わたしの心を強くする「ひとり時間」のつくり方

著者 :
  • 佼成出版社
2.80
  • (1)
  • (6)
  • (21)
  • (8)
  • (4)
本棚登録 : 190
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784333028849

作品紹介・あらすじ

長引くコロナ禍に加えて、想定外のことが次々と起きる時代です。
これからどうなるのだろう、という不安が尽きることはありません。

そんななかで、地に足をつけて生きるために必要なのは「ひとり力」ではないでしょうか。
自分と向き合う時間を持ち、私にとって何が大切なのか見極めること。
できるだけ人に頼らず、自分で自分を満たし、自己肯定感を高めること。

家族がいてもいなくても、そんな力強く生きる術が、今、求められていると思います。

本書では、ひとりを愉しむ達人である著者が、コロナ禍を経てあらためて「ひとりで心豊かに生きるための方法」について伝えます。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 表紙で釣られる一冊笑。他の方のレビューにもありますが、わたしも釣られた一人。表紙の女性は20から30代くらいに見えますがまさか、60代くらいのシングル女性に向けて書かれた本だったとは!!そのことに前半で気がついて、「やられたぁ」と思いました。でも、自分も通る道。こういうことが待ち構えているのかと意外と参考になるところもありました。

    ●簡単だけどしっかり食べる。
    確かにこれ、ずっと一人だと難しいと思いました。「面倒だから納豆ごはんでいいや」となりがちです。でも高齢になるほど、タンパク質を意識して食べたほうがよいそう。一人だし、ご飯は適当で大丈夫となりがちな方はあえて意識したほうがよさそう。

    ●救急医療情報キットがもっと知名度が上がってほしい
    これから1人世帯が増えるからには絶対にこの制度の知名度が上がってほしいと思わされました。なぜなら、1人で倒れて救急隊が運ぼうとするときに「この人だれ?、どういう人?」となって初動が遅れることが想像できたからです。意思表示をしてあれば、病院での不要なトラブルも避けられます。

    ●いまは忙しいけれど
    高齢で1人になったら、毎日「今日はこれをしよう」と決めないとなにもすることがない日々を過ごす可能性があることが読み取れました。想像しただけで気が滅入りそうです。趣味や仕事など、行動する癖をつけておく必要がありそうです。

  • 岸本葉子が好きなのと益田ミリが好きなのと、たぶん同じ島。
    「ひとり」を強調するきらいはあるけれど、
    人間だれも一人だからな…と思う昨今。
    スイスイ読めるこの本も、書き抜きがたくさんある。

    p79
    *陰口を言いたくなったらどうするか。何か別のことをしたり考えたりする。気持ちや感情は、次々と移り変わっていくものです。~
    陰口を言うまでに発展させないで、Aさんに対する気持ちをとりあえず棚上げし、放っておくのが、いちばん苦しくないし、賢い対処に思えます。

    p85
    *集まって盛り上がっているとき、それぞれが思いのままにしゃべっていおるようで、実は「話す」と「聞く」のバランスを意識しているのでしょう。それが大人の交際です。頭のどこかで「わたしはしゃべりすぎてはいないかな」と少し気にしておきたいと思います。

    p112
    子どもの頃、隣の家に住んでいた夫妻のことを思い出す。彼らには子どもがいなくて姉と著者にとてもよくしてくれた。その夫妻は著者が小1のときに別の町へ引っ越すが、著者の姉は大学生になっても訪ね、だんなさんが亡くなってからも話し相手に行っていた。それを知ったのは奥さんのほうが亡くなってから。自分は恩知らずだったと書き、「振り返るのが苦しい恩人」と表現する。そして

    *その人には返すことのできない恩を別の人に渡すのが「恩送り」です。この言葉を聞いたとき、「これだ」と思いました。
    ~~
    後悔は痛みを伴う感情ですが、手放さずにおきたいです。胸を刺すばかりでなく、鋤・鍬となって心の土壌を耕し、何かを育み、これからの人生を豊かにしてくれるかもしれません。

    p148
    *「心の声」を聞きましょう、「体の声」を聞きましょうとよく言われるけれど、意外に難しいもの。知人の場合、週に四回泳ぎたいのはたぶん「心の声」でした。それに従ったら体の方は悲鳴をあげました。好きなこと、楽しいことでも「体の声」によく耳を傾けましょう。

    p149
    *睡眠だけは削ったらダメ。~睡眠は何よりの薬。~運動する時間をとるため睡眠を削っては本末転倒。どちらかの二択であれば睡眠を優先すべき。

    p171
    *不安を感じたら、どういうときかと、その程度をノートにつけてみる。例えば、ニュースで悲惨な映像を見たときとか、朝起きたときとか、あるいはよる寝る前に不安が強い。人と話すと弱まるとか、掃除に集中していた間はほとんど感じなかったとか。メモしたことを振り返り、不安を感じやすい行動を減らしていって、感じにくい行動を増やしていきます。

    不安は悪いものではなく、むしろないほうが問題。
    そして一番びっくりしたのはこの部分。
    p172
    *わたしは実はおおぜいの前で話をする状況に、強い不安があります。テレビやラジオの収録はなんともないのに、人前に出て視線を直に向けられる状況に、無条件で弱いのです。
    ~~
    病院を受診すると、胃潰瘍でした。胃の壁がえぐれて出血
    しており、「今どきこんなに深い胃潰瘍になって来る人は、医療アクセスの悪いところは別として、都会では珍しいです」とまで言われました。

    これ本当に意外。
    数年前、コロナ前に地元の図書館で著者の講演会があって行ったことがある。話し方は堂々としていて、その生真面目さは書いているものと寸分たがいなく安心して聞いていたのに、実は好んでいなかったとは…。おいたわしい…。
    そして
    *でも克服しようとは思わなくなりました。「ああ、また不安がのしかかってきている。自分はいつもこうなのだ」と感じつつ、とにかく壇上で立ち往生だけはしないよう、原稿を準備する。

    と書く。「そんな自分を認める」そしてそれに対処する。これが「克服せずして乗り越えている」としている。敬服。

    p179
    病気の時、行き当たりばったりながら小さな達成感を積み重ねていた。
    *がんの診断を受けると、自分が招いたことでないにしても、自己肯定感が下がるのです。昨日までの健康で、できることがいっぱいだったわたしではもうない。わたしからは、がんに対しなにもできない患者として、治療に身をゆだね、怖じ恐れるしかないのかと。そのときに、小さな目標を持つ。
    ~~
    入院前に美容院へカットにだけは行っておこうとか、そういう次元の目標です。
    ~~
    p180
    決めたらば、なるべく計画通り実行することをおすすめします。
    ~~
    気分が乗らなくても、ともかく決めたことをする。計画に従い行動する。
    それどころではない気分でもできた、ということが、後々自信につながります。

    p187
    いやなことがあったとき、それを一時的と受け止めるようにする。
    *なかなか切り替えられないとき唱える呪文のようなものが、わたしにはあります。それは「こんなことで不機嫌に過ごしていては自分がもったいない」。あるいは「こんなことで不機嫌に過ごしていては人生がもったいない」。

    そして
    *感情とはそういうもの(一貫していないものだと)だと認識し、しばらく放置して見るのも、心の健康に役立つことです。

    p193
    *「ともかく」「ひとまず」「とりあえず」で心を後押しする。

    これらの言葉は「適当」という意味ではなく、上京や感情、考えが固定化するのを防ぐポジティブワード。

    p197
    *不本意な出来事でも、自分なりの物語の中に位置づけることができると、心は少し落ち着きを得るようだと。

    事実でなくていい。それは立証できないけれど、本人がそのような並びで収め、納得感に達していると、癒しの効果があるとブータンの人をみていて思った。

    p199
    *親に対する後ろめたさは、多かれ少なかれ誰にでもあるでしょう。~
    わたしの親は二人とも故人ですが、さまざまなシーンがフラッシュバックのようによみがえり「あのときなんでああ言ってしまったのか」「あんな態度をとらなければよかった」と悔やむことが、亡くなってからずいぶん経った今でもあります。
    それはつらいけれど、なしにしたい感情ではありません。むしろ、大切に「保管」したい、親亡き後の人生を歩んでいく上で心のコアにおいておきたい感情です。

    ここ、心にぐっときた。
    私はまだまだそう思えない。時間なのか。そしてこう続ける。
    *親に対する申し訳なさを抱えていると、例えば何か危ないことをする気になれません。~日常のすみずみの行動に影響していそうです。

    そして親に限らず、友人知人、仕事先の誰かに対して後ろめたい思いをもつこともあるでしょう。それに対して
    *取り返しはつかないので、せめてその思いを、苦痛だからといって捨てようとするのではなく、持ち続け、自分を律する動機に変えていきたいです。

    立派です。後ろめたさは消したいとしか思えない。今の私は。

  • 思ってたんと違う
    おひとりさま向けの生活知恵本かな
    忙しい中での
    一人の時間の作り方、過ごし方かと思って
    読んだから、的外れだった。

  • 表紙のイラストで若者向けかと思いきや、著者が岸本葉子さんで年配の方にも向けた内容になっています。
    ひとり時間の多くなったこのご時世に寄り添う内容かと読み始めましたが、「家にいてもパジャマで過ごすのは、けじめの点で問題」という文章から、期待していた内容と違うなと感じました。
    ひとりの時間くらい、好きに過ごしたいです…

  • いつかひとりで暮らすようになったら、気をつけたいことが参考になる。
    自分だけの記念日を祝う
    テレビは昼12時と夜7時のニュースだけ見る
    小さな達成感を積み重ねて生活に張り合いを出す

    ひとりは気楽だけど、工夫も必要なんですね

  • ちょっと読む時期が早かったかなと思いました。60代以上向けっぽかったです。雑誌に連載していたのを本にしたのかな?唐突に終わってびっくりしました。

  • ひとり時間をもっと楽しく、という第一章はそれなりに読めたけど、その後の暮らしを整えるとか人との関係とか、防災対策とか、よく言われてることばかりで参考にならない。コロナのこともたくさん書いてあるから、コロナ真っ只中だったらもう少し刺さったのかな。

  • 愚痴は言わない
    空気を浴びる

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

岸本 葉子
1961年鎌倉市生まれ。東京大学教養学部卒業。エッセイスト。会社勤務を経て、中国北京に留学。著書に『エッセイの書き方』『捨てきらなくてもいいじゃない?』『50代からしたくなるコト、なくていいモノ』『楽しみ上手は老い上手』『50代、足していいもの、引いていいもの』(以上中公文庫)、『ふつうでない時をふつうに生きる』『モヤモヤするけどスッキリ暮らす』『60代、少しゆるめがいいみたい』(以上中央公論新社)、『ひとり老後、賢く楽しむ』『ひとり上手のがんばらない家事』(以上だいわ文庫)、『わたしの心を強くする「ひとり時間」のつくり方』(佼成出版社)、『60歳、ひとりを楽しむ準備』(講談社+α新書)、『90歳、老いてますます日々新た』(樋口恵子氏との共著、柏書房)、俳句に関する著書に『私の俳句入門』(角川ソフィア文庫)、『岸本葉子の「俳句の学び方」』(NHK出版)、初の句集『つちふる』(KADOKAWA)など多数。

「2024年 『毎日の暮らしが深くなる季語と俳句』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岸本葉子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×