「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 禁じられた数字〈下〉 (光文社新書)
- 光文社 (2008年2月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334034375
作品紹介・あらすじ
この本の目的は2つあります。ひとつ目は、数字が苦手な方が、「数字の裏側」を読めるようになること。数字は人を騙す凶器です。数字のウソを学ぶことで、数字に騙されない"考える力"を鍛えます。2つ目の目的は、「会計がわかればビジネスもわかる」といった会計に対する誤解を解くこと。ビジネスに「会計が必須の教養」であることが常識となりつつありますが、会計とビジネスでは世界が180度異なります。会計の限界を知らずに使っている人が、ビジネスに混乱を巻き起こしています。そこでこの本では、ふだん語られない"会計の本質"に光を当てます。なお、上巻を読まずに、下巻から読みはじめても大丈夫です。
感想・レビュー・書評
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仕事で企画を立てることがありました。
売り上げ目標を立て、それを実現するための行動計画を描きました。
数値がでてきますね。
描いていたのはお餅でした。
おいしそうに描けました。たべられないけど。
会社の決算報告、中期計画、国家予算まで、スケールは違うけれど同じことだったと、この本を読んで改めて気づかされました。
計画書を書くときは、狙いがある。その狙いに合わせて数値が、そう見えるようにストーリーを組み立てる。集計結果が意図したグラフにならないようであれば、改ざんはしないまでも、単位を%(本当なら売上金額にすべきところを)に変えたり、見せたくない年の売り上げは対象から除外してみたり、売上(本来なら粗利にすべきところを敢えて)に変えたり工夫(そう、工夫です!)、作品(計画書)に仕上げました。
当たり前ですよね。お仕事ですから。嘘のない範囲でほんとのこと言ってますよ。隠してることあるけど。そう、やる気見せないとね。
読み手は、(作品に描かれた)数値の意味するところを理解しなければならないし、
理解できれば、ははん、そうね、こんなこといいたいのね、裏にはこんなことありそう、わかっちゃったよ~、と余裕が出る。
余裕が出れば面白さが倍増しますね。
まさか通販番組の数値をそのまま解釈するひとはあまりいないと思いますが(確かに、「92%の人が〇〇を選びました!(メンバー8人の英会話サークルの意見=事前に当社対象ドリンクをプレゼントしました!)」「販売台数1位!(島田商店の3年前の販売台数)」「200%向上(当社比=根拠なんてあるわけない。言ってみただけ。)」←まーた、こんなこと言ってる、と冷めてみてますよね)、落ち着いて考えればみんな同じ。会社の決算も額面ではなくて、彼らが何を考えているのか(悪く言うなら、たくらんでいるのか)きっと見えてくることでしょう。
数字を賢く、楽しくみたいな、とそんなきっかけをもらえる本でした。
でもね、会計検査院の指摘金額(こんなに指摘できるなんて、頑張ってるなあ)、政府発表景気動向指数(あれ?まだまだ景気上向きなんだ。。。)、NHK契約率・支払い率(こんなに多くの人が契約してるんですね~、それなら義務化でも仕方がないですねぇ)、、、← 醜い~(※本書とは関係ありません。こころの声が洩れました)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
おもしろい。二分法とか。
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● つまり、「1億円が12本」という表現は、本来なら確率で示すべき宝くじの当選率を、絶対数で示しているのです。
● しかし、以前よりも計画がむずかしくなった環境で、以前よりも計画が重視されているという現状は、どう考えてもムリがあります。
● 私はいつも、「費用対脚本」という視点で映画を見ています。対して妻は、「費用対俳優」「費用対ネタ」といった別の視点で映画を見ていました。このように、同じ対象であっても、費用対効果の効果というのはハッキリしないものなのです。
● 一般に、費用対効果という言葉は適当に使われすぎています。
● 人件費の高いベテラン層をリストラし、赤字のお店を潰すという安易な効率化は、ムラやムダを正確に把握したものではありませんでした。また、アイデアとしても最悪に近いものです。準備された効率化は人や会社を豊かにしますが、準備なき効率化は人や会社を疲弊させるだけなのです。
● バイトを雇うのも雇わないのも、会計・非会計それぞれの観点から見れば正解なのです。ここで私がいいたいのは、「食い逃げされてもバイトは雇うな」という、会計の観点からしか見ていない短絡的な考えは、大間違いということです。
● 「会計」と「非会計」という、相反する両者を一気に解決する方法(=妙手)を考えることこそ経営者の仕事。 -
さおだけ屋の第二弾の下。第一弾には勝てず。
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タイトル回収してスッキリ
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一つの目線だけではいけない。
物事を見るときは複数の視点で見る事が大事。
上巻で食い逃げされてもバイトは雇うなと言っておきながら、下巻では大間違い。
いったいどうゆうこった?と思いながら読み進めたが、読了して納得。
会計目線で得る答えと、相対的に良いとなる答えは違う。
大事なのは複数の視点を常に持つことだ。
○アンケートは、前提条件や対象範囲のちょっとした違いによって、出てくる数字が異なってくる。
○不動産や乗り物は「資産」であって「費用」ではない。利益を圧縮させることにはならない。
○費用になるのは、広告費、賞与。
○実質返戻率とは、税金がかかることを計算に入れていない数字のこと。
○人は、計画どおりに物事を進めなければいけないと囚われすぎている
○ノルマを課すと、ノルマを達成できるかどうかが問題となり、結果に結びつきそうな短期的な仕事しかしなくなる
○変化に応じて対応できるようカードを持っておく。
○準備なき効率化は、人や会社を疲弊させる。
○二分法の話し方を身につける。これはaとも言えるし、bとも言える。
○金額とパーセンテージの両方の視点を持たないと、本質は見えてこない。 -
スラスラ読めました。
いろんな視点から数字を見ないといけないなと思った。 -
山田真哉(1976年~)氏は、阪大文学部卒、受験予備校勤務を経て、公認会計士。2002年に『女子大生会計士の事件簿』で小説家としてデビューし、2005年に出版された『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』は、160万部を超えるミリオンセラーとなっている。その後、会計関係の一般書を多数執筆。
私は新書を含むノンフィクションを好んで読み、興味のある新刊はその時点で入手するようにしているが、今般、過去に評判になった新書で未読のものを、新・古書店でまとめて入手して読んでおり、本書はその中の一冊である。
本書は、『さおだけ屋~』の最終章に取り上げられていた「数字のセンス」というテーマへの読者の関心が高かったことから、会計に留まらない数字の使い方を紹介した続篇の下巻(2008年)で、「数字に騙されない」と「会計の限界」という観点から書かれている。(上巻の『食い逃げされてもバイトは雇うな』(2007年)は、「数字がうまくなる(数字をうまく使いこなす)」という観点)
目次・内容は以下である。
第1章 数字の達人は、特になにもしない・・・数字には、①作られた数字、②関係のない数字、③根拠のない数字、④机上の数字、という「禁じられた数字」もあるので、数字の裏側を読むことが大事。
第2章 天才CFOよりグラビアアイドルに学べ・・・現在は「(事業)計画」への信仰が強いが、本来は、計画に囚われ過ぎず、環境の変化に応じて切れるカード(切り札)を増やすことが大事。
第3章 「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い・・・「効率化」は会計的には正しい行動だが、本来は、非会計的視点も考慮ことが大事
第4章 ビジネスは二者択一ではない・・・会計的視点と非会計的視点の双方から解決策(妙手)を見つけるのが経営者の仕事
終章 会計は世界の1/2しか語れない・・・科学的性格の強い「会計」と非科学的性格の強い「ビジネス」のバランスが大事
私は長年、会計・財務のスキルを必要とする仕事をしており、『さおだけ屋~』はとても楽しく読ませてもらい(内容は平易なので、新たな知識が得られたということはないが)、続篇(上・下)も期待していたのだが、残念ながら、続篇の常として、前著ほどの切れ味は見られなかった。
特に、下巻の本書では、著者が日頃感じている「会計が信頼されすぎている」こと、それ故に、企業の事業計画と効率化が重視されすぎていることへの問題意識がベースとなっており、最終的には、経済活動は、科学的な「会計」と非科学的な「ビジネス」のバランスが大事と結ばれているのだが、私自身その主張には大いに共感するものの、本書を会計・数字に関する入門書として読む向きには、焦点が定まりにくくなってしまったかも知れない。
(2022年7月了) -
食い逃げを追いかける為にバイト雇う?
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下巻は上巻のタイトルを真向から否定している。興味津々で読めた。しかし、著者の語り口は非常に読みやすい。
禁じられた数字と言う、意味をなさない数字や作られた数字など、身近にはこんなにも溢れているのかと感じた。
二文法は実生活でも生かしていきたい。どちらか判断がつかない時、タイトルのように多面的にみる事が出来るようになりたい。また、妙手というのもまさにアイデアの世界だと思う。これはつまりWIN-WINの事だと感じた。多面的に見て、かつ相乗効果が期待される事、それには科学的見解な会見的視点を持つ事なのだろう。 -
アンケートは操作できる。ハワイ、ベルリン、ロンドン、パリでは唯一のリゾートハワイが有利
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『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の著者による『食い逃げされてもバイトは雇うな』の下巻。
第1章では「数字の嘘」として、上巻の数字のマジックからの流れで「禁じられた数字」(「作られた数字」、「関係のない数字」、「根拠のない数字」、「机上の数字」)を紹介している。具体的な数字が出てくると信用してしまいがちだが、事実でもあっても正しいとは限らない。
第2章以降では、会計とビジネスについて、一般的に常識とされていることに異論を唱えながら、いろいろな視点でモノを見て、考えることの重要性を説いている。第2章では企業の計画信仰、第3章では効率化について取り上げている。どちらもその通り。賛成。但し、計画を立てることすべてを否定してしまっている感があるのは、ちょっと行き過ぎか。
第4章では、二分法の利点を挙げておいて、ビジネスは二者択一ではない、両方を得られるような妙手を打てとしている。終章では会計は科学、ビジネスは非科学。どちらの視点が欠けても成功はない。
正直、上巻を読んだときは下巻を買うほどではないと思った(実際、下巻は買わずに借りて読んだ)が、下巻まで読んでみると意外と面白かった。 -
上巻とは逆の視点。数字だけではない。という点に主眼を置いた作品。常に複眼またそれ以上の視点で物事を判断しよう。ということ。会計では世の中の半分しか表現できないということ。上下巻合わせて読むとよい。
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数字の裏を読む、複数の視点を持つ。数字は論理的に出来ているので、その分思考停止に陥りやすい。数字も文字のひとつなのだから、言い方しだいでなんとでもなるということを常に意識しなければならない。
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数字への過信を取り去るべく、熱弁をふるっている本。数字の話もさることながら、二者択一の話などは、なかなか参考になると思った。
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上巻を否定する刺激的なタイトルです。,会計だけでビジネスができるようになるという昨今の風潮を批判する思いが込められています。,大変、好感が持てます。,事例紹介が小説仕立てで萌さんが登場しています。
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本書は、<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334034004/ichiromarin09-22/ref=nosim" target="_blank">食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉</a>の下巻である。上巻は典型的ダメ本で、そのことはコメントでも書いたが、では、なぜ下巻を読んだか?「…なんて大間違い」という題名が気に入ったからである。 内容は簡単に言うと、「会計で語ることが出来るのは、その会社(事業)の実態の半分程度」であるということ(私の感覚では半分も行っていないと思うが、著者の職業柄そういわざるを得ないことも理解できるので、この内容は正しいことにしよう)。この観点で、バイトを雇うか雇わないかの判断をすると、単純に収益性だけ考えればよいわけでないことが分かる。食い逃げする客が、いずれレジ後と盗んだり、食い逃げ率が上がったりすることが考えられる以上、ラーメン屋事業をコンソリで考えなければならない。 著者へのコメント。・こんなこと言われなくても分かってます。・こんな内容で本をたくさん売る能力は賞賛に値します。・<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822740315/ichiromarin09-22/ref=nosim" target="_blank">ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則</a>もしくは、<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822242633/ichiromarin09-22/ref=nosim" target="_blank">ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則</a>に「どこに行くかより、誰と行くかが問題だ」という趣旨のことが書いてあります。その通りだと思います。バフェットも同様のことを言っています。PLがすべてじゃないというなら、もっとそうじゃないと納得がいくような説明が出来なくちゃダメでしょう。
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レビュー省略