失敗は予測できる (光文社新書 313)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 298
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334034146

作品紹介・あらすじ

人間、生きている限り、自分の周りに失敗はツキモノである。失敗は、多くの人が命を落とす大事故に至る失敗から、たとえば酩酊して財布を落とす失敗、入社試験に落ちるような日常的な失敗まで、挙げればキリがない。しかし、ある失敗は別の場所で起きた失敗と何らかの類似性がある。本書は、過去に起きた豊富な失敗例を挙げながら、類似性に気づきさえすれば失敗は予測できることを示す。また、失敗を予測するだけでなく、失敗を回避する方法、もし失敗してしまったときの対処法なども考える。さらに、昨今の日本社会の急激な変化に伴い、今まであまり公にされることがなかった、企画・開発時に起きる「隠れた失敗」にも目を向ける。

感想・レビュー・書評

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  •  失敗の原因を分類し、回避するためにはどうすれば良いかが書かれている。正社員と非正社員のコミュニケーション不足は納得。というか正社員など立場関係なく、コミュニケーション不足で起こる失敗が身近には多いと感じる。その他、誰かがやるだろうとか、自分の能力を過信しているとか、振り返れば身の回りの失敗の原因にピタリと当てはまるものばかり。
     機械の仕組みなど専門的な解説はわからないので読み飛ばしたが、エンジニアだけでなく誰が読んでも参考になると思う。

  • 失敗学

  • 本書は、以下のような3部公正1.これまでの失敗例数え上げ、および分析2.失敗の回避方法3.上流(商品企画や、コンセプト)工程での失敗回避法1については、著者の専門分野であるので、それなりに深堀りされていて、読む価値はあるが、2以降のレベルの低さは目を覆いたくなるほど。特にソフトウエアの不具合回避方法についての記述は、東大(著者は東大の先生)のレベルの低さを物語る。 総評としては、1については、読む価値あり。2,3については、読むだけ時間の無駄。むしろ害がある。

  • 人間は失敗する。しかし「失敗した」で終わるのであればまた同じことを繰り返すであろう。しかし本書では失敗を原因や構造で分けその本質を指摘し、また本来失敗とは言われていなかった隠れた失敗をも挙げ、それらの失敗から学ぶ点を挙げている。人間はこれまで多大な犠牲を出しているにもかかわらず同じような失敗をくり返している。特に最近は企業や組織に対する責任論がある一人のトップ層などに責任を取らせてそれで終了という流れもよく見る。本来はその失敗から次は起こさせないというセーフネットの設立や制度の補充が必要なのに結局意識喚起だけで数年に同じような事故がまた起きるということも珍しくない。失敗の経験をうまく活用できる社会についてすごく興味を持った。

  • 失敗をどう回避するか?

    →失敗が起きる前に作動する第三構成要素をあらかじめ構造の中に埋め込んでおくことが大切
    特殊な課題で具体的な解が見つからない場合、似たような状況下における有効な知識、一般解を探して自分に当てはまる設計解、特殊解を導き出さなければならない
    そのために抽象化、上位概念に昇る

  • 前半の失敗事例を元にした話は、泥臭くて面白い。後ろ1/3は、ちょっときれい過ぎて、どっかのビジネス本風の中身なので、あまり面白くない。

  • 2011年3月9日のブログから。
    http://jqut.blog98.fc2.com/blog-entry-1173.html

    「失敗は予測できる」という本を読みました。

    結構、話題になった本だと思います。著者の中尾政之氏はエンジニア的な観点から、徹底的に過去の失敗を分析されています。そうすると失敗の要因は見事に類型化されて、世の中にはもはや新しい失敗など起こり得ない、逆にいえば失敗はすべて予測できる……、と断言されていますが、本書を読んでみるとなるほどそのとおりかもしれないと感じてきます。

    本書の中で、技術的な要因による失敗に加え、組織的な要因による失敗についても分析がされています。
    「組織の失敗シナリオ」としては、以下の5つが抽出されるそうです。

     ①コミュニケーション不足
     ②安全装置の解除
     ③企画変更の不作為
     ④倫理問題
     ⑤企画不良

    「③企画変更の不作為」とは、一度決めた方針があきらかにおかしいと誰もが思い始めてもストップをかけることができずに突っ走ってしまい失敗を拡大することです。「⑤企画不良」は企画自体に問題があるということです。「②安全装置の解除」は安全装置を十分に準備しながらもそれを活用しないケースです。現場の効率重視の姿勢や従業員のモラルダウンがこれを招きます。コンプライアンス指針を守らないというのもこれに入るかもしれません。

    それにしても最大の要素はやっぱり「①コミュニケーション不足」でしょう。②~⑤のシナリオもこの①との合併症のケースがかなりあるのではないでしょうか。人が2人以上で仕事をする場合、必ずこの危険性があります。

    さらに著者はこのシナリオ「①コミュニケーション不足」にもいくつかの典型的なパターンがあると分析をされています。

     ①他人依存・同意体質……誰かがやるだろうは誰もやらないと同じ
     ②自信過剰・ワンマン……その道のプロである私の判断が正しい、すべてはオレが決める
     ③情報遅延・誤判断………現状がわからずに遠隔操作していた
     ④齟齬多発…………………伝えなければならない人が多かった
     ⑤干渉発生…………………効率的に仕事をしたつもりが干渉していた

    これらはいずれも少人数のフラットな組織で顔をつけあわせて仕事をしていれば回避できるものでしょう。これが組織の難しいところです。

    本書ではこれらのことが豊富な事例とともに紹介されます。事例の多くは、私たちがニュースで聞いた覚えのある事件です。その意味では納得感をもって読み進めることができる良書だといえます。

  • 第1章は、新入社員全員に目を通させておきたい内容。
    だんだん尻すぼみ。
    ”失敗のシナリオはいくつかのパターンに類型化でき、それによって「失敗は予測できる」ことを説明していこう。”

  • 自分は文系なのでちょっと難しい内容でした。気づく能力が大事と、個々の事例からわかります。

  • 様々な事例が記載されていて面白かったが、抽象化・理論体系化して幅広く使えるようにするには?なところもあった。

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著者プロフィール

東京大学大学院教授 博(工)

「2021年 『脱・失敗学宣言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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