- Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334043131
感想・レビュー・書評
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絵画と一緒にイギリス王室の歴史を辿れます。
残忍だったり贅沢三昧だったり統治の才能がなかったりと、あららーと思う王やその家族が次々登場。
真面目で政治手腕のある人よりも、かえって人間らしくて魅力的で、記憶に残る。
当時の英国民ではないので他人事。
写真がなかった時代の肖像画はお見合い用に使われるため、相手国所蔵のものが多いというのがなるほどと思った。
肖像画を一目見るだけでその残忍さが伝わるヘンリー八世や、気高いが気難しそうな雰囲気を醸し出すメアリー一世など、背景がわかるとさらに絵画も面白い。
実はあなたはプリンセスなのですよ、我が王室の唯一の相続人なのです、などと言われて、きらびやかなドレスを着て宮殿で肖像画を描いてもらいたい!
けど本物の王族だと、政略結婚させられて、クーデターや諸国からの暗殺の危険にさらされるよね...と妄想が膨らむ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現在「KING&QUEEN展」が開催されていることも、しかも著者サイン付きの本書と鑑賞券のセット(なおかつ割引)が販売されていることも全く知らずに、個人的興味の延長上で本書を普通に購入してしまっていた。ちょっと残念。
読んでいる最中ですら、展覧会のことも知らず、本書がその展覧会の公式予習本になっていることも知らなかった。
ここまでずっと中野京子氏の作品て面白いなと思って読んできたのだが、巻末に著者ブログについての表記を見て、ふと初めてブログを拝見してみた。
そして展覧会のことをようやく知ることとなった。
それでもまだ展覧会が始まったばかりのタイミングで知れただけ良かった。
本書を読むと、現世の英王室に関して(私達でもなんとなく見聞きする程度のことではあるが)ダイアナ妃の哀しい出来事やフィリップ公の酷い失言など、「ああ今に始まったことじゃなかったのだな(歴代の王は相当酷かった。悲運の王妃も沢山居た)」ということがよくわかった。
プロテスタントとカトリック、この宗教の違いによるヨーロッパの勢力争いや悲喜こもごもについては、日本人の私にはピンと来ないが、彼らの歴史にはことごとく関わりがあるようだ。 -
イギリス王家の主要人物の生き様を絵画から読み解く。
・序章
第1部 チューダー家
第1章 ハンス・ホルバイン『大使たち』
第2章 アントニス・モル『メアリ一世像』
第3章 アイザック・オリヴァー『エリザベス一世の虹の肖像画』
第2部 スチュアート家
第4章 ジョン・ギルバート『ジェイムズ王の前のガイ・フォークス』
第5章 ポール・ドラローシュ
『チャールズ一世の遺体を見るクロムウェル』
第6章 ジョン・マイケル・ライト『チャールズ二世』
第3部 ハノーヴァー家
第7章 ウィリアム・ホガース『南海泡沫事件』
第8章 ウィリアム・ビーチー『ジョージ三世』
第9章 ウィリアム・ターナー『奴隷船』
第10章 フランツ・ヴィンターハルター『ヴィクトリアの家族』
第11章 フランツ・ヴィンターハルター『エドワード王子』
第12章 ジョン・ラヴェリ
『バッキンガム宮殿のロイヤルファミリー』
各部冒頭に家系図、年表(本文関連事項)、主要参考文献有り。
取り上げた画家プロフィール。
紆余曲折しながらも、現在も続くイギリス王家。
その王や女王・・・12の物語と関する絵で語る人物伝です。
王や女王になった方々のクセの強いこと!
いくら盛っても、肖像画からも窺えるほどに。
人間の欲望極めたりって感です。物欲、性欲、独占欲・・・etc。
ヘンリー八世ってば、肖像画からして迫力満点ですね。
190cmほどの身長とあの体格だから、周辺の苦労といったら。
しかし、イングランド人~スコットランド人~ドイツ人と、
異なる王朝ながらも血を繋ぎ、大方の王家が滅びても、
あれほど親子関係や夫婦関係が最悪でも、王室が現在も残ると
いう事実は、なかなかスゴイものです。
王家以上に、英国史がさくっと述べられていて、分かり易いのも
良かったです。宗教対立や議会制度、そして内外での血腥さも。 -
イギリス王家12の物語。
イギリス王家と聞いて思い浮かぶのは、エリザベス1世とメアリ・スチュワート、アン・ブーリン、ヴィクトリア女王でしょうか。見事に女性ばかり、悲劇と繁栄の女性たちですね。
12の物語も、国家としての栄光の下の光と影を色濃く描き出しているものばかりに思います。それを繰り返しながら、現在でも王室が続いているのが素晴らしいというか、恐ろしいというか、歴史の面妖さなんでしょうか。
紹介されている絵画は、テューダー朝から始まりスチュワート朝、ハノーヴァー朝、そして現在のウィンザー朝へと続く12枚。それぞれ王朝の血脈が絶え、他の血脈に変わるというわけでなく、かすかに繋いでいるというのが他の3作で紹介された王朝との大きな違いで魅力ですかね。ブルボンともハプスブルクともロマノフとも違う形で命脈を保っているイギリス王家。タイトルが〜朝でないのは、そういうことかと読み終えて納得です。
「私はイギリスと結婚した」というのはエリザベス1世の言葉。王朝の名前が変われど、王家と国家が離れずにいるのは、この言葉が発せられた時から王家と国家の婚姻関係が続いているからかもしれない。と感情に任せた感想を抱いてしまいました。 -
シェイクスピア「ヘンリー8世」がアン・ブーリンの処刑まで描かれていなかったので、オカルト好きの血が騒ぎ、「ブーリン家の姉妹」「エリザベス ゴールデン・エイジ」を見た後、本書を読む。
多くの人を幽閉・処刑したロンドン塔には自分の首を持ったアン・ブーリンが出るという・・・
現在でも彼女の処刑の日を再現した寸劇が行われているらしい。
最も印象に残るのは、表紙にもなっているレディ・ジェーンの絵。時代と政略に翻弄され、わずか9日間・17歳で処刑された。無実の罪で斬首される彼女を純白のドレスと傍で嘆き悲しむ侍女、処刑台への介助をする司祭、目を伏せる処刑人とその悲劇を効果的に表現している。
本書にあるように周辺国との政略婚・近親婚の歴史を鑑みると、ヨーロッパがアジアと比較して共同体意識が醸成されやすいというのも納得。
上野にプラド美術館展を見に行ったとき、ベラスケスの本物(フェリペ4世)を見ましたが、やはりハプスブルグ家のアゴは必見ですね -
「King&Queen」展を見に行くのにあたって予習(?)的な読書。普通に読んでも中野京子さんの本は楽しめるのですが。
個人的にはヘンリー八世~エリザベス女王あたりのイギリスが興味深い。映画の「エリザベス」や「エリザベス・ゴールデンエイジ」だったり絵画だと「レディ・ジェーン・グレイの処刑」(「怖い絵」展良かったあ)とか。中野京子さんの本高校生で読んでたら、絶対世界史を選択しただろうな私。
ともあれ、展覧会、楽しみです。 -
エリザベス1世前後の激動が興味深いイギリス史。
多くの王女の斬首、魔女狩り…女性史とも言える。
…そしてやっぱり、ロンドン塔のホラー。 -
仕事で英国王室の歴史について勉強しないといけなくて拝読。
歴史を全部なぞってくれてるので、すごく分かりやすくて勉強になる上に、たまに突然砕けた書き方で、
王様や女王様についてコメントしてるのに、すごく笑ってしまった。笑
すごく楽しく読めたし、中野先生の本って
そういうところが良いなって本当に思います。
映画の『ブーリン月曜にもの姉妹』『女王陛下のお気に入り』を観てから、この本を読んだけど、
私はやっぱり、アン・ブーリンと、レディ・ジェーン・グレイが好きだなぁ。
イギリスの歴史って本当にドラマチック。
自分の推し王様or女王様(or妃など)を見つけると、
より一層楽しくなるなぁと実感しました。
中野先生って、
現代の英国王室については、あんまり興味ないのかしら…
ヘンリー王子とかウィリアム王子と、その嫁問題のゴタゴタについても、書いて欲しいなぁー。
すごい面白そうだし楽しそう。 -
好きなシリーズ。
物語が連続しているので、これまで読んだものより難しいけど奥深い。
イギリス王室の血筋が、こんなにヨーロッパ中混ざってるとは知らなかった。