ヤンキー進化論 (光文社新書 397)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334035006

作品紹介・あらすじ

"ふだんは上下揃いのジャージ姿で、いざというときは特攻服に身を固め…"といった戯画化されたヤンキー像は、時代遅れになったかもしれない。だが、元ヤン芸能人や、ケータイ小説の流行が象徴するように、「ヤンキー的な人・モノ・コト」は姿形を変えながら広がったいる。本書は、強い生命力を保ち続けるヤンキー文化の40年間を、映画やコミックなどの膨大な資史料をもとに描く。そして"反学校"と"悪趣味"のパワーを再評価する。

感想・レビュー・書評

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  • ヤンキーは、意外と新しい。竹の子だったり、パンクスだったり、親衛隊だったり、暴走族だったり。ツッパリというのもある。ヤンキーといえば…というイメージは後でから作られたものというのがおもしろい。

  • 20190310~317 「ヤンキー」の語源、その発生過程、ファッションや独特な文化の変遷を、色々な媒体(ヤンキー漫画や雑誌、映画など)からひも解いている。とはいえ、引用文献や取り扱っている題材が、普段自分が読んでいる文章や親しんでいる価値観からは間遠なため、読み進めるのに苦労した。おそらく本当のヤンキーはこの本(新書)を手に取ることはないだろう。自分自身は、ヤンキー的なものは、面白いと思うし興味があるからこそ本書を(買ってから数年たつが)読んだのだけど、わが子がこうなったらちょっと困るかなあ、と思った。

  • 日テレでいまさらの「今日から俺は!!」のドラマ化がなぜかヒットという、コンテンツとしての不良モノの底力は時代を超えて鉄板化している気がします。ヤンキーという言葉の成立、文化の変遷をメディアから細かく丁寧に拾い集めていく、10年前の新書をなぜか今、読みました。10年前に提示されたヤンキー的なるもの、は実際の不良行為と離れてますます、日本人のDNA化しているように感じるのは、ますます格差社会は固定化して社会の流動性がなくなっているからなのではないか、と思いました。ジモトへの偏愛の延長にある愛国マインド、絆という同質性の閉鎖コミュニティ、気合上等などの精神性への過信、そんな日本に入管法が改正され外国人労働者がドドーンとやってきます。BREXITやメキシコ国境の壁とか、日本も世界のポピュリズム現象、追っかけそうな予感。音楽とかファッションのバッドテイスト好みのレイヤーで止まっていればいいのですが…

  • ヤンキーとは?
     70年代に流行った「反両親、反学校の文化に、アメリカ文化(米兵由来)」が混ざり、日本に土着したもの。

     彼らの特徴は、
    ・社会の下層
    ・旧来の男女の役割に忠実。総じて、早熟・早婚、で地元志向。

     現代においても、もちろん彼らは、健在である。
     漫画、ファッション、その他の文化に食い込み、居場所(ジモト)を確保する能力は見過ごせないものがある。
     就活においても強みを発揮する。
     彼らは社会的にタフなのである。

  • 「○○やんけ」という言い方が関西にあるけど、それがなまってヤンキーになったという説がある(「やんけ」言いが音便化)。

    尤も関西出身の著者はその説を否定しているが、Yankeeといいながらアメリカ的な洗練から遠ざかり、ドメスティックな嗜好のヤンキーだから、ドメスティックな方言が語源にあるという説は納得できるものがある。

    女モンのサンダルを履くのは女(タレ)がいる証というのは目から鱗だった。

    ちょっとダサいもの志向というのは洗練された都会のエスタブリッシュメントへの反抗なのだろうか。

    いずれにせよ、日本の保守というのはヤンキーなのだろうなという気がする。


    だから世間ヤンキーあがりに甘いのでは。

  • ヤンキー文化が大好きでもない著者がこの一冊を仕上げるのは結構な苦行だったのではと想像する。ただ、学術的には埋もれてしまってもおかしくない内容を体系的にまとめようとした努力は評価。資料だけに頼っている点は著者も述べているようにやはり弱い部分ではあるか。(出典が追えるという面もあるが)

  • エスノグラフィーからメディア表象までレビューしつつ、多義的なヤンキー≒族の変容を論じている。『族の系譜学』と合わせて読むとおもろい。個人的には、ファンカルチャー文脈で「ヤンキー的な男子の一部は、70〜80年代の女性アイドルブームと共鳴し」(128)、「アイドル親衛隊は単なるファンの集まりではなく、厳しい上下関係と統制のとれた声援、鉄の規律と結束を暴走族より継承していた」(130)という指摘がおもしろかった。あとバンギャルのヤンキー的な文脈や、サッカー・ファンダムの類似性。ヤンキー・メディアから再生産されるヤンキーとか。ソーシャルメディアとファンダム、あるいは分化するトライブを考える上の前提としてとてもヒントになる。

  • 課題図書

  • ≪目次≫
    第1章  「ヤンキー」とは誰か?
    第2章  ヤンキー以前
    第3章  「東京ヤンキー」の時代
    第4章  暴走の季節とヤンキー
    第5章  さまよう「ヤンキー的なもの」
    第6章  ヤンキーとツッパリ
    第7章  親衛隊文化とヤンキー
    第8章  ヤンキー・メディアの隆盛
    第9章  拡散するヤンキー
    第10章  おわりにー格差社会の中で

    ≪内容≫
    学校図書館。
    日本の不良≒ヤンキーの文化一般を論じた労作である。私がこの本に興味を持ったのは、原田曜平の『ヤンキー経済』との関連で、「ヤンキー」が地元愛で早婚で、右寄りである、との説を裏付けたくて読んだのである。
    なるほど、どうもそのようであり、かつての不良=暴走族、などと違って(一部重なる部分もあるが)、じいちゃん、ばあちゃん想いで、素直な部分もあるが、勉強という面では考えが劣っていて、短絡的に地元愛であり、それが日本愛、につながるようだ。著者は、パソオタ系の「ひきこもり」よりも性質がいいと書いている。

  • 思ってたより楽しく読めた(^_^)
    ヤンキーが好きな自分を発見した。ヤンキー的性質抜きじゃ生きれないんだな。

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著者プロフィール

【編者】難波功士(なんば・こうじ)
1961年大阪府生。関西学院大学社会学部教授。博士(社会学)。『広告で社会学』(弘文堂)、『社会学ウシジマくん』(人文書院)、『メディア論(ブックガイドシリーズ基本の30冊)』(人文書院)など。

「2023年 『吉見俊哉論 社会学とメディア論の可能性』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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