AI時代の新・ベーシックインカム論 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
3.58
  • (13)
  • (17)
  • (28)
  • (1)
  • (3)
本棚登録 : 304
感想 : 32
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334043469

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 先日読んだ本はAIの本だったので、井上先生が経済学者であることを忘れてしまっていたのだけど、この本はAI時代というものの、しっかりと経済学者がベーシックインカム(BI)について述べた本。AI時代のというのは、AIの高度化で生産性が上がると、人間の仕事が完全に失われることはなくても、AIを使って極端に富を増やす人と職を失うか、AIに使われる人に分かれて、貧富の差が今よりも極端に広がる世界がやってくる。その時の社会保障制度としてのBIというものを語った本といえば、簡単すぎるか。今の生活保護という社会保障は何となく問題が多い制度なんだろうなと思いつつ、何でもかんでも働く意思がないプータローにもBIを支給するというのは正直抵抗がある。でも、歴史的に労働というものがどういうものなのかを分析し、勤勉であることの正義の背景を理解し、AIによって労働から解放される時代を考えると、改めてBIという制度はかなり有力なオプションなのだということが判ったような気がする。この本が秀逸なのは、この歴史的な思想と国民性から労働と勤勉さを考察しているところ。右翼と左翼、右派と左派、儒教的エートスとリバタリアン、今一度しっかり復習したい。

  • AIの進化により市場の生産能力が大きく向上して、供給能力が上がったとしても、仕事のない人たちからは需要が生まれなくなる、という理屈を知れたのが良かった。右翼や左翼などイデオロギーの違いをかなりのページを使って書かれてるが、AI/BIから遠く離れたことのような話と感じてしまって疲れてしまった。5章は読まずに済ませばよかった。

  • 基本的な説明はすごくよくて、それでマクロ経済的に国債で国民に配っちゃえばいいじゃんって話は結構筋がいいのでは?なんとなく、モノポリーで一周回るごとにGOでお金をもらうってイメージができた。クルーグマン好きとしては、まあお金ってのはフィクションだからうまくいきゃあいいんじゃないという立場なので、全然違和感ないです。まあでも、やってみないとわからんよな。結局為替との関係がどうなるのか?みたいなところな気がする。EUでの共同通貨の失敗を見ても、なんか、通貨の未来を考えるってのが国としていちばん重要なんだろうなと感じますね。BI、たぶんそれのおまけかも。通貨よりもリンクと構造のほうに価値が移った時代において、weak linkのnodeがspecial nodeまでの距離が離れすぎないようにするのはどうするのだ?ということな気がしてきた。node全体の距離を一定内に保つ。 それで、本は、結構右翼左翼とは?みたいな終盤戦も面白かったですよ。熱い。

  • 説明はわかりやすいんですが結論が受け入れられないんですよねσ^_^;
    なんでかなあと読み進めてたんですが終章に近づく毎に結果の平等志向なんやなあと気づきました。
    障がい者もアンラッキー
    ギャンブル依存性もアンラッキー
    怠け者もアンラッキー
    努力している人間に勤労意欲や能力が発揮できたラッキーで考えろと言われてもσ^_^;
    それなら努力しないことを選択してアンラッキーやって言いますよね。普通。
    他罰的なアンラッキーで片付けられるとBIを支える産業の根本が成り立たないと思うんですよね。

    生活できる最低限のBIを支給してシェアハウスで暮らしたり物価の低いところへ移住を促すのは治安を考えても両面あるなと。
    個人としての犯罪率は下がるのでしょうがゲットーができたり貧民街ができると治安は果たして良くなるのか。疑問ではあります。

    ただ市中銀行をなくして中央銀行一本化することでBIの原資を確保するという意見にとても賛同しました。
    マイナンバーを活用したら今の市中銀行を使わずとも金融機関業は一本化できます。
    また信用創造という意味で貸出準備率を超える価値を生み出す能力は政府に返上するか吸い上げるシステムが必要やと思います。
    まあ今の銀行は投信売ったり証券会社さんと変わらないですから。

    まあどちらにしても原資の問題かなと思いました。
    AIに税金かけるって言った途端に企業はAI入ってないとか言いだすんやろなσ^_^;

  • より余暇の時代を生きる事になっていくのか、10年先の近未来を考えることができた一冊

  • 途中まで読んだ
    ちょくちょく聞くベーシックインカム(BI)の実現のメリットと実現方法についてまとめられている本。
    所得税、相続税、他の社会保障の削減、シニョレッジ等で実現できるらしいけど、実際先進国で実現しきってない理由を知りたい

  • ふむ

  • p85 ヘリコプターマネーとは、減税した分財政支出を
    減らさなければならないのなら、そのような状況にもかかわらず政府が今まで通りに財政支出していれば、政府の借金は増大することになる。その際国債を中央銀行が買い入れるののであれば、結局のところ中央銀行が国民にお金をばらまいているのと同じである。
    p119銀行など金融機関や富裕層など一握りの経済主体にお金を集中させるとバブルが引き起こされやすくなる。お金を多くの人々に偏在させるとバブルが引き起こされにくくなる。
    p187遠くない未来純粋機械化経済への移行が果たされ資本家による搾取はなくなる。(つまり労働者を雇わなくなる)これは労働者の勝利ではない。このためBI(ベーシックインカム)が導入されなければならない。
    p220リバタリアリズム(ジョン・ロック)⇒経済自由
       リフレ(ジョン・ロー)⇒貨幣の増大
       リベラリズム(ジョン・ロール)⇒経済平等
    NHKの白熱教室でおなじみのマイケル・サンデルはリベラリズムのタイプである。
    p280アーレントがいう意味で人間が人間で在り続けるには古代ギリシャの市民のように奴隷を持たなければならない。AIとBI(ベーシック・インカム)により、革命はアーレントが望むような世界をもたらすだろう。

  • 924

  • タイトルに「AI時代」とありますが、AIとは関係なく、ベーシックインカムの本として読めます。
    現時点におけるベーシックインカムの意義や考え方やその可能性について述べた本であり、今押さえておくべきベーシックインカムの全体像をつかむにはよい本だと思います。

    その一方で、ベーシックインカムの考え方が生まれた経緯や、これまでに行われた社会実験の説明はほとんどないので、それらを知りたい場合には、別の本をあたる必要があります。

    なお、この本では、日銀や銀行の役割についても詳しく説明がなされていて、それらもなかなか勉強になり、自分にとっては、学びの多い本でした。

    ただ、終盤の政治思想についての説明は、若干クドイ印象(その結果、わかりにくい印象)を受けました。
    ここがすっきりしていたら、★★★★★としたと思います。

全32件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

経済学者。駒澤大学経済学部准教授。慶應義塾大学環境情報学部卒業。IT企業勤務を経て、早稲田大学大学院経済学研究科に入学。同大学院にて博士(経済学)を取得。2017年から現職。専門はマクロ経済学、貨幣経済理論、成長理論。著書に『人工知能と経済の未来』(文春新書)、『ヘリコプターマネー』『純粋機械化経済』(以上、日本経済新聞出版社)、『AI時代の新・ベーシックインカム論』(光文社新書)、『MMT』(講談社選書メチエ『)「現金給付」の経済学:反緊縮で日本はよみがえる』(NHK出版新書653)などがある。

「2022年 『東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

井上智洋の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
リンダ グラット...
ヴィクトール・E...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×