貧血大国・日本 放置されてきた国民病の原因と対策 (光文社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334039165

感想・レビュー・書評

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  • ヘモグロビンに含まれる鉄が酸素と結合すると酸化鉄になる。酸化鉄になるというのは、錆びるということを意味する。血液が赤く見えるのは、錆びた鉄が赤く見えるのと原理は同じ。地球上には鉄が他のどの金属よりも豊富に存在していることから、人間を含む生物の大多数が、体内における「酸素の運び屋」に鉄を利用している。また、肉が赤いのは、筋肉にミオグロビンが含まれていて、その中の鉄が酸素と結合するから。ミオグロビンはヘモグロビンが運んできた酸素を受け取り、筋肉に貯めておく。筋肉中のミオグロビンは酸素が必要になるときまで貯蔵する役割を担っている。鉄の重要性を説き、美容と貧血、妊婦、子ども、中高生、成人、高齢者と、それぞれのライフステージでの貧血の対処法を学ぶ。血液検査の読み方から、何を食べ、どう気をつけるかまで貧血に係るすべてを網羅している。

  • 「発達加速現象」とは、世代が新しくなるにつれて身体的な発達が促進される現象。「成長加速現象」と「成熟前傾現象」がある。これら現象には地域差があることを「発達勾配現象」という。

  • 貧血について医学的な解説がされていて、なるほどと読んだものの、じゃあどうしたらいいの?が弱く、問題提起に留まっている感じがした。もちろん、国として無策な状態を改善するべきだと思うが、さしあたって個人的に努力する必要があるのであれば、もう少し食事からの鉄の摂り方についてページを割いても良かったのではと思う。

    日本人の貧血のなりやすさと鉄分が足りないことによる影響はよくわかったので、肉や小松菜を食べること、鉄鍋を意識的に使うこと、果物を積極的に食べることに気をつけたいと思う。

  • p45 貧血 共通する3症状
     組織の酸素欠乏による症状 頭痛、めまい、耳鳴りふらつき:脳 易疲労感、倦怠感、脱力感:筋
     酸素欠乏の代償作用による症状 息切れ、動悸、頻脈
     赤血球量の減少のよる症状 

    p52 ヘモグロビン、フェリチン、トランスフェリン、ミオグロビン(筋)

    p110 赤ちゃん 母親から貯蔵鉄(フェリチン)として4ヶ月分の鉄を持って生まれてくる

    p121 牛乳には鉄があまり含まれていない

    p150 帝京大学ラグビー部 献血を利用した定期的な血液検査

    p191 ヘム鉄 動物性食品に含まれる鉄 そのまま小腸で消化吸収され、体内で利用される

    非ヘム鉄 植物性食品に含まれる 消化されにくい

    p210 鉄の内服薬 フェロミア(クエン酸第一鉄ナトリウム、インクレミン(ピロリン酸第二鉄)、フェルム(フマル酸第一鉄)、スローフィー(硫酸鉄)

  • 2006年の調査によると、50歳未満の日本字女性の22.3%は貧血で、そのうちの25.2%(全体の5.6%)は重度の貧血であった。貧血は胎児や新生児に悪影響を与えるが、妊婦では30~40%が貧血である。なお、先進国の平均は18%だ。
    また、女性だけでなく、幼児期から中学までの子どもと高齢者、アスリートにも貧血はある。
    貧血を改善するには最低でも1,2ヶ月の鉄剤の服用が必要であり、世界各国で予防する対策が取られているが、日本では対策が全くとられていない。自分で食事で対処するしかないのである。

  • 貧血の病態や対策について書かれている。

    貧血になると、なんとなく体調が悪い、頭が痛い、イライラする、疲れが取れないなどの不定愁訴が引き起こされる。また、貧血の裏にはがんや婦人疾患などの重大な病気が隠れていたりする。しかし、不定愁訴は何もせず我慢されることが多く、外見からは分からないことから、貧血は見逃されがちである。日本人は貧血になりやすいのに、見逃されやすい。見逃されやすいのに、重大な病である。したがって、鉄を食事から意識して摂取して貧血を予防しましょうという内容。

    一般人向けにしては、やや専門性が高く、医学用語の説明こそあるが下知識がないと少々読みにくい。
    貧血の重大性、深刻性について、なかでも女性(妊産婦)、子ども、アスリート、高齢者においてそのリスクと危険性が書かれている。

    腎不全患者の腎性貧血において、エスポーが開発されるまでは、ウイルス感染などのリスクもありながら、背に腹は変えられないと輸血を行うしかなかったという。当時、エスポーはこうした患者さんの強い味方になったのだろうと想像した。

    p187「血液検査の項目とそれらの項目から分かること」のリストは、今後自分の血液検査を見るときに照らし合わせて見てみようと思った。
    献血は、無料でできる血液検査の役割も持つという点はなるほどと思った。

    貧血とは関係ないが、p133発達勾配現象(性的成熟、乳歯や永久歯が生える時期に地域差がある)およびp135成熟前傾現象(高度経済成長期と平成デフレ時代で生理の開始時期が早まった)に興味を持った。

  • 鉄不足対策に取り組んでいるのは、先進国だけではありません。中国、ベトナム、タイでは、鉄を添加した醤油を学校給食に積極的に使用することが推奨されています。
    我が国はどうでしょうか?
    じつは、このような対策はまったくとられていません。一人一人の自主性に委ねられています。我が国が「貧血大国」となったのは、その結果と言える面があります。

  • とても勉強になりました。
    私も貧血と言われ病院に行ったので、この本を読んで、自覚はないけれども病院に行ってよかったと思いました。

    こんなにも日本に貧血の人が多いなんて驚きだ。
    そして、貧血は命に直接関わる病気ではないけれども、いろいろな問題を引き起こすので、治していかなくてはいけないと思った。

    この本は、「貧血のメカニズム」「成人女性と貧血」「中高生と貧血」といったようにわかりやすく章立てされているので、興味あるところだけ読んでも十分役に立つと思う。貧血の人もそうでない(と思っている)人もぜひ読んでほしい。

  • 貧血というと軽く見られがちだがそこに隠された重大な問題が提起されている。

    なかなか面白かったが、この方の医療スタンスや健康観がちょっと私が違うところがあって読んでいても多少の違和感がありました。

  • 彼女に読ませたい

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