まぼろし砂絵 (光文社文庫 つ 4-17 光文社時代小説文庫 なめくじ長屋捕物さわぎ)

著者 :
  • 光文社
4.00
  • (5)
  • (2)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 50
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334714789

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「なめくじ長屋捕物さわぎ」シリーズの一冊で、角川文庫では第七弾にあたる作品です。

    第一話「熊坂長範」は、幻術つかいが登場します。本シリーズのさまざまな謎は、おおむね合理的な推理にもとづいて解決がもたらされるのですが、この話はややちがった趣向になっています。

    たんなる時代小説とミステリの融合ではなく、時代小説としてもミステリとしても読者を満足させる物語がたのしめることが、このシリーズの魅力だと思っており、違和感をおぼえる読者もいるのではないでしょうか。一度はなめくじ長屋の仲間になったイブクロが、けっきょくは長屋から離れていったのも、超人的な能力を封印するためだったのではないかと著者の意図を推察していたのですが。

  • 天才です。

  • 1992.2.20

  • まいどお馴染み、晴れの日は外で芸を見せたりものもらいをして歩き、雨や雪の日は大の大人が長屋でごろごろのたのたしている、なめくじ長屋の面々が、金になりそうな事件に首を突っ込んでは事件を解決するような、しないような。そんな短編集、第7段。

    初期のころよりも、江戸時代の風俗に関する描写が緻密になり、文章や文体から溢れだす江戸の香りはまさに圧倒的。

    その反面、この「まぼろし砂絵」では2編だけだが、怪しげなる「呪術」によって事件が起こるというトリックがある。この時代に、妖怪や呪術が信じられていたことは事実であろうが、そういうものを持ち出しながらも、きっちりとした人間によるトリックとその解決をみてきたこの「なめくじ長屋捕り物さわぎ」シリーズだったので、その点が少し残念。ただのホラーになってしまった。

    しかし、その他のストーリーはさすがというべきか。人間のいろいろな感情を絡めた犯罪や事件、それを本当に解決するかしないかということではなく、あくまでその場を丸く収め、おまけにちょっとお金にありつけるように調整するというセンセーの力量もさることながら、この時代の捕り物の雰囲気を存分に感じることができる。

  • 都筑道夫のなめくじ長屋シリーズ、やっぱり面白い。
    ひとくせも、ふたくせもあるなめくじ長屋の住人達。その日暮のこじき、物貰い、大道芸人なのだけれども、センセーの元聞き込みをやらせたら、も〜向かうものなし。

  • なめくじ長屋シリーズその七

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

(つづき・みちお)1929-2003。東京出身。10 代から時代ものを発表していた読物雑誌の衰退に伴って海外ミステリ翻訳家に転向、『E
QMM(エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン)』日本版編集長を経て、1961年『やぶにらみの時計』を刊行、推理作家となる。トリッキーな趣向を凝らした作品の一方、ユーモラスなアクション小説、捕物帳を含む本格推理、ハードボイルド、SFミステリなど多彩な作風をもつ。永く無冠でいたが晩年に日本推理作家協会賞、日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2022年 『都筑道夫創訳ミステリ集成』 で使われていた紹介文から引用しています。」

都筑道夫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×