- Amazon.co.jp ・本 (481ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334734909
感想・レビュー・書評
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時代錯誤甚だし。ご都合主義多し。奇跡(に頼った)物語。読む価値ゼロ。
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20数年ぶりに再読。平成元年「週刊文春ミステリアンケート国内編」1位、「このミス」圏外(21位以下)は当時このミスの評価が妥当と思ったが自分が年を取ったせいか自分が投票者なら年間5・6位にいれるかなと思った。
男と女に生涯こだわり続けた作家なのだな、と。土屋隆夫が書いた恋愛小説って読んでみたかった。多分渡辺淳一先生より傑作が書けたのではないか。お色気シーンがナベジュン先生よりいやらしく書けたのでは。
「ぬめるような太もも」って表現がこれ以外の作品でも頻出してて草。「小説は怖い。書き手が自分を隠せない」と言う旨、栗本薫(中島梓)先生が「小説道場」で語っていたが、土屋先生太ももフェチなのか、おっぱい星人とかオシリーナファンとかじゃなくてとか思ったのは余計なお世話でした。 -
一見すると社会派チックなテーマですが、ホワイダニットを中心に据えた骨太の本格ミステリです。
正直なところ、終盤になって明かされるアリバイトリックは余剰だと思いますが、トリック自体が良くできていることは確かでしょう。
なぜ面識のないお手伝いさんが殺されたのかという謎に対する回答は、人によっては脱力ものかもしれませんが、そのあとの悲壮感漂うラストは、物語を紡ぐことを大事にしてきた土屋隆夫らしい幕切れで大満足です。 -
「何故久保教授が事件を起こさねばならなかったのか」に焦点を当てたお話です。久保教授の独白から事件が詳らかになっていく過程はとても自然で、違和感なく惹き込まれます。あらすじの「衝撃のどんでん返し」という謳い文句には騙されましたが、ミステリーとしての完成度は勿論、心を打つという点でも良い作品だと思います。
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大手薬品メーカー社長宅の庭で、お手伝いが強姦・絞殺された。容疑者として医大教授・久保伸也の名が挙がり、犯行を自供する。名誉も地位もある男がなぜ? しかも、久保にはアリバイがあり殺害動機もなければ証拠もない。担当検事・千草がみた、理解を超える事件の裏に隠された衝撃の真相とは…?斬新な手法を駆使した日本推理小説史上に残る記念碑的作品。
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強姦殺人事件の犯人として拘留中の産婦人科医師・久保が担当検事・千草に宛てた上申書、という形体を取る物語である。早い時点で犯行を自供した久保であったが、たまたま殺人事件が起きて間もない現場を通りかかった千草の職業的な勘によって、久保が隠しとおしたかった真の動機を述懐させることに成功したのだが、最後には、真犯人の久保でさえ想像もしなかった驚愕の真実が待ち構えているのである。
人工授精という厳粛な問題をテーマに据え、人の弱さとしたたかさ、幸福の絶頂と裏腹な罪の意識を描いて見事である。読み応えのある一冊だった。 -
哀しいかな、期待通りとはいかなかった。本作品の謎は動機。なるほど、それに焦点を当てるには倒叙形式は効果的だが、ヤマもなくそのまま完結するさまが歯痒い。犯人の動機には確かに驚く。それのみに的を絞った無駄のない展開もいいし、次第に歪んでいく犯人の心理描写は相変わらず巧いのだが、どうも腑に落ちない。ラストの意外性とテーマの重さに起因してるのだと思う。いろんな意味で“疲れる”作品。