- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334032500
感想・レビュー・書評
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ゲーテに学ぶ、上達論の本。
10年以上前に読んだ本を再読した。かつてより圧倒的にすらすらと読めた。おそらく、自分の経験値が増えているために、当時は理解できなかったり推測するしかなかったようなことがするりと入ってきたのだと思う。本書は「ゲーテ」を取り上げたものだが、斎藤孝は、実在の人物の行動や出来事からゲーテの言葉に普遍性をもたせようとしている。私が気に入っているのは「行き詰まったら一度寝かせろ」「追い込まれたときに新たなアイデアがわく」だ。ただ、納得いかぬ部分もある。それは、これだけ個が多様化している時代だから、全ての人がそうであると首肯できない点である。本書にもあるが、「自分にあった距離をとる」ということが大切になると思う。自分で取捨選択しながら読み進めた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
齋藤孝さんの作品、かつては良く読んだものです。
本作は、2008年に読んだ作品です。
もう、15年前になりますか。。
著者、齋藤孝さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。
---引用開始
齋藤 孝(さいとう たかし、1960年〈昭和35年〉10月31日 - )は、日本の教育学者。明治大学文学部教授。学位は教育学修士(東京大学・1988年)。著書に『声に出して読みたい日本語』など。
---引用終了
で、本作の内容は、次のとおり。
---引用開始
ゲーテが教えてくれた仕事のヒント、生き方のヒント。
---引用終了 -
結局、成果を出したければ小さいことからやれ!と書いてあって全くもってその通りです…となりました。ちょっとやる気出た、やります。はい。
ちゃんと古典文学だったり、クラシック音楽絵画、一流とされるものをもっと自分に取り入れたくなった。古典の一流に触れることで、自分の中に基準ができる。世界に愛せる領域がふえる。アウトプットも変わっていく気がする。自分に資本を作るイメージ。
特に意識していなかったけれど、自分にも短い人生でその実感がある。読書に傾倒した小中学生時代の自分に感謝。アカペラも古典から現代まで生演奏を聴きまくった結果、本当に良いものとそうでもないものの区別もつくようになった気がする。
他に印象に残ったものは下記。
- ちゃんと師匠について学んだ方が質が高く、早い。最近は独学の方がすごいという風潮があるがいかがなものか。
- 自分を限定して生産し続けると成果が出やすい(誘惑に負けて手広くやると成果は出づらい)。
- 日本語はタフ(もともと中国語と大和言葉を混ぜてできた言語。カタカナがあり、外国語を飲み込んでいける)。
- 20年前は、「ものを知らないのが恥ずかしい」という風潮がまだあったとのこと。確かに、今はみんな堂々と知らない、わからないと言う。大学生すら本を読まないと斎藤先生は嘆く。たしかに、なんなんだこの世界は。いや私もそうだったな…反省。
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ゲーテの言葉を借りながら人生を生きるうえでのヒントを提示している
ふむふむ、高尚で近づきがたい印象をもつゲーテもこのように取り上げられると身近に感じられて良かった
「自分の立ち位置がわからなくなったとき、なにか壁に突き当たったとき、本書を開いてほしい。」と前書で述べられていたが、内容はそこまで簡単に享受できるようなものではないと感じた
これは私個人のレベルの問題かもしれないが
とはいえ色々気づきを得たことは間違いない
✏この世において、劃期的なことをするためには、周知の通り、2つのことが肝心だ。
第一に頭がいいこと、第二に大きな遺産を受け継ぐことだ。(ここでいう遺産とは金銭的なものを指さない)
✏圧倒的な才能の前では、すべてを投げてしまいたい衝動に襲われる。(中略)そこそこの才能があったとしても、それで自分の道を断ってしまうのは哀しい。強烈な刺激は受けても、支配されないくらいの距離感をもつことだ。
✏つまり、仕事上起きた不都合な邪魔は、より高次の次元にいたる原動力だとも言える。正・反・合の弁証法的のようなものだ。
✏「何かに心を奪われる瞬間」を技化する -
何か壁に突き当たったときに具体的にどういう行動をとるべきなのか、ゲーテの言葉を引用しながら齋藤氏がとても解りやすく示してくれています。
ゲーテに関する本をまともに読むのは初めてだったのですが、最初に読んだのがこの本でよかったです。
「人間が自分に与えることのできるもっともおどろくべき教養は、他の人は自分のことなど求めてはいない、という確信である」
まえがきにあったゲーテの言葉ですが、この言葉で救われる人がどれだけいるだろうと思いました。
対象は小さく分けてうまくエネルギーを使うこと。
人生は有限だから合理的なのは最高を知ること、それには古典に学ぶこと。
自分の専門、使い尽くせない資本をつくること。
書かれている中のほんの一部ですがどれもはっとさせられました。
この本から得たものが多過ぎてとても書ききれそうにないのですが、「ある種の欠点は、その人間の存在にとって不可欠である」というゲーテの言葉から始まる章が、今の私にとってはとても響くものでした。齋藤氏は「今の社会は、癖を愛そうという風潮があまりない」と語っています。
ゲーテは癖を愛せとまでは言っていないし、自分の欠点を正当化してはいけないけれど、少しは許すことも必要なのかもしれません。その方が生きやすそうだなと思いました。
人は変わろうと思わないと変われないので、人生のこのタイミングでこの本に出会えたことに意味があってほしいと思いました。 -
ゲーテの本は、「若きウェルテルのなやみ」や、「ファウスト」くらいしか読んだことがないと思うが、ゲーテは、いろんな学問を勉強して、いろんなことをしていたことがこの本を読んで初めて知った。「最高を知る」というのは普段意識してないが、やってみようと思った。
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★★★★集中するには、小さな対象を扱う。扱う対象を小さく分ければ仕事は楽になる。テーマを小分けしレーザー光線のようにエネルギーを一点に集中させる。自分の得意なことだけを表現する。専門バカにならないよう活動(表現)は狭くても洞察(吸収)は広くする。実際に応用したものしか頭に残らない。実践せず机上の勉強だけではすぐ忘れる。実際的・具体的に考える。吸収するためには、最高を知る。古典に接する。人生は有限。情熱を注ぐなら最高のものに。モーツァルトのピアノ協奏曲。ベートーベンの弦楽四重奏。川端康成。独創性などない。
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ゲーテの格言と思われるフレーズ著者が選んで、具体例を用いながら自身の解釈を提示した本。
タイトルからはゲーテの紹介のような印象を受けたが、読んでみるとゲーテの言葉を借用しながら現代社会の風潮の薄っぺらい点を批判しており、「なるほど」と感心させられるところが多々あった。
中でも、古典軽視の風潮への批判は的射ており納得させられた。
スタンダードなものとして国語の教科書で扱っていた漱石・鴎外などが消えていくのと反対に、すぐに取って代わられるような流行の作家を用いることによって、かつては世代を超えて普遍的に共有された価値観が消失し、本質から学ぶという機会が失われることに対して著者が警鐘を鳴らしているところは必読である。
古典の効用とその価値を再認識させられたと同時に、これからでもまだまだ遅くはないから古典を読んでみようという意欲が湧いてきた。
自分のモチベーションをコントロールするのにもいい一冊かもしれない。