- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784327377205
作品紹介・あらすじ
日本人が英語を相手に演じた、百年の愛憎劇。
感想・レビュー・書評
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同じ失敗を繰り返さないように教育も見直す必要がある
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英語と日本人の歴史は長い。そんな付き合いを取り上げたのが今回の本だ。
以前、NHK朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」という、英語のラジオ講座が関係するドラマを放送していた。
1946年2月1日にNHKで放送が開始された平川唯一(ただいち)のラジオ講座「英語講座」のテーマ曲が「証城寺(しょうじょうじ)の狸囃子(たぬきばやし)」のメロディーに乗って「カムカムエブリバディ」始まったところから「カムカム英語」と親しまれた。
会話の内容は日本に関することで、著者は「カムカム英語」は、究極の「発信型」英語教材だと言えると評している。
明治時代後期になると、英語雑誌が次々創刊された。その中には後の研究社となる英語研究社が、明治40年11月、誕生した。
創業者の小酒井五一郎は「日露戦争後の隆隆たる国運の伸展に伴い、外国語、特に英語の重要性はますます増大するという認識」に基づき、「英語出版をもって社業の中心とする決意を、この『英語研究社』という社名に託した」と、研究社の社史(『研究社八十五年の歩み』)にある。
英語雑誌の記事の中で、「受験英語」関連の記事がある。著者は興味深い事として、試験問題に関連する記事で解説されているものの多くが職業系学校の入学試験と述べている。
どんな設問が出題されていたのかと言うと、英文和訳と和文英訳が主流ですたまに文法問題が加わることもあったそうだ。
英語教育についての批判は当時からあった。岡倉由三郎の『英語教育』(1911年)で、日本の英語学習者が時間をかけている割には英語を使いこなせない現実を取り上げている。
自分の子供は、中学・高校と英語を勉強したのにも関わらず、英語を読んだり、英文も書けないと述べている。
著者は指摘しているが、限られた時間で英語の授業を受けただけで英語の使い手になるのは無理と述べている。この厳然たる事実から目を背けようとするから、日本の英語教育はどんどんおかしな方向に行く。
太平洋戦争では、アメリカは敵国となった。そこから英語は「敵国語」として禁止されたと思ったが、著者は徹底していたかは疑問として、次に映画を例に挙げている。
1944年に製作された『加藤隼戦闘隊』(監督山本嘉次郎)という映画は、1941-42年の日本陸軍のアジア侵攻をテーマにしている。その中で、加藤建夫部隊長は、日本軍の基地に迷い込んだ敵機を見つけて「チャンス、チャンス」と叫んだ。後で敵国語を使ったことを部下に冷やかされたが、笑いながら弁明する場面がある。
意外だと思ったが、陸軍省監修の映画でこの状況なら、思ったよりも厳しくなかったのかな。
ただ、英語教育の現場では厳しかったようだ。
今回の本は2007年に発行されたものだが、英語と日本人との付き合いはこれからも続いていく。しかし、英語力を身につけているかと言うとクエスチョンマークが付いたままだな。 -
英語は世界共通語として、世界の至る所で使われています。難しい英語を上手に話せるために日々努力する人も多いのではないでしょうか。いっかい英語の勉強を休んで、この本を読んでみてください。英語で悩む人はあなただけではありません。昔の人も同じように悩んでいたのです。
【OPAC】
https://opac.lib.niigata-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA83210398?hit=1&caller=xc-search -
英語教育や日本人の英語の受容等、日本人と英語の関係を論じた本。 確かにこの本で書かれているように、現在の英語教育を取り巻く環境は迷走を続けていると思う。
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日本の英語教育史をざっと振り返るのにも便利な一冊かと。
英語の学習についてもこれまでの氏の著作を貫く形で述べられている。