第9巻 リア王 (研究社 シェイクスピア・コレクション)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784327180294

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  • 少しずつわかってきたシェイクスピア。
    「道化」の存在と、意外にも下ネタ有りなところ。

    『リア王』に対して無礼な物言いをすることを唯一許されていると思われる「道化」。
    そして児童書ではシェイクスピア翻訳の大家が下ネタは毎度スルーしている。

    確かに悲劇なのだが、なんだかドタバタ感が凄くてむしろ笑えてくる。
    でも、そんなツッコミどころ満載な面も含めて意外と面白い。

    こんな完全ネタバレをここに書いたことは一度もないが、まあこれはいいかな400年も世間にネタバレされてきたので。
    でも一応【以下ネタバレ注意です】




    長女ゴネリルと次女リーガンも悪いが、ゴネリルに対してリア王の罵詈雑言は呆れるほど酷い。
    リア王の狂ったセリフは真面目に読むと疲れる。

    ゴネリルはまだ夫がいるうちから、1人の男エドマンドを、未亡人ホヤホヤのリーガンと取り合う。
    何やってんだ、この姉妹。

    次男エドマンドの方を信じて長男エドガーを悪者とみなしていた父親のグロスター伯爵が、「ああ、そうだったのか、ごめんよエドガー」的にコロッと心変わりするのが一瞬。
    おいおい。

    大悪党のエドマンドが「最後に善行を。リア王と末娘コーディーリアを殺せと言ったの撤回するよ」的なこと言い出してコロッと心変わりするのも一瞬。
    おいっ。
    (撤回令、間に合わなかったし)

    オールバニ公爵は忠臣なんだが、「ああ肝心なリア王のこと忘れてたわ」となる。
    えっ!

    リア王に対するケント伯爵と、父親に対するエドガーの献身ぶりは凄い。
    盲目となり自殺したがる父親グロスター伯爵に素性を隠しながら護り続けたエドガー。
    父親をうまく騙して助けた策は素晴らしかった。

    それなのに最後、「宿敵の弟エドマンドに決闘を申し込みに行くこと」と「ずっと側に居た私はあなたの息子のエドガーでした」と告白したら、ビックリした父親は(たぶんショックのあまりの心臓発作で)死んじゃいましただと。
    おいおいっ。



    光文社古典新訳文庫にも『リア王』が有るから『ヴェニスの商人』の次は『リア王』を読むことにしたのだが、図書館に蔵書が無かったので、『リア王』は本書でおしまいにする。

  •  読んだことがなかったので、改めて読んでみようと思った。道化が核心を突いていて、ちょっと下品さもあって。解説の「物語」から「悲劇」への転換は知らなかった。元ネタは感動しそうだけど、やっぱり長くやることを考えたらグダるだろうし、二重の物語が絡むのはシェイクスピアのオハコみたいなものですからね。
     最初はリア王をただの老害(?!)と思っていたけど、解説にあった自己に初めて向き合った「リアの影法師」を踏まえると哀れにも見える。でも親世代たちは強い。最後に向かっての末娘との再会はちょっと美化しすぎる感じが否めなかったケドそのくらいコントラストをしないと姉たちがね。。。
    また改めて読んだら違う見え方ができそう。

  • 2013/5/2

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著者プロフィール

1931年生まれ。明治学院大学名誉教授。英文学者、英米演劇専攻・演劇評論家。著書に、『シェイクスピアの贋作』(岩波書店)、『シェイクスピアを観る』(岩波新書)、『シェイクスピアの墓を暴く女』(集英社新書)、『シェイクスピア大事典』(編著、日本図書センター)、『研究社 シェイクスピア辞典』(編著、研究社)、訳書に『じゃじゃ馬馴らし』(岩波文庫)など。

「2018年 『ソネット詩集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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