- Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
- / ISBN・EAN: 9784327410742
作品紹介・あらすじ
近年その研究の進歩が著しい第二言語習得研究の分野で、これまでに何が研究され、何が解明されてきたのかを、分かりやすく、かつ詳細に解説する。また、どのようにデータを収集・分析し、その結果をどのように論文の形にまとめればよいのか、第二言語習得の研究方法についても紹介する。
感想・レビュー・書評
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著者である若林氏の著作を読んだことがなく、購入してみた。第二言語習得の歴史や理論について詳細に説明がなされ、具体的な「指導と習得の関係」や、「年齢と習得の関係」についても言及がなされる。最後に「データの収集方法」や「論文の書き方」にいたるまでが記述され、守備範囲が広い1冊である。
特に、「生成文法理論に基づく第二言語習得の考え方」などは私はなじみがうすかったので、新鮮に読むことができた。生成文法について詳しく学んでいない私にとって、確かにとっつきにくい分野ではあったのだが、それでも噛み砕いた記述が多々あり(すべて理解するには私の能力では程遠いのであるが)、大いに刺激となった。
また第二言語習得の歴史を、「母語と第二言語の比較対象」という出発点から、「第二言語習得独自のプロセスの設定とその研究」という転換という視点で描いており、私にはその切り方がとても斬新でわかりやすかった。さらに、インプット処理理論など、私にとってはなじみの薄い用語もあり難解な部分もあったが、新たな知見を得る意味ではとても有意義であった。
全体を通して第二言語習得の基礎を学ぶ上で、概観がしやすい構成で、すでに記憶している知識を思い起こし、同時に、新たな知識を得る意味で、有意義な1冊であった。本書はあえて日本の教室での効果的な指導を具体的に提案はしていない。しかし、それは本書の中にあった、「指導原理(teaching principles)と経験の結びつきが、より豊かな第二言語指導を産み出す」旨のメッセージを反映しているのだろう。昨今の瑣末なテクニックやトレンドに一喜一憂しがちな傾向が強いご時世であるが、第二言語を教える教員として、目の前の生徒にとってベストな指導方法を繰り出すことができる「引き出し」を用意しておきたい。そういった具体的な活動や仕掛け、テクニックを俯瞰するバックボーンとなるのが、第二言語習得の知見であり、本書はまさに、そのteaching principlesを確立する上で、良書となることは間違いないであろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
バイリンガルの意味は、かなり広義又は多様に使われる中、過去も含めて理論や研究されていることを紹介している。内容によっては専門的すぎて難しい章もあるものの、現在のバイリンガルの教育をどうやっていくかのヒントもたくさんある
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狭義のSLAの概説書。大学院入学以前はこの本を読んで自信をつけた。
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2013年11月~ 企画コーナーにて展示中
MS Pゴシック