- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334032869
感想・レビュー・書評
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第1章の最初の問いかけ
「自由=幸せ」って本当?
自由を「制約からの解放」と捉えるのは甘い!
自由と服従とは表裏一体なのだ。
自由だからこそ、人は権力にとらわれていく。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「自由である」ということは、実は何かの権力に「服従している」という逆説的な概念を論理的に説明している。「理由なき反抗」「理由なき服従」「理由ある反抗」「理由ある服従」というそれぞれのスキームの合理性を考えた上で、選手と監督とか、OLと総合職社員というケースで具体例に当てはめている。総じて腑に落ちるし、目から鱗も落ちる。本来、社会学の本だと思うが、最終章では哲学的な思索に近く、(社会学の文脈での)「自由」という概念や定義を、あらためて考えさせられる。いろんな局面での価値感評価なんかに応用できそうな感じ。
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最近ニュースなどで、「自由」という言葉を聞くことが増えています。
この言葉が用いられると、「良い」というイメージが付きまといます。
しかし、実際には「自由」とは何かを真剣に考えることはあまりありません。
本書は、「自由であるって、本当に幸せなんだろうか」という問題意識を提起するものです。
「自由である」ということは、自分に選択肢が与えられるということであり、
したがって、他人がその人となりを判断できることになります。
著者は、身近な題材・ユニークな題材を用いて、自由と服従(従属)の関係を類型化しようと試みます。
「人は、自由であるがゆえに、知らず知らずのうちに、他人の評価を気にし、それに服従している」というのが、著者の主張です。
つまり、「自由」は肯定され、「服従」は否定されるべき−そんな単純な図式を否定するのです。
非常に興味深いです。
ただし、「自由」と「服従」とを表裏一体のものと主張してきた著者が、後半には「服従」だけを無くそうとしている点などは、前半の論旨と多少の食い違いがあるように思われます。
最初にも書きましたが、「自由」が至上のもののように扱われている時代だからこそ、
その「自由」とは何なのかを冷静に見つめたいと思います。