医療を受けたいかといった希望を叶えるヒントも満載! 朝日新聞デジタルの医療・健康・介護サイト「アピタル」での連載に大幅加筆。
感想・レビュー・書評
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終末期ケアについて、諸外国と日本の現状を比較しながら社会的な側面から考察されている。
尊厳死や自殺ツーリズムについても多くのページが割かれている。
高齢家族の終末期ケアに悩んでいる者としては、少し、話が大きすぎて参考にしづらかったため、星3つですが、終末期ケアに関わる社会制度に関心のある方には良書であるものと推察します。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人生の最終段階と呼ばれる時期に起こりうる混乱と日本の現状を、法的な規制や市民/医療従事者の意識調査、海外の例などを参照しながら解説しています。
施設や医師によって終末期へのアプローチが違うことにモヤモヤした人や、無意味に見える延命に疑問を感じている人、実際に安楽死を望む人に会い葛藤している人に、日本の現状を整理し理解する一冊としてオススメできるのではないかと思いました。
鎮静によって苦痛を感じない程深く眠ることによって、安楽死が許容される条件である“苦痛から逃れる手段が死の他にないこと”が達成されないのではという指摘は、確かになぁと思いました。深い沈静が効果的になされたとしてもそれは生きているといえるのか、その先の議論については述べられていません。
また安楽死の対象の議論についても、終末期に限定されることなのか、それとも精神疾患や難病に苦しむ人も含めるのか国によって異なるとあり、大変勉強になりました。
著者の1人である田中美穂さんは元新聞記者を経て公衆衛生専攻の大学院で学ばれており、尊厳死法案の提出にも関わっているという、とてもパワフルな方のようです。人生において何をどうやって学び実践するかという姿勢も尊敬します。
タイトルからして、終末期の患者に差し迫る選択肢とその結果本人と周囲に何が起こると言えるか等を解説する終末期のハウトゥー本のようにも見えるので、それを期待している人にとっては状況説明のみで物足りないかもしれません。そもそもその役割は医師からの十分な説明があれば済むのですが、冒頭で言及されているように生活から死が隠されてややタブー視されている現状では、突然ふりかかってきた死の危機に対して医師の説明だけでは対処しきれていないと思います。
自己決定とはなにか、尊重とかなにか、死とはなにかなど、そもそも論やなぜを深める議論は個人の価値観や一般教養に任せられていて、死ぬ時にどう振る舞いたいか、どう扱ってほしいかを、何となく周囲の状況からではなく自分の身に置き換えて考えられる人がなかなかいないと思います。医療従事者であってもそれぞれの人間が抱える深さに気が付けずに、我々の社会ではこういうものだから、で済ませていることもあると思います。 -
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請求記号:490.15||T
資料ID:51800270